「小泉八雲について──1」
唐突だけれど小泉八雲が好きだ。もうずいぶん前から。
僕の部屋の本棚には新潮文庫・小泉八雲集上下巻(古谷綱武編)が入っている。いつ買ったのかもう覚えていないが。奥付をみると初版が昭和27年。昭和47年で36刷となっている。昭和47年といえばボクは14歳で中学生の頃だ。そのころ買ったのだろうか。印刷年月日が購入時期とはもちろんいえないが、どちらにしてもガキのくせにえらく地味な選択だなとは思う。
この小さくて古めかしい文庫本は空気のような存在になってしまっていてもうずっと本棚の奥の方に埃をかぶって小さくうずくまっている。一年に一回くらいふいと気がついた時そんなたたずまいを発見して「あ、あるな」と思うくらいだった。そしてもう紙も焼けてまわりはすり切れてボロボロになった(以前はずいぶん持ち歩いていたようだ)この本をさらに数年に一度くらいの間隔で時折なんとなくひらいていた。
この本をとても大切なものだときちんと確認しだしたのはわりと最近だ。そう思って「あの本はどこへいったっけか、たまに本棚の片隅でみかけるんだが」とさがしたときにはすでに下巻が見あたらなくなっていた。どうしても読みたくて書店を探したけれどすでに絶版。新潮文庫から小泉八雲集が出てはいるが別のものだ。
それをやっと手に入れたのはインターネットの“日本の古本屋”というサイトで値段も安くさがしあててからだ。このときはインターネットの便利さを痛感した。本が手元に送られてくる時のわくわく感もひさしぶりに感じた。