『フラガール』
監督 李相日
平山まどか 松雪泰子
紀美子 蒼井優
小百合 山崎静代(南海キャンディーズ、しずちゃん)
紀美子母 冨士純子
石炭産業斜陽化の中、福島県、常磐炭鉱では、ヤマの縮小と人員整理の一方、これまで捨てていた温泉を利用してリゾート施設を作ることになった。それは鉱山の生き残りを賭けた、一大プロジェクトである。
あの当時、ほんとに大きな話題になったものだ。
炭鉱に、なぜ、ハワイ?!
しかも、フラダンサーは、炭鉱夫の娘っ子たち?!
という実話を下敷きにした映画。
これが、予想外の拾い物だった。
フラダンサー募集のポスターを見た早苗は、ボタ山で、幼馴染の紀美子を誘う。
「爪の間に入った炭は、いくら石鹸で洗っても、とれねえ。
おら、まんだ18だよ。こっから出るには、これしかねえべ」
早苗は、母亡き後、幼い弟妹の世話をしながら選炭場で働いている。
紀美子だって、母は選炭場、兄は炭鉱夫。父は落盤で死亡。
炭住の長屋に住む人たちは、みんな、おなじような境遇だ。
フラダンスなんて見たこともない。まして、ハワイなんて、遠い、夢みたいな世界だ。
SKDのトップダンサーだったという平山先生がやってくる。
「あんたに、炭鉱のなにがわかる」
「こんなうらぶれたところに来るには、わけアリに決まっている」
周囲の視線は冷たい。
そんな中、集まったのは、早苗、紀美子、子持ちのメガネ、そして、首一つでかい小百合。
4人とも、ダンスのダの字もできない。
先生は、契約が切れたら、さっさと逃げ帰るつもりだ。いや、もう、明日にでも帰りたい。
娘っ子たちも、そんな先生に反発する。
しかし、翌朝、先生が一人で踊っている姿に、4人は魅了される。
これが、本物のフラだ!
(このダンスは、フラのイメージとは違う、激しい情熱的なソロの踊り)
以下、ネタばれあり。
しかし、紀美子の母は許さない。紀美子は、稽古場に泊まりこむ。
やがて、仲間もふえ、熱心に稽古に励む。
ところが、早苗一家は夕張へ移住することに。
「紀美ちゃんがスターになったら、わたし、赤ん坊のときから知ってんだよって自慢すっから」
泣きながら去っていく早苗。
ようやく、なんとか形になったものの、人前でなかなか笑顔が作れない。
とうていプロとは言えない、もう降りる!と怒る先生。
チームワークがとれたところへ、今度は落盤事故。
と、まあ、定石通り、山あり谷あり。
早苗だけでなく、みんなそれぞれ、家庭の事情があり、それぞれ、暮らしを背負っている。
そういった事情は、山あり谷ありに絡むが、あまり踏み込まない。
フラの魅力にとりつかれ、もっとうまくなりたいと練習する娘っ子たち。
それも、ただの趣味ではない。
いまの境遇を抜け出したい、自分で自分の道を切り拓きたい。その手段なのだから、必死さが違う。
最初は逃げ腰だったのが、次第に娘っ子たちの熱意にほだされていく先生。
その絡みと成長に焦点をあてている。だから、湿度が低く、とても心地よい。
定石とわかっていて、心地よく、涙が出る。
ラスト。紀美子は、早苗から送られた造花を髪につけ、あの、先生が踊ったソロを見事に踊りきる。
晴れ舞台で力いっぱい踊る娘っ子たちの、汗と笑顔がまぶしい。思わず、拍手をしたくなった。
これと同じシチュエーションで、イギリス映画『ブラス!』があったが、こっちの方が、ビジュアルにきれいで楽しい。
『リトルダンサー』は、個だったが、こっちはマスだし。
たしか、アカデミーに日本代表として出品決まる、と聞いたが、こういう内容は万国共通、理解と共感を得るんじゃないかな。結果が楽しみだ。

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