−故郷は遠くにありて思うもの−(室生犀星)
私は、東京周辺でこのような感覚を長い間、身にしみて感じていた。今は、故郷へ帰り大人の目でもう一度故郷を見つめ直している。
詩人吉田一穂は、積丹の古平町出身、難解な詩風で知られる。しかし、この句は、まさに月夜に波の音が聞こえる故郷の海のイメージを簡潔に詠っている。故郷を思えば、人はもっとも素朴な原点へ戻ると言うことだろうか。
積丹の海には奇岩が海に突き立っている。海の色は深い青を湛え、いまだ原始の香りが色濃く残っている。吉田一穂は、東京で遠い積丹の海の音と月の光を強く感じていたに違いない。故郷は遠ければ遠いほど愛しさが増す。
何度行っても、積丹の海の青と落ち行く夕陽と月をいまだ十分に見た気持ちになれない。通り過ぎるだけでは、そこに身を置いたに過ぎない。本当に感じるためには、いまなお繰り返し訪れるしかないのだろう。さて、今度の積丹への旅はいつになるのだろう。

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