残しておきたい多摩の自然
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写真家 島峰 譲「多摩の紅葉」を語る
秋の陽気にさそわれ、
気の向くままに一日中歩きまわった。
足元に草花が咲き、樹々の葉は微妙ながら
グラデーションに色ずき
季節という時間をゆっくりと刻んでいた。
都市近郊の多摩は、木と水の文化が色濃く残り、
四季を肌で感じとることが出来る
身近な自然の宝庫だ。
雑木林に代表される多摩の紅葉
自分自身の心の眼で感じとる、
身体の中の貯金通帳にまたひとつ
財産が貯まった。
1948年 新潟に生まれ。
1973年頃から多摩武蔵野をエリアに写真撮影活動に入る。
写真集に「武蔵野を撮る」他多数あり。
写真展に武蔵野百景他多数。
JR東日本地域カレンダー・
京王電鉄カレンダー等多数。
テレビ、ラジオ出演多数。
ぎょうせい月刊「悠」にて
フォトエッセイ「心の原風景」むさしのを連載。
本年、「甲州街道の桜」出版。
新聞、メディア等で話題になる。
多摩彩り五十景
「秋」。夏に成長した万物が縮み、結実する季節です。
「秋」の漢字を分解すると、禾は作物、火は束ねて納め、
乾かすことを意味しています。まさに収穫の季節を歌いあげて、
人々の喜びの笑顔が感じられる文字です。
心が躍ります。
そんな秋の日は、空が澄んで遠くの景色が手に取るように見えます。
その使者は移動性高気圧です。日本の近くを過ぎた低気圧の後にやってくる
大陸からの移動性高気圧に仕掛けがあるのです。
移動性高気圧の周辺は下降気流になっているので、
上空のチリの少ない空気が降りてくるから空が澄むのです。
先人は秋を象徴する、さわやかさを歌う言葉を数多く編みました。
「秋澄む」「秋日和」、さらに「物の音(ね)澄む」などと透明感のある季語に、
日本人が持つ細やかな心を感じます。
今も私たちの心を呼び覚ましてくれます。
秋色は、春の色とは逆に北から南へ下り、山から里へと
草木を染めながら降りてきます。
高浜虚子は、こう詠みました。
暫くは雑木紅葉の中を行く
モミジの紅葉黄葉、カエデ、ウルシ、ハゼ、イチョウ、ヌルデ、
カシワ、カキ、ウメ、ネム、ドウダン、シラカバ……
虚子が見た色とりどりの雑木模様は、
庭紅葉だったのだろうか、下紅葉だったのだろうか。
映ったものは紅葉の帳、あるいは紅葉の笠だったのだろうか。
光の頃は夕紅葉か。
東京の多摩地域の秋は長い。
最高地点は標高2017メートルの雲取山、
最低標高は10メートルの狛江市。
変化に富んだ地形は、所々で気候の違いを見せ、
それぞれ異なる秋の顔を作ります。
山装う所もあれば、草紅葉や一本桜もまた麗しい。
一般的に紅葉と言えば、カエデを指します。
フランス・ミシュラン社の日本の旅行ガイドブックで富士山と
ともに三ツ星を得た高尾山なら、イロハカエデともいう
タカオカエデの色づきを楽しみたいものです。
東京の母なる川・多摩川や秋川の渓谷美、
奥多摩湖周辺、狭山・多摩・秋川・
羽村草花といった低地の丘陵も
紅葉狩りの舞台です。
お住まいの近くにある一木一草は、
あなただけの秋光です。
お出かけください。
藤井 進 (元アサヒタウンズ編集長)
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