「訳詞について──5」
どうです、これならメロディーにのるでしょう。そしてセレナーデというのはもともと愛する人の窓辺で歌うってな感じですが、この詩はまったくそうではないですね。恋するひとの窓辺どころかこの詩では遠く離れた夜のやみの中でその人のことを想っているという感じです。たぶん恋人は絶対この男(たぶん)のところにはこないし、絶大な片思いにすぎない。けれど自分の気持ちは夜の闇を通ってあの人のところへとどいてほしい。「やみふかく たたずむ わたしのうた」というのはそういう感じを出したかったからなんですね。
そして二番の直訳。
ナイチンゲールの歌声が聞こえるね ああ! ナイチンゲールも求めている
甘い切ない歌声をひびかせながら、ぼくにかわって君を求めいているのだ
ナイチンゲールにもわかるのだ 胸にうずまく憧れを 愛の苦しみを
そして銀鈴をふるわすような声で 心やさしい人たちの琴線にふれてくる
あなたも心をもっと開いてほしい 愛する人よ 僕に耳を傾けて!
身のふるえる思いで待っているのだから!
さあおいで、そして僕を幸せにして! (対訳:喜多尾道冬)
うーん言葉が多いしわかりにくいなあ。……。それに「ナイチンゲール」という小鳥はなかなか日本人にはわかりにくい。このへんをどうするか──ぼくはこうしてみた。
わたしのよぶこえが きこえますか よあけをつげる ことりのうた
むねのあこがれを かたるのです かたるのです
ぎんのうたごえで ゆらすのです ゆらすのです
そうしてわたしは ここにいる きっとあなたはくる
まっています まっています やみのなかで
投稿者: 金子左千夫
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