2006/9/12

漁業権問題集中講座B「行為規制」  釣りのマナーとルール
 

前回説明したのは、「無免許・無許可の漁業の操業=開業規制違反」という意味での「密漁」。
この場合、密漁を行う者も、語弊はあるかもしれないが、いわばその道の「プロ」。
本職の漁師が免許の内容に反する操業を行って摘発された事例もあると聞く。

一方、マリンレジャー人口の増加や船舶・潜水具等の専門機器の一般個人への普及等に伴い、近年、営利を目的としない遊漁者の行為が問題となるケースも増えている。
ここからが本題。

漁業者以外の者の行為が違法とされるケースには、次の二つの類型がある。
1.漁具・漁法制限や体長制限、漁期制限等の「行為規制違反」
2.「漁業権の侵害」


まず、比較的分かりやすい1.の類型から説明しよう。

「水産資源保護法」は、水産資源の保護培養の観点から次の漁法を一律禁止しており、違反した場合は3年以下の懲役または二百万円以下の罰金となる。

@爆発物を使用する漁法(第5条)
A有毒物を使用する漁法(第6条)

漁場を著しく破壊するこのような行為は、所謂密漁行為の中でも最も悪質なものとされている。
漁業者、遊漁者を問わず適用されるので、遊漁者がこれらの行為を行った場合にも罰則の適用がある。

また、同法は、水産資源の保護培養のために必要があると認められるときは、農林水産大臣又は都道府県知事は、次に掲げる事項に関して農林水産省令又は規則を定めることができることとしている(第4条)。

一 水産動植物の採捕に関する制限又は禁止
二 水産動植物の販売又は所持に関する制限又は禁止
三 漁具又は漁船に関する制限又は禁止
四 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せつその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止
五 水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止
六 水産動植物の移植に関する制限又は禁止

同法および漁業法65条(注1)を受けて、各都道府県ごとに各地の漁業の実態に応じた漁業調整のルールを定めているのが「漁業調整規則」である。
漁業調整規則には、指定魚種毎の禁漁期間や体長制限、一律禁止漁法等が地域の特性に応じて具体的に定められている。
これらの諸規制も、漁業者、遊漁者を問わず適用される。

さらに漁業調整規則には、遊漁者のみに適用されるルールとして、「遊漁者が行うことのできる漁法を限定する規定」が別途設けられている。
その規定ぶりは各県とも大要において同じであるが(地域により若干の違いが有る。詳しくは水産庁HP参照(注2)。)、千葉県海面漁業調整規則では次のように定められている。

第四十八条(遊漁者等の漁具又は漁法の制限)
漁業者が漁業を営むためにする場合若しくは漁業従事者が漁業者のために従事して水産動植物を採捕する場合を除き、次に掲げる漁具又は漁法以外の漁具又は漁法により水産動植物を採捕してはならない。
一 竿釣及び手釣
二 たも網及びすくい式さ手網
三 投網(船を使用しないものに限る。)
四 貝類徒歩堀(まんが及び貝まきを使用するものを除く。)
五 も類の徒手採捕
2 前項各号に掲げる漁具又は漁法によつて水産動植物を採捕する場合は、正当なる漁業の操業を妨げないようにしなければならない。


他県の多くでは認められている「やす(手もり)」で魚介類を採捕する漁法は、千葉県では遊漁者に認められていないので注意が必要である。
漁法自体が法令違反であれば、その獲物がたとえハオコゼやゴンズイであったとしても違法である。
また、潜水器(アクアラング)を使用して水産動植物を捕ることも認められない。(漁業者がこれを行うときも、特に「許可」が必要になる(千葉県海面漁業調整規則第7条)。)
ダイバーが、海の中の生物を決して持ち帰らないようインストラクターから厳しく指導されるのもこのためだ。
きれいなウミウシを見つけて、どうしても自分の水槽で飼ってみたければ、潜水器を外してもう一度素潜りで捕りにいかなければならない。

なお、遊漁者の「漁具漁法制限」違反については特に罰則規定は置かれていないが、体長制限違反や漁期制限違反を伴った場合には、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となる可能性がある(千葉県海面漁業調整規則第59条)。
また、薬品等を使用した場合はただちに水産資源保護法違反となり、3年以下の懲役または二百万円以下の罰金となる。

ちなみに、いわゆる密漁行為とは異なるが、漁業調整規則には「水産動植物に有害なものを遺棄し、又は漏せつしてはならない」という規定も置かれている。
要は「漁場を汚してはならない」ということなのだが、海岸や磯場で「バーベキュー禁止」という看板を無視してたき火をしたり、廃油や残飯、コンロに使う燃料等を海に捨てるなど悪質な場合には、漁業調整規則違反にあたる可能性がある(注3)。
この場合の罰則も、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金。
GWや夏休みになると、よく海岸でバーベキューをするグループを見かけるが、海を汚さないよう十分に気をつけなければならない。

〜つづく〜
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(注1)
漁業法65条2項
農林水産大臣又は都道府県知事は、漁業取締りその他漁業調整のため、次に掲げる事項に関して必要な農林水産省令又は規則を定めることができる。
一 水産動植物の採捕又は処理に関する制限又は禁止
二 水産動植物若しくはその製品の販売又は所持に関する制限又は禁止
三 漁具又は漁船に関する制限又は禁止
四 漁業者の数又は資格に関する制限
同条3項
前項の規定による農林水産省令又は規則には、必要な罰則を設けることができる。

(注2)
水産庁HP「都道府県漁業調整規則で定められている遊漁で使用できる漁具・漁法(海面のみ)」参照。

(注3)
このような行為を含め、漁業関連法令上の諸規制に違反し、その結果として正当な漁業の操業を妨げた場合には、同時に、後述する「漁業権の侵害」や、刑法上の「業務妨害罪」に該当する可能性がある。


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<参考資料>
「漁業法」
「水産資源保護法」
「千葉県海面漁業調整規則」


 


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