Aのリアアクスルシャフトあたりでは、仮に100o程ストロークするとしても
Bのピボットシャフトあたりは、本当に極僅かしか動かないんですね。
スイングアームのベアリング部分は、ホイールベアリングの様に
常に回転してる訳ではなく、決まった角度の極狭い範囲でしか動きませんので
どうしても一ヶ所に、アタリの強く出てしまう部分が出来てしまいます。
だからこそ、ピボットシャフトナットの締め過ぎや
ベアリングのグリス不足は、スイングアームの動きのフィーリングに
大きな違いが生じてくるのですが。
※作業中はグリスを使って手がヌルヌルしていた為、画像少な目です。
スイングアーム(ブレーキペダル側)のベアリングの状態確認から。
ブロンズ色のカラーがありますが、見た目の割に重量が有ったので
鉄あるいは、ステンレスで製作されたカラーでしょうか。
汚れているだけで、著しい摩耗などは見られませんでした。
カラーの奥はダストシールですが、肉厚が薄く一度取り外してしまうと
変形してしまい、再使用不可なタイプに見えたので
予備部品も無い事だし、今回は取り外しませんでした。
画像無いですが、ダストシールの奥はわずかに隙間がありまして
その下に接触シールタイプのボールベアリング、
さらにその奥にローラーベアリングの構成になっています。
ベアリングを指先で触診してみて、クルクルと回したところ
壊れかけのベアリング特有のゴリゴリ感も無く大丈夫でしたので
接触シールをピックツールで持ち上げて、その隙間から
シリンジ(注射器)でベアリングにグリスアップ。
今回はこれで行きます。
奥のローラーベアリングは指先でグリスアップ。
カラーの汚れを落として状態を確認後、グリスアップして組み込み。
今度は、スイングアーム(チェーン側)のダストシールを外し
余分なグリスと汚れを除いた後に、ローラーベアリングの状態を触診。
コチラも問題なしです。
NUTEC MPグリスを万遍なくローラーベアリングに摺り込みます。
可能な限り前に使っていたグリスは取り除く様に心掛けて作業しますが
前に使っていたグリスが完全に落とし切れてなく
使ううちに2種類のグリスが混ざってしまう事となっても
ベアリングにグリス成分が残っている事の方が重要なので
これはこれで良いと私は考えます。
中に入る鉄のカラーです。
このカラーの内側にピボットシャフトが入ります。
ちょうどカラーの両端部分(ローラーベアリングと勘合する部分)に
少しアタリがありましたが、爪先で擦っても引っ掛かりも無い状態でしたが
念の為、ペーパーで表面を少しならして使います。
まあ、このあたりに作業は気分的なものですね。
カラーをグリスアップしてスイングアームに挿入。
ダストシールにも十分にグリスを摺り込んで組み込みます。
とにかくグリスはたっぷりと使いました。
ベアリングの状態のチェックと、各部のグリスアップは終わったので
次は経年によりスイングアームに出来てしまった傷の修正です。
普段なかなか見る機会は少ないのですが、クランクケース後端の
クランクケース上部とクランクケース下部の合わせ面付近に
「奥行10o×長さ20mm×高さ10o」程度の凸部分があります。
ちょうどスイングアームのピボットシャフトの延長線上に
凸部分があるんですね。
この凸部分を避ける為に、スイングアーム側にも凹の逃げ加工が
施されているのですが、このクリアランスが約2〜3o位しかないので
走行中のリアタイヤが巻き上げる小石が、この部分の隙間に入ると
自然と噛み込んでしまい、傷が付いてしまう訳です。
結構気が付かず乗っている方も多いのでは!?
エアツール等があれば、クランクケース側の凸を削り込んで
もう少し隙間が大きく開く加工して、小石が挟まらない様に出来ますが
生憎エアツールは持ってませんので、オイルストーンで表面をならし
カドを軽く面取りして、脱脂後にタッチアップしておきました。
(画像はオイルストーンで表面をならした段階のもの)
スイングアーム側の凹逃げ加工部分も、噛み込んでしまった傷痕で
表面が凸凹に荒れていたので、軽くオイルストーンで表面をならし
脱脂後タッチアップ。
組み込んでしまえば見えなくなる部分なので、
アルマイトの所にタッチアップ補修でも、自分が納得していればOKです。
画像ありませんが、
チェーンアジャスターボルトは汚れを落としてからグリスアップして組み込み。
スイングアームはシリコンスプレーを塗布してから
マイクロファイバークロスで拭き上げました。
これでスイングアームの清掃、ベアリングの状態の確認と
グリスアップは終了です。
長くなってきたので続きます。

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