「上野洋子 "YK20"〜20周年につき初ソロ〜」
soundscape
以前この日記でも紹介したZABADAKの上野洋子が、ZABADAKと同様、彼女も20周年を迎えたのを記念して、自身初めてのソロコンサートを行うということで、昨夜、仕事をほっぽりだしてかけつけたのでした。上野洋子の生声は、実は初めての体験です。
今回のツアーはバックのミュージシャンも強者ぞろいです。ドラムスがはにわオールスターズの仙波清彦、ギターがボンデージ・フルーツの鬼怒無月、ヴァイオリン、管楽器がムーンライダーズの武川雅寛です。他にはヴィータ・ノヴァにも参加しているパーカッションの海沼正利といった方たち。
ということで、今回、上野洋子のオリジナル曲を生のヴォーカルで聞けるということに加えて、そういったバックのミュージシャンの力量もいかんなく発揮されたバンド形式の音楽会として、私にとっては傑出の出来事だったのです。彼女自身が初日の緊張感でいっぱいいっぱいになっていたということもあり、最初のところは固さが見られたものの、2時間あまりのコンサートでメドレーも含めて22曲、感動と充実の時間でした。やはり、上野洋子はバンドをバックに歌うというのが正解ではないでしょうか。今回のツアー・バンドがパーマネントな活動を続けて行ってくれればと望む限りです。彼女もヴォーカルの他、小柄な体にアコーディオンを背負ったり、縦笛吹いたり、マンドリン弾いたりとがんばっていました。
選曲については、皆さん期待していたでしょうがどっこい、という選曲でZAVADAK時代の曲は少なかったのです。やはりという感じです。あまり引きずらない人なんですね、彼女。それでもメドレーの最後で「アジアの花」が始まったときには、胸にこみ上げてくるものが抑えられませんでした。初期の名曲「Hide in The Bush」が聞けたのはよかったし、「天使に近い夢」ではそこそこ盛り上がりました。それまでは皆さんもっぱら聞き込む、聞きほれるといった感じでしたから。
私としては、「アジアの花」から鬼怒さんのスパニッシュなアコースティック・ギター・ソロが曲のグレードをいっそう高めていた「パラフィン」、そして、これが自分の中で一番やってほしかったという曲「カモメの断崖、黒いリムジン」の流れがハイライトでした。もう、涙、涙です。この夜のこの曲、バンド・アンサンブルで非常にカッコよくなっていました。リズム隊のみなさん、とくに仙波さん、ありがとう、っていう気持ちです。ああ、ライヴ盤が出ればいいんですけど。
コンサートは、意外なかたちで締めくくられました。選曲も以外でした。明日は東京のライヴがありネタバレになるので(一体これを誰が読んでいるのということはおいといて)詳しくは書きませんが、でもそこは彼女らしいところです。観客の皆さんも納得して帰路に着いたことと思います。
愛を 一人で 醒ますことはいい気持ちで
誰の 言葉も 坂を 転がり落ちていくだけ
書けない
急な小径を 登りながら 夢を脱ぎ捨てて
熱が出てきて 自分の体
邪魔で投げ出したい
休むところは どこにもない
カモメが 真っ直ぐに 飛ぶところが見たい 真上から
空が 近くて 夜が早く終わる場所で
朝が 昇って
海の動脈が この崖まで 届いて
愛も
夢も
消えて
車の中で 目覚めて
歌が聞こえた 気がする
カモメの断崖、黒いリムジン/ Asterisk*1より 作詞:鈴木慶一