気になるのことがあるので、今日はもう一つ。
週末あたりから、耐震強度偽造問題が大きく取り上げられている。問題を起こした業者は論外だし、建築基準法(の運用)上の課題もさることながら、耐震工事をネタにした住宅リフォーム詐欺の問題も絡めると、一つの不作為が浮き彫りになる。
過去に何度か書いているが、個人住宅の耐震化に関する不作為がそれだ。地震列島日本、再保険(保険会社どうしの保険)料世界一(地震ゆえ)の日本。もはや常識のレベルかもしれないが、阪神・淡路の死者のうち8割は住宅倒壊による圧死・窒息死。当然ながら、耐震性についての関心とニーズは高い。
自助努力は不可欠で、政治・行政だけに帰一するものではないにしろ、政治・行政の果たすべき一つの責任がここにあるはずだ。自治体の一般的な推進枠組は、耐震工事の前提となる診断(3万円程度)の一部への補助により、まずは耐震診断促進。そこまでの自治体も多いが、その上で、100万〜300万円程度かかる耐震工事にも数十万円の補助を出す自治体もある。
耐震化が進まない主要因は、まさに「金がかかる」ことにあるから、その意味で、費用の直接補助による政策的耐震化促進は今後も必要だろう。しかし、言わずもがな、昨今の財政難と全面的耐震化にかかる膨大なコストを考えれば、費用補助による耐震化促進には限界がある。
だからこそ、公的地震保険が必要だ。
昨年の中越地震でも問題になったが、天災により住宅を失った場合、100万円程度の資金を除いて、再建費用は公的補償されない。憲法における私有財産制の原則に加えて、自然災害が相次ぐ日本において公的保障を制度化すると、財政負担は膨大なものになるだろうから、現実化は難しい。災害リスクの低いアメリカが公的保障を行っていることを念頭に、「同じ様に…」というのは、やや全体的視野を欠くといわざるを得ない。
で、公的地震保険である。火災保険とセットの地震保険ではない。一定レベルの耐震化を自助努力によって行うことを条件に、天災によってその住宅等が被害を受けた場合には、公的保障を行うという保険である。条件設定にもよるが、万一被害を受けたとしても、公的保障の負担額は大幅に軽減されるだろうし、なによりも、それにより生命を危険にさらす人を減らすことができる。仮設住宅の建設費も抑制されるだろうし、死傷者軽減は被災地における即時の自助活動に大きく寄与する。
高額な費用負担を理由に耐震化工事に至らない場合には、公的地震保険の効用は限定的かもしれない。しかし、被災しうる人々を全体的に考えれば、また被災後までのトータルな財政負担を考えれば、都道府県もしくは国レベルでの公的地震保険の取組は、命と金と両面に必ず寄与する。何よりも、制度導入に関する費用負担を、直接の費用補助に比べて大幅に軽減できる。
保険だけが解決策ではないが、「耐震化」への不作為は、国・都道府県・市町村、全ての領域で改善されるべき問題であり、その不作為の積み重ねが、それにまつわる社会問題を引き起こしているに違いない。
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