最近、道路工事の現場や、上水道の処理施設などに「テロ警戒中」という立て看板をよく見かけるようになった。そんな看板見たことないという人も多いだろうし、正直、私も地震災害ほどにはリアルな危機感を持っていない。
東京や大阪などの大都市以外は関係ないとも考えられる。しかし、こんなことを聞いたことはないだろうか。一時期、屋外設置のATMが重機で丸ごと持ち去られる事件が相次いだ。そうした設備は当然ながら大都市に多いわけだが、取締りが強化されるに従って、幹線道路に沿うようにして、徐々に警戒の薄い郊外に拡散していったのである。これは、多くの組織的犯罪に共通している。
テロに関しても、同じことは想像できる。都内を歩くとよく分かるが、ターミナル駅には30cmほどの台の上に警官が無線を聞きながら立って警戒に当たっている。国会周辺に行けば、あちらこちらに物々しい車両が止まっている。本気でテロを実行しようとした人間がいた場合、確かにその「効果」は大きいかもしれないが、実行に至らない可能性がある警戒強化地域よりも、その周辺にターゲットを絞る可能性は少なくない。
ならば、田舎なら関係ないか。確かにその可能性は低い。しかし、テロリズムという手段がこれだけ一般社会に「認知」されてしまった以上、それを無視することはやはりできない。国だけでなく、全自治体にとっても大きな課題であるのだ。
昨年成立した国民保護法に基づき、都道府県は年度内に国民保護計画を策定する。着上陸侵攻、弾道ミサイル攻撃、ゲリラ攻撃に加えて、テロが想定すべき主要対象に挙げられている。来年度には、2,000を切ったとは言え、これだけの自治体がこれらの想定を踏まえた市町村の国民保護計画を策定しなければならない。
それを踏まえつつ、現在、私は都内のある自治体において、テロ、しかも最も想定が甘いとされているバイオ・テロへの対応検証に携わっている。一つ一つリアリティの高い想定を構築し、それに対する役所としての想定対応を考え、発生すべき混乱を埋め込みつつ、シミュレーション訓練のシナリオを作っている。
本番は8月。結果がどう出るかは、当日次第だが、相当実践的な成果を生み出すことができると思う。少なくとも現段階で見えている結論の一つは、「このままでは机上論に過ぎない」である。