2008/3/21
つい先日、友人がこれ面白いから読んでみて、といって貸してくれた本がある。作者は奈良県生まれの京大農学部出身で今は公務員と作家の二足のわらじでやっているそうだ。貸してくれた友人がやはり京大出身で本を読んでいると京都のあの辺りの界隈が描かれていて、懐かしさも手伝ってストンとその物語の世界にはまり込んでしまったそうだ。それで、京都関係者に片っ端から貸しまくっているのだという。かくいう私も新卒後の就職先が京都で、3年ほど京都の空気を吸っているし、そのうちの1年ほどは、この小説にも出てくる下鴨神社近くの安アパートで下宿していたことがある。
友人が貸してくれた本というのが、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』。つい先ほど、読み終えたのだけれど、エンターテインメントなファンタジーで結構面白かった。実際の京都の地名がたくさん出てくる、とくに秋の学祭の舞台となる大学や最終場面の進々堂なんかは当然作者も思い入れのある場所なのだろう。
この小説はキャラ設定も魅力的で物語の構造もしっかりとしている。主人公は二人、しがない男子の先輩と不思議系女子の後輩が交互に物語を語っていく。4章立てで、章というよりも幕といったほうがふさわしいような演劇的な雰囲気を有している。春夏秋冬それぞれにアトラクティヴなイベントが京都固有の場所と結び合わされた形で、異形な登場人物を多数絡めながら展開される。趣味的には夏の下鴨神社の古本市の章が好き。
京都という実在する場所のイメージを与えられながらもそれが満艦飾に彩られたカーニヴァル的・祝祭的な空間にまで異化されるとともに、酩酊的なファンタジーに昇華されているのがユニークなところ。それと表紙の挿画が秀逸。友人が8人ほどの同窓生等に読ませた評価は、5点満点の5点か4点が4人、1点が3人ということで評価は大きく割れているということなのだが、わたしとしては4点献上。『太陽の塔』も題名的には十分そそられるものがあるなあ。
李白翁の3階建電車。
祇園祭の山車のような祝祭感覚あふれるモビール。
納涼床の季節にこんなのが鴨川沿いをゆるゆると動いていたら面白い。
この小説、今敏あたりがアニメ化したらどうなるんだろう。
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