先日。
法事があって、故郷に行ってきた。
久しぶりの街と風。
前回来た時は、何を見ても感傷的で泣けていたが。
今回はそうでもなかった。
これが、生きているということなんだろう。
忘れはせずとも。
悲しみは、良い意味で少しずつ薄れていく。
そう。
私は生きているから。
大好きだった叔父が亡くなって、一年が経った。
正確には、一年と十数日。
実のところ。
叔父に初めて会ったのは、そう昔ではない。
いや、記憶にはないが、小さい頃に会ったことがあったんだろうか。
母の兄。
少し遠くにいたせいもあって、ずっと疎遠でいた。
一人暮らし。
結婚はしなかったらしい。
フラリと行動するのが好きだったせいか、ずっと独り身の自由を謳歌していた。
のかどうかは、疎遠だった私のただの想像だけれど。
少なくとも、いつも自由を満喫しているように見えた。
そう。
叔父は結婚しなかった。
だから『おじさん』とはなんだか呼び難くて。
母の兄なので『お兄さん』と呼んでいた。
変な姪のようにも思えるけれど。
子供がいなかった分か、私はとても可愛がってもらった。
いつも私のことを気にしてくれていて。
後から母に聞いた話。
滅多に来ない電話だが、来ると必ずといって良いほど、私のことを聞いていたらしい。
『相変わらずですか?』
想いを馳せると。
叔父の変わらぬ声が聞こえて来る。
人生。
『もっと』を考え出せば、切りがない。
したいことは沢山あった。
合わせてみたい人もいた。
何より。
美味しく淹れられるようになった珈琲を、出してあげたかったなと思う。
チャンスはいくらでもあったのにな、と。
これから先も、私はどのくらいの無念を繰り返すのだろうか。
一年経ってもなお。
涙は消えないけれど。
少しずつ、少しずつ。
気持ちは楽になっていくのだろう。
大きな波が、やがて穏やかな満ち引きになるように。
静かに、静かに。
悲しみは胸の底に沈んで、心の中は透き通っていく。
悲しみの分、喜びを感じられるように。
そうして、私は楽しく笑っていこうと思うんだ。
私の腕には少し大きい、この腕時計と共に。

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