「コンサートの日々──2」
「花の名」は1980年、作曲家萩京子24歳(!)の時の作品でこんにゃく座の「もうすぐ十周年」というコンサートで初演された(初演メンバーは竹田恵子・新田英開……ピアノは志村泉氏かな?)。
──列車に偶然乗り合わせた男と女。同棲しちまった甥を結婚させるために上京する男と父の葬儀を終えて故郷から帰京する女。男は陽気にくったくなく話しかけるのだが女は父を失った悲しみを胸に会話はかみ合わない。「吉凶あいむかい賑やかに東海道をのぼるよりしかたなさそうな」車中でのお話。
この作曲の経緯については萩さん自身が『フィガロの結婚』のおぺら小屋(プログラム)で詳細に書いていてとてもとても興味深いです。
この作品に対して作曲者は「オペラへの助走のような気持ちで取り組んだ」と発言していて、「どこからみても私の曲で」「曲に萩京子というハンコが押してあるようなもの」と言っているがまったくそうだなあと思う。
この作品には萩さんの素晴らしいところがギュッとつまっている。曲の始まりのとても突然な感じがまずいいし、次々と語られる言葉にある時は添いある時は対峙する和音とメロディーとリズムはなんともはやどこを切っても美しい。また曲中何度も出てくるテーマっぽいフレーズ(聴かせてあげられないのがもどかしい!)がこれまたどえりゃあいいのですよ! そしてそのフレーズの繰り返しが終わりに大団円をなして盛り上がりしかし最後はなんともいえない余韻をもって静かに終わる。僕はもう何度歌ってもラストのあたりでうるうるしてしまう。
もう誰がなんと言おうが傑作だと思うのであります、バンバン!