『なまくら』 吉橋通夫 講談社 2005
日本児童文学誌に掲載された短編を読んで、わぁ、うまいなあ、と印象に残っていたが、本作は、それらを集めた短編集。
表題作、ほか6編。
舞台は京都近辺。時代は江戸明治。
底辺に生きる少年少女たち。
どの子も、自分の腕一本で、生きる糧を得ている。
日々生きていくのに必死だ。
ときに、道を外れそうになる。しかし、
「終わりが見えていれば、たいていのことはしんぼうできる」
「いまからでもおそくはない。引き返すことはできるはずだ」
と、子どもたちは前を向いて歩く。
「あやまちをおかさずに生きてる者など、この世にひとりもおらん。あやまちをつぐなう勇気があるかどうかや」
と支えてくれる人が、一人でもいれば、まっすぐ生きていける。
後味のいい短編。宮部みゆき、浅田次郎に通じる、適度な通俗性と人情味。
やっぱり、うまいなあ。。。
京都・奈良、あるいは高知、地名を聞いただけで、うわーっと歴史的香りがただよってくる町に住んでいる人はうらやましい。
小路を歩いただけ、坂を上っただけで、そこここに遺跡や遺稿があり、角を曲がったら、当時の少年少女に出会いそうな町・・・いいなあ。
こちとら、なんにもないもんね。と、ちょっとひがんでみたが、え? 吉橋さんって、近畿在住じゃないの?とびっくり。
はい、すいません。どこに住んでいても、想像力と資料を読み込む力があれば、小路のほの暗さ、川の匂い、人々の息遣いが描けるのですね。

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