「僕が歌う歌──6」
そこから或る程度まで上達するのに時間はかからなかったと思う。先輩たちに「あの曲はこうやって弾くんだよ」なんて教えてもらったり、友達に「おい、こんなの弾けるかよ」なんておどかしっこしたりした。しかしまあ、独学だったし他にもいろんなことをやっていたのでギターだけやってるわけにもいかず「くよくよするなよ」あたりでばったり上達は止まった。
けれどフォークギターの三種の神器ピックと音叉とカポタストを駆使することによってかなりいろんな曲を楽しめるようになった。カポタストというのは通称カポといって6本の弦をフレットのところにかまして6本の弦を平行に均一に押さえることによって調性を移動できる器具。
例えば2台ギターで一本をカポなしのG(ト長調)、もう一本のギターのフレットの五つ目にカポをかませてCのコードを弾くと理論的にはこれも同じGの和音になる。だが音の構成が違うのでこれで2台を同時に弾くととってもかっこいい豊かな音になるのだ(当時誰でもやっていた)。
しかしとにかくとにかくピーター・ポール・アンド・マリー=PPMはこういうギターワークと男性二人と女性一人のとってもソフィスティケイテッドされたコーラスワークがメチャクチャよかった。ブラザース・フォーやキングストン・トリオも(フォークブームはかなり下火ではあったが)まだ人気があったと思うが僕にはその音が泥臭かったり青臭く感じたりした。やっぱりPPMがとてもステキに思えたのだ。