2008/5/12

〔六〕大国主神の子孫 (古事記51)  古事記6 大国主神の事跡

そんなわけで、大国主神(おほくにぬしのかみ)は、宗像の沖津宮(おきつみや)に住んでいる、多紀理毘売命(たきりびめのみこと)と結婚して生まれた子どもは、阿遅鉏高日子根神(あぢすきたかひこねのかみ)が生まれた。次に産まれたのは妹高比売命(いもたかひめのみこと)といい、別名を下光比売命(したてるひめのみこと)と言った。
この阿遅鉏高日子根神(あぢすきたかひこねのかみ)は、別名として今では迦毛大御神(かものおおみかみ)という神様だ。

大国主神(おほくにぬしのかみ)が、今度は神屋楯比売命(かむやたてひめのみこと)と寝て産ませた子どもが、事代主神(ことしろぬしのかみ)である。

また八島牟遅能神(やしまむぢのかみ)の娘である、鳥取神(ととりのかみ)と寝て産ませた子どもが、鳥鳴海神(とりなるうみのかみ)である。

この神様が、日名照額田毘道男伊許知邇神(ひなてりぬかたびちおいこちにのかみ)と寝て産ませた子どもが、国忍富神(くにおしとみのかみ)である。

この神様が、葦那陀迦神(あしなだのかのかみ)、別名を八河江比売(やがわえひめ)という神様と寝て産ませた子どもが、速甕之多気佐波夜遅奴美神(はやみかのたけさはやぢぬみのかみ)である。

この神様が、天之甕主神(あめのかぬしのかみ)の娘である、前玉比売(さきたまひめ)という神様と寝て産ませた子どもが、甕主日子神(みかぬしひこのかみ)である。

この神様が淤加美神(おかみのかみ)の娘である、比那良志毘売(ひならしびめ)という神様と寝て産ませた子どもが、多比理岐志麻流美神(たひりきしまるみのかみ)である。

この神様が比々良木之其花麻豆美神(ひひらきのそのはなまづみのかみ)の娘の活玉前玉比売神(いくたまさきたたひめのかみ)と寝て産ませた子どもが、美呂浪神(みろなみのかみ)である。

この神様が敷山主神(しきやまぬしのかみ)の娘である青沼馬沼押比売(あをぬまぬおしひめ)と寝て産ませた子どもが、布忍富鳥鳴神(ぬのおしとみとりなるのかみ)である。

この神様が若尽女神(わかつくしめのかみ)と寝て産ませた子どもが、天日原大科度美神(あめのひばらおほしなどみのかみ)である。

この神様が天狭霧神(あめのさぎりのかみ)の娘である遠津待根神(とほつまちねのかみ)と寝て産ませた子どもが、遠津山岬多良斯神(とほつやまさきたらしのかみ)である。

右に挙げてきた八島士奴美神(やしまじぬみのかみ)から遠津山岬多良斯神(とほつやまさきたらしのかみ)までを、十七世の神という。

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2007/11/30

〔五〕須勢理毘売の嫉妬2(古事記50)  古事記6 大国主神の事跡

そんなわけで、八千矛の神(やちほこのかみ)の奥さんである須勢理毘売(すせりびめ)は、盃をとって、八千矛の神(やちほこのかみ)に近づき盃を高く上げて歌を歌った

八千矛(やちほこ)の 神の命や
吾が大国主(おほくにぬし)
汝こそは 男に坐すれば
打ち廻る 島の埼々(さきざき)
かき廻る 磯の埼落ちず
若草の 妻持たせらめ
吾はもよ 女にしあれば
汝を除て 男はなし
汝を除て 夫はなし
綾垣(あやかき)の ふはやが下に 蚕衾(むしぶすま)
にこやが下に 栲衾(たくぶすま)
さやぐが下に 沫雪(あわゆき)の 若やる胸を 
栲綱(たぐつの)の 白き腕(ただむき) 
そだたき たたきまながり 真玉手(またまで)
玉手さし枕き 股長(ももなが)に
寝(い)をし寝(な)せ
豊御酒(とよみき) 奉(たてまつ)らせ


〔訳者意訳〕
八千矛(やちほこ)の 神様よ
わたしの大国主(おほくにぬし)よ
あなたは 男性なのですから
行く先々の 島々に
若くてぴちぴちした 愛人がいることでしょう
そうはいっても 私は女性ですから
あなた以外の 男性は考えられず
あなた以外の 夫はありません
綾垣(あやかき)がさえぎる ふわりとした布と 柔らかな布団
ふわりとした 柔らかな布団
さらさらと音を立てる 沫雪(あわゆき)のような ぴちぴちの胸を
白い腕で 
抱いて 抱き合ってください その手で
その手を伸ばして あなたの足も伸ばして 
ゆっくりと寝てください
そしてこのお酒を 飲んでください

と歌った。
このように歌って、お酒を酌み交わして、互いに体を寄せ合い、セックスをした。
これを神様の特別の歌である、神語(かむがたり)という。

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2007/11/26

〔五〕須勢理毘売の嫉妬1(古事記49)  古事記6 大国主神の事跡

八千矛の神(やちほこのかみ)の奥さんである須勢理毘売(すせりびめ)はものすごく嫉妬深かった。
そんなわけで、旦那の八千矛の神(やちほこのかみ)はずいぶんと困っちゃって、出雲(いずも)から大和(やまと)のほうに引っ越そうとした。荷造りして出発しようとしたとき、八千矛の神(やちほこのかみ)は、片手を馬の鞍(くら)に手をかけて、片足を鐙(あぶみ)にかけて歌った。

ぬばたまの 黒き御衣(みけし)を 
まつぶさに 取り装(よそ)ひ 
沖つ鳥 胸見る時
はたたぎも 此も適はず 
辺つ波 背に脱き棄て 
山県(やまがた)に 蒔きし
異蓼(あたたで)春(つ)き 染木(そめき)が汁に
染(し)め衣を まつぶさに 取り装い 
沖つ鳥 胸見る時 
はたたぎも 此し宜し
いとこやの 妹(いも)の命(みこと)
群鳥(むらとり)の 我が群れ往なば
引け鳥の 我が引け往なば
泣かじとは 汝は言ふとも
やまとの 一本薄(ひともとすすき) 
項傾(うなかぶ)し 汝が泣かさまく 
朝雨の 霧に立たむぞ 
若草の 妻の命(みこと)
事の語言(かたりごと)も 是をば


〔訳者意訳〕
黒い服を
丁寧に 整頓して身につけて
沖にいる鳥が 胸のあたりを口先で掃除して旅支度を整えるように
そでを動かしてばたばたしてみるんだけれども なんだかしっくり来ない
寄せては引く波のように 服をうしろに脱ぎ捨てて
山の畑に 蒔いた 
カッコいい蓼藍(たであい)の根っこをすり潰した 染料で
染め上げた衣服を 綺麗に 準備をして
鳥のように 胸を見て 
そでを動かしてばたばたしてみたら 今度はしっくりと来た
とっても愛しい 私の奥さん
鳥の群のように 私たちがいなくなってしまったら
鳥の群に引かれるように 私が行ってしまったら
泣いたりするものかと あなたは言うかもしれないけれども
山の 一本のすすきのように
頭を垂れて あなたは泣いてしまうだろう
悲しみの吐息は霧となってしまうだろう
若草のように若くぴちぴちした 私の奥さん
こういった 歌を 歌わせてもらいます

と八千矛の神(やちほこのかみ)は歌った。

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2007/11/24

〔四〕沼河比売への求婚2(古事記48)  古事記6 大国主神の事跡

そんなことがあっても、その沼河比売(ぬなかはひめ)は門戸を開かず、家の中から歌を歌った。

八千矛(やちほこ)の 神の命(みこと)
萎草(ぬえくさ)の 女(め)にしあれば 
我が心 浦渚(うらす)の鳥ぞ
今こそは 我鳥(わどり)にあらめ
後は 汝鳥(などり)にあらむを
命は な殺(し)せたまいそ
いしたふや 海人馳使(あまはせつかい)
事の 語言も 是をば


[訳者意訳]
八千矛(やちほこ)の 神様
萎草(ぬえくさ)の 女なのですから
私の心は 浦渚(うらす)の鳥のように恋焦がれています
今という時間には 自分勝手に振る舞っていますが
おいおい あなたのお相手をすることになるでしょう
神様ったら 殺したりしないでください
海に生きる人間の使い走りとして
こういった 歌を 歌わせてもらいます


青山に 日が隠(かく)らば
ぬばたまの 夜は出(い)でなむ
朝日の 笑み栄え来て
栲綱(たぐつの)の 白き腕(ただむき)
沫雪(あわゆき)の 若やる胸を
そだたき たたきまがなり 真玉手(またまで)
玉手さし枕(ま)き 股長(ももなが)に 
寝(い)は寝(な)さむを
あやに な恋聞こし
八千矛(やちほこ)の 神の命(みこと)
事の 語言も 是をば


[訳者意訳]
青々と木々が生い茂った山に 日が沈んだならば
夜においでになってください
朝日のように 笑顔でいらっしゃって
白い私の腕を
沫雪(あわゆき)のような 若くてぴちぴちした私の胸を
抱いて 抱き合ってください その手で
その手を伸ばして あなたの足も伸ばして 
ゆっくりと寝てください
あんまり簡単に 女性を求めるものではないですよ
八千矛(やちほこ)の 神様よ
こういった 歌を 歌わせてもらいます


と歌った。
そんなわけで、その夜は顔をあわせないで、翌日にセックスした。

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2007/11/15

〔四〕沼河比売への求婚1(古事記47)  古事記6 大国主神の事跡

この八千矛神(やちほこのかみ)は、高志国(こしのくに)の沼河比売(ぬなかはひめ)と結婚しようとした。
出かけていったとき、沼河比売(ぬなかはひめ)の家に到着して歌を歌った。

八千矛(やちほこ)の 神の命は 八島国(やしまくに) 
妻枕きかねて(つままきかねて) 遠々し(とほとほし) 高志国(こしのくに)に 
賢し女を(さかしめを) 有りときかして 
麗し女を(くわしめを) 有りと聞こして 
さ婚ひに(さよばいに) あり立たし
婚いに(よばいに) あり通はせ
太刀が緒も 未だ解かずて
襲(おすひ)をも 未だ解かね
嬢子の(おとめの) 寝やす板戸を 押そぶらひ
我が立たせれば 引こづらひ
我が立たせれば 青山に 鵼(ぬえ)は鳴きぬ
さ野つ鳥 雉(きざし)はとよむ
庭つ鳥 鶏(かけ)は鳴く
心痛くも(うれたくも) 鳴くなる鳥か
この鳥も 打ちやめここせね
いしたふや 海人馳使(あまはせつかい)
事の 語言も(かたりごとも) 是をば(こをば)


〔訳者意訳〕
八千矛(やちほこ)の神様は、島がいっぱいある日本という国にいる
奥さんを求めて結婚したくて 遠い遠い 高志国(こしのくに)に
賢いいい女がいると聞いて
綺麗な美しいいい女がいると聞いて
結婚をしようと思ってやってきた
結婚をしたくて通い詰めて
刀の緒も解くこともなく
上着を脱ぐこともなく
女の家の玄関を何度もおしてみた
何度も厳寒を引っ張ってみた
そうして玄関前で立っていると、山のほうで鵼(ぬえ)が鳴き始めた
雉(きじ)も鳴き始めた
鶏(にわとり)も鳴き始めた
残念なんだけれども 鳥が鳴いてしまったか
こんな鳥なんか、撃ち殺してやりたい
海人の走り使いよ。
語りごととして、このことを申し上げます

とこのように歌った。

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2007/11/13

〔三〕根国行き3(古事記46)  古事記6 大国主神の事跡

そんなことがあって、黄泉比良坂(よもつひらさか)まで須佐之男命(すさのおのみこと)が追っかけてきて、遠くまで逃げてしまった大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)たちに向かって叫んで言った。

「おまえが持っているスゴイ剣とスゴイ弓を使って、おまえの兄弟たちを坂の裾にまで追い込んだり、また川の中にまで追い込んだりして、おまえは大国主神(おおくにぬしのかみ)になる。また、宇都志国玉神(うつしくにたまのかみ)となって、俺の娘である須勢理毘売(すせりびめ)を正妻にして、宇迦(うか)の山のふもとに、地底の岩盤に宮柱を太く立てて、高天原に高く樹木をそびえるデカい宮殿を造って住め。この洟垂れ小僧め。」と言った。

そんなわけで、スゴイ太刀と弓を持って、兄弟たちを追い払う。坂の裾まで追い込んだり、川の中まで追い込んだりした。そして国を作り始めた。

そして八上比売(やがみひめ)はまえの約束のとおり、大国主神(おおくにぬしのかみ)と結婚した。そして、その八上比売(やがみひめ)を因幡(いなば)から出雲へとつれてきたが、八上比売(やがみひめ)は正妻の須勢理毘売(すせりびめ)を怖がって、自分が産んだ子どもを木のまたにさしはさんで、因幡(いなば)へと帰っていった。
だからこの子どもの名前を、木俣神(きのまたかみ)といい、別名の御井神(みいのかみ)といった。

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2007/11/11

〔三〕根国行き2(古事記45)  古事記6 大国主神の事跡

そんなわけで、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)の奥さんの須勢理毘売(すせりびめ)は、葬式の準備をして泣いた。そのお父さんの須佐之男命(すさのおのみこと)は、もう死んだだろうと思って、焼け野原に仁王立ちしていた。
そこに例の鏑矢(かぶらや)を持って、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)が焼け野原から帰ってきた。

そこで須佐之男命(すさのおのみこと)は大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を家に連れて行って、大きな部屋へと呼び入れて、須佐之男命(すさのおのみこと)の頭にいる虱(しらみ)を取るように命令した。
言われて須佐之男命(すさのおのみこと)の頭を大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)が見てみると、ムカデがうじゃうじゃいた。
そんな状況なんで須勢理毘売(すせりびめ)は、椋(むく)の木の実と粘土を手にとって、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)に渡した。
それを貰って大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は、その木の実を食いちぎり、粘土を口に入れて吐き出した。その音を聞いて須佐之男命(すさのおのみこと)は、ムカデを食いちぎって吐き出しているものと思って、安心して寝てしまった。

その様子を見て大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は、須佐之男命(すさのおのみこと)の髪をつかんで、その部屋の柱に結び付けて、大きな石で部屋の入り口をふさいでしまって、奥さんの須勢理毘売(すせりびめ)を背負って、須佐之男命(すさのおのみこと)のスゴイ太刀とスゴイ弓矢と、さらに天の沼琴(あめのぬごと)を持って逃げ出した。
その時、天の沼琴(あめのぬごと)が木に触って音がでてしまい、大地が鳴動してしまった。
その音で寝ていた須佐之男命(すさのおのみこと)は驚いて起きて、その部屋を壊してしまった。
柱に結び付けられた髪の毛を須佐之男命(すさのおのみこと)が外しているあいだに、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)たちは逃げてしまった。

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2007/11/9

〔三〕根国行き1(古事記44)  古事記6 大国主神の事跡

こんなゴタゴタがあったあと、兄貴たちがまた大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)をハメて山に連れ込んだ。大木を切り倒して、楔(くさび)をその大木に打ち込み、その楔(くさび)の割れ目に大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を入れたあとに楔(くさび)を外し、はさみ殺した。
そしたらまたお母さんの神様が泣きながら大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を探していて、死んでいる状況を見たとたん、その大木を裂いて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を引っ張り出して生き返らせ、せがれに言った。「あんたはここにいたら、また兄たちに殺されちゃうよぉ」と言うと、すぐに木の国〔訳注:紀の国=和歌山〕にいる、大屋毘古神(おほやびこのかみ)のところに連れて行った。

これを知った兄貴たちは探して追って来て、弓矢をひいて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を出すように要求したところ、大屋毘古神(おほやびこのかみ)は木の股から大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を逃がして言った。「須佐之男命(すさのおのみこと)がいる、根の国に行ったらいいんじゃないでしょうか。必ず須佐之男命(すさのおのみこと)が助けてくれますよ」。

そこでその話のとおりに、須佐之男命(すさのおのみこと)の御殿にいったところ、その娘の須勢理毘売(すせりびめ)が出てきて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を見て、目を見ただけで結婚しちゃった。家の中に入れて、父親の須佐之男命(すさのおのみこと)に「チョーカッコいい人がいらっしゃったんですよ」と言った。
それを聞いた須佐之男命(すさのおのみこと)が出てきて「こいつ葦原色許男命(あしはらしこをのみこと)っていうやつだよ」と言って、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を家の中に呼び入れて、蛇がいっぱいいる部屋に寝かせた。
こんなことがあったんで、妻になっちゃった須勢理毘売(すせりびめ)は、蛇を追い払う布を大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)に渡して、「その蛇を追い払うには、その布で蛇を三回叩いてください」と言った。
このアドバイスを受けて、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)がその通りにやってみたら、蛇はおとなしくなった。
須勢理毘売(すせりびめ)のおかげで無事に蛇の部屋で寝たあとも、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は蛇の部屋から翌朝出てこれた。
また今度次の日になると、ムカデと蜂がいる部屋に入れられたもんで、妻になっちゃった須勢理毘売(すせりびめ)は、もう一度ムカデと蜂を追い払う布を渡して、同様に大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)にアドバイスをした。
そんなわけで、やっぱり平気でムカデと蜂がいる部屋から出てこれた。
今度は鏑矢〔訳注:音を出しながら飛んでいく矢のこと〕を広い野原に向けて射って、その矢を大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)に拾わせようとした。その矢を探しに野原に入っている時に、須佐之男命(すさのおのみこと)は野原に火を放って焼いてしまった。出口が分からなくて困っていると、ネズミが出てきて、「内側はからっぽだけれども、外の入り口が狭いところがあるよ」と言った。
それを聞いて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は、その場を足で踏むと、穴に落ちて隠れているあいだに、火は収まった。そのあいだにネズミが鏑矢を持ってきてくれて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)に持ってきてくれた。その鏑矢の羽は、そのネズミのこどもに食べられてしまっていた。

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2007/6/2

〔二〕大国主神の受難(古事記43)  古事記6 大国主神の事跡

はてさて、八上比売(やがみひめ)は、アニキの神様たちに答えて言った。
「わたしあんたたちの話なんか聞きたくないの。大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)と結婚したいのよ」と言った。

そんなわけで、兄貴たちがブチ切れた。大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)を殺そう思って策を練った。
そして伯耆国(ほうきのくに)〔訳注:鳥取県〕の手間山のふもとへ行った。
「なんかこの山に、赤いイノシシがいるんだって。俺らがオイコミかけるから、オマエはそいつを捕まえろよ。もし捕まえなかったら、絶対殺すからね」といった。
んでもそれはイノシシじゃなくて、イノシシそっくりの石を火で焼いて転ばしたものだった。
そんなもんだから、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)が石をつかむとき、その石に焼かれてすっ転んで倒れて死んじゃった。

こんなわけで、おかあさんの神様が泣いて残念がって、高天原(たかあまはら)へ行って、神産巣日神(かむむずひのかみ)に相談した。
そんなわけでキサ貝比売(きさがいひめ)と蛤貝比売(うむぎひめ)を遣わせて、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)の治療をさせた。

その結果、キサ貝比売(きさがいひめ)は赤貝の貝殻を削って粉を集めて、蛤貝比売(うむぎひめ)はそれを受け取って、乳白色の薬といっしょに大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)の体に塗ったら、カッコいい男として復活したのだった。

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2007/5/23

〔一〕因幡の素兎(古事記42)  古事記6 大国主神の事跡

それでもって、この大国主神(おおくにぬしのかみ)の兄弟は、いっぱいいた。でも、みんなじぶんの国を大国主神(おおくにぬしのかみ)に譲ってしまった。なんでかと言うと、女。みんな因幡に住んでいる八上比売(やがみひめ)と結婚することに夢中になっちゃったのだ。
みんなで口説きに行こうとしたとき、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)〔訳注:大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)と大国主神(おおくにぬしのかみ)はおなじ神様。出世魚の如く、大国主神(おおくにぬしのかみ)へと名前が変わる〕に荷物もちをさせて、パシリとして同行させた。

そんなこんなで気多(けた)の岬についたら、毛がなくなっている兎が倒れていた。これを見て兄貴たちは、その兎に話を聞いて、こう言った。「オマエがしなきゃいけないことは、この海の水を塗りたくって、風にあたって、高い山のてっぺんで横たわることだよ」。そんなわけで、その兎は兄貴たちの忠告を聞いて、山のてっぺんで横になっていた。

そんなことをしたせいで、痛いわ苦しいわで泣いていたら、最後にやってきた大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)がその兎を見て、「なんでオマエは泣いているんだ?」と聞いた。兎は答えた。
「私は淤岐の島(おきのしま)にいたんですが、こっち側の陸地に来たかったんです。しかし、こっち側に来る方法がありませんでした。そんなわけで、海のサメを騙したんです。『あんたと俺を比べて、仲間の多い少ないを数えてみようじゃん。ってわけで、あんたはちょっと自分たちの仲間をみんな連れてきてくれないかな。この島から気多(きた)の前までみんな並ばせてみてよ。そしたら、俺があんたたちの上を踏んで、走りながら数えてみるよ。そうすりゃどっちの仲間が多いか分かるじゃん』って話をしたんです。

そんなふうに言って、騙して並ばせて、わたしは数えながら海を渡って、最後にこっちの陸地に着く直前に、『ごめん、こっち岸に渡りたかったから騙したんだ♪』と言っちゃったんです。
そしたら最後のサメが怒っちゃって。私を捕まえて毛皮をぜんぶ取っちゃったんです。

こんな理由で泣きながら痛いなぁと思ってたら、さっき来た偉い神様たちが、『海水浴びて、風に浸かりながら寝てればいいよ』っておっしゃったんです。
そんなわけで、教えられたとおりにやってみたら、この通り酷い有様ですよ。」

これを聞いて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は、その兎に教えた。
「今すぐこの河口に行って、ふつうの水で体を洗いなさい。そしてその河口にある蒲の花(がまのはな)をとって敷き散らして、その上でごろごろ寝転びなさい。そうしたら、その傷ついた体がちゃんと治りますよ」と言った。
そんなわけで、その教えのとおりにしたら、兎の体はもとのとおりに治った。
これが因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)という。

そんなわけでその兎は、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)に言った。
「あの意地悪な神様たちは、絶対に八上比売(やがみひめ)をものにできないでしょう。袋を背負って安い役目のあなたですが、あなたこそ八上比売(やがみひめ)を手に入れることができるでしょう」と言った。

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