暗い丘は眠る
Спят
курганы
тёмные
♪ 暗い丘は眠っている
陽に灼かれて
白い霧が
次々に流れてくる…
ざわめく林と
緑映える草原を抜けて
ドネツ河のほとりのステップに
若者は出た…
(中島章利訳)
※「丘」と訳したкурганは、ここでは南ロシアのステップに見られる物見塚、墳丘のことを指すと思われます。
おそらく本邦初紹介になる曲だと思われます。
1939年の映画『偉大な生活Большая жизнь』の音楽。
作詞
ボリース・ラースキンБорис Ласкин (1914-1983)(詩人、映画シナリオ作家、ユーモア作家)
作曲
ニキータ・ボゴスローフスキィНикита Богословский(1913—2004)「闇夜」(暗い夜)の作曲者。


左:ラースキン。右:若き日のボゴスローフスキィ
映画のあらすじ:
ぎこちなくて親しみにくい若者が、やがて仕事仲間との間で自分に目覚めていく様子を描いていた作品。
1935年から繰り広げられたスタハーノフ運動が背景にあります。
アレクセーイ・スタハーノフはドンバス炭鉱の採炭労働者。1935年にドンバス炭鉱で採炭量の超人的記録を樹立。これを契機にして「スタハーノフに続け!」と、作業能率を高めていこうとする「スタハーノフ運動」が起こりました。いわゆる生産性向上運動です。
当初は自発的なものとして始まったものでしたが、その後、強制的なものに転化してしまい、失敗に終わりました。
映画のスクリーンで流れるこの曲にはただの一人の「英雄」も、「悪役」も登場しません。映画とのこの対照、これがこの曲が成功した要因のようです。
俳優で歌手でもあった
故マールク・ベールネスМарк Бернесなど多くの歌手がカバーしています。
今回はリェーフ・レシチェーンコЛев Лещенко(バリトン)の歌唱でお送りします。
1989年、ボゴスローフスキィ作品コンサートから。
ソ連末期-ペレストロイカ後期-にこの曲が演奏されていることは、この曲が市民にとってどのようなものとして受け取られているかをよく示しているといえましょう。

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