2011/2/18

シカ活用セミナー西土佐  獲物の処理法

 2011年1月20日、四万十市西土佐総合支所を会場に「肉等活用技術研修会(高知)」(農林水産省事業)が開かれました。セミナーは二日間にわたり開かれ、一日目は

●開会挨拶:(株)一成 代表 木下 一成さん

●四万十市西土佐地域の取り組み:四万十市西土佐総合支所 
 産業建設課 課長 岡村 好文さん

●シカの体の構造と異常の発見:兵庫県森林動物研究センター
 協力研究員 木下 裕美子さん

●シカ肉処理における食品衛生法上の注意点
 高知県食品衛生課 松岡 哲也さん

●丹波鹿肉の有効活用と産業化の取り組み
 (株)丹波姫もみじ 代表 柳川瀬 正夫さん

●調理法(試食) 農家レストラン 「しゃえんじり」、 四万十市西土佐口屋内の 地元で獲れた農作物を使って調理された、素朴な家庭料理をバイキング方式で楽しめるお店。そこからシカを使った料理とレシピを提供。
 
 というカリキュラムでした。

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 試食会

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 画像左上から?忘れました。鹿肉のつくね鍋、下段左からシカ肉ジャーキー、
切干大根と鹿肉のしぐれ煮、鹿肉メンチカツ。

 「しゃえんじり」のおかみさん、スタッフのみなさん、美味しかったです。ごちそうさまでした。

 一日目の夜は、西土佐の旅館で泊まり、懇親会に出席。楽しくて身につくお話がたっぷり聞けました。「どこかの自治体では本気でオオカミを導入して、鹿を食べてもらおうなどと、ばかばかしい話がでちょる。オオカミは百年も昔に絶滅しちゅう。オオカミがおらんなったき、鹿が増えたなどとなにをたわけたこと・・・」「マングースで懲りたらえいにねや」。

 二日目。鹿の解体実習でした。

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 しまんとのもり組合 岡村 有人さんが解体の実習講演をしてくれました。

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 木下 裕美子獣医の鹿の腑分けと異常発見の実習
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2009/4/18

長野流イノシシの解体-10  獲物の処理法

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画像:頭部を切りはずしている所です。

画像のように切り離した頭の処理が最後です。

テレビで沖縄や韓国の市場の場面で、豚の顔が商品ケースに陳列されているシーンを見ることがあります。

頭部には美味しい肉が沢山ついています。また付属品として耳・舌などもあります。猟師の中には面倒なので内臓も頭も捨ててしまうという人もいてもったいないと思います。イノシシの処理は時間も手間もかかるため気持ちはわかりますがそれでもやはりもったいない。

以前の記事で友人が頭を斧で叩き割り、大根など野菜と煮込む料理を楽しんでいると書いたことがあります。私はとてもこんな大胆な料理はようしません。私は『豚の顔」のように上手に丸々のまんまきれいに取り外すやり方ではなく、頭部の皮・肉を半分ずつ取り外しています。

最初に耳を切りはずします。次に鼻を切り取ります。それから頭頂部から鼻先まで一直線にナイフで骨まで切り込みます。ここはほとんど皮の下は骨です。

余談ですが、イノシシのアタマはとても頑丈です。かれらの武術の得意技が頭突きですが、鼻先から頭頂部まで使う技のキレとその強度は驚くべきものです。

ワナのひとつに箱ワナと呼ばれるものがあります。鉄筋で作った箱に餌を入れておきその中にイノシシが入って引き金やセンサーにさわると入り口が閉まって閉じ込めるという大きなワナです。鉄筋の直径は6ミリほどが主流ですが私は以前10ミリの鉄筋を使って自分で電気溶接をして作っていました。

その箱ワナにイノシシが入っていると、子供だと連れ帰って独房にぶち込んで飼育するのですが、大人のイノシシは箱ワナの中で仕留めないといけません。子供から大人までおしなべてイノシシはヒトを見ると大興奮します。そしてヒトを目指して突っかかってきます。ドシン、どしーんと鼻から突っ込んできます。しかし、ぶち当たるのは鉄です。なんぼか痛かろうと思うのですが、涙一滴も出すことなくドシン、ドシン。
鉄筋が曲がります。

そういう状況で仕留めたイノシシを解体して見ると鼻はほとんど変化がありません。中には鼻がもげかかっているものもありますが。鼻から頭頂部にかけては少し内出血していますが、骨が砕けていることはありません。

頭頂部から鼻先までナイフを入れてから下(顎)へ向かって骨から皮・肉を剥がしていきます。すぐに目がありますので目の回りにぐるりとナイフを入れます。肉はこめかみ、頬、顎の部分に多く付いています。この作業は複雑なのでかなり時間がかかります。

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2009/4/16

長野流イノシシの解体-9  獲物の処理法

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画像:肉から取りはずした骨を小切りしているところです。

骨抜きでとりはずした骨の処理です。イノシシの骨はとても美味しいダシがとれます。ボタン鍋などのダシ材として最高です。

全ての骨を小さく切断します。道具は画像のように斧を使います。小切りした骨は400グラムほどをポリ袋に入れ分けてから冷凍保存します。
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2009/4/15

長野流イノシシの解体-8  獲物の処理法

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画像:骨抜きした肉を700c前後に切り分けました

骨抜きをした大ブロックはこんどはスライサーで切る適正サイズに小割りします。私は700c前後の大きさに切り分けています。それをラッピングしてから密封できる袋に入れて冷凍保存します。

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画像:最高級のロースのブロック。

袋に入れるのは各部位ごとに分けていれます。私は首、ロース(肩から腰までの背身)、バラ、モモ、足の5部位に分けています。
製品にする際、それぞれ適当に等分に近くなるように混ぜてトレーに並べています。

肉の切り分けにはビッグハンター(オールドガーバー)が使い易いナイフです。

獣肉を販売目的で処理したり製品化し、販売するためには保健所の許可が必要です。一つは食肉処理業の許可、もう一つは食肉販売業の許可をとらないといけません。
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2009/4/14

長野流イノシシの解体-7  獲物の処理法

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画像:四つ割した右前部です。

小、中型のイノシシは4つに割ります。大型は6つに割ることもあります。これから骨をすべて取り外していきます。骨抜きと呼ばれる作業です。大勢で料理しながら食べる場合は骨に少々多めに肉が残った方が嬉しいものです。大鍋で骨も一緒にたくさんの野菜とともに煮込んだ料理はそれはそれはおいしいものです。

私はイノシシ・シカとも販売をしておりますので、この骨抜きは製品の善し悪しを左右するような重要な作業になります。前部からでも後部からでもよいのですが、私は画像のように前部のブロックから始めます。先ず14本のアバラ骨を取り外します。次にアバラの接合部分(胸側)の骨をはずします。それから大骨(頸椎・脊椎骨)、次に前足の骨、肩甲骨が最後です。
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2009/4/11

長野流イノシシの解体-6  獲物の処理法

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画像:ヒレ肉を切り取っているところです。

ヒレ肉は腹部側の背骨にそってついています。牛・豚ともにヒレ肉といえば最高級部位に位置づけられていますが、イノシシも同様です。わずかしかとれない貴重な肉です。大型だと二つ割りにしてから取り外す方がやりやすいかもしれません。

ヒレ肉の美味しい食べ方ですが、ヒレカツもおいしいです。私がよく作る料理がタタキです。これを少し紹介します。ヒレ肉に塩こしょうをふり、よく擦り込みます。フライパンにたっぷり油をひき、蓋をして弱火で火をとおします。中まで火がとおったら3〜5ミリほどの厚さにでスライスしタレはポン酢で食べます。

ヒレ肉は刺身で食べるという方もいますが、私は恐ろしくてイノシシのどの部位でも刺身は食べません。(5)で睾丸の刺身を紹介しましたが、本当は刺身は出しません。あれは冗談です。

獣肉で刺身が一般的なのは鹿肉です。それも背身(ロース)が最高とされています。シカの刺身は全国的に食べられているようです。シカは完全な植物食ですのでそれほど寄生虫の心配はいらないようです。しかし、最近では E型肝炎の発症例が報告されており、高知県のホームページでは生食は禁じられています。ただE型肝炎の発症例はごくわずかのようで二枚貝の生食等でのノロウイルス罹患率などと比べるともう比較にならない少数例のようです。日本人は魚介類や肉類などよく生でたべる食文化をもっています。それぞれどんな危険があるかを知った上で自己責任で食べましょうね。
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2009/3/21

長野流イノシシの解体-5  獲物の処理法

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画像:首、足を取り外した本体、鳩尾にあるキズはトドメの痕。 若い♀ですので腹側にはヘソと小さな乳首が見えます。

トドメはきちんと固定してから足を掴んでひっくり返し、腹側を上向けます。それから鳩尾のアバラ骨際から前足の間の真ん中(斜め前方)に向けてナイフを突き込みます。確実に心臓に当たります。
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画像:中央の臓器が心臓です。真ん中にナイフの傷痕が見えます。

猟を始めて初期の頃は、現場で槍を組み立てて暴れ回るイノシシの胸部をめがけて突いて仕留めていました。イノシシはワイヤーで足を括られているのでそのワイヤーの長さだけ自由に動けるのです。周りに立ち木が多い場所だとイノシシが走り回るうちにそれらの木に絡まって行動範囲が狭くなり仕事がしやすいのですが、そうでない場合は少し面倒です。

最初にイノシシをワナにかけた時とそれから3匹目までは格闘、大げさではなくまさに格闘でした。現在では考えられない、思いだすだに身の毛もよだつような驚くべき対応をしておりました。

剣鉈一丁を手に持ってイノシシを仕留めていたのです。

初の獲物は50キロほどの♀のイノシシでした。当時、イノシシには農作物への被害の恨みが重なって「イノシシ憎しや!!!」と、もう『ぶちきれた』という精神状態でした。ワナ猟の免許をとってからも長期にわたってなかなか捕まえることが出来ませんでした。やってもやっても裏をかかれ、たまにワナを通っても空撃ちしといういまいましい状況が続いていました。

そういう中でやっとワナにかかったこのイノシシは暴れ回ったあげく腹を上に向けて息も絶えだえという状況でしたので仕留めるのは簡単だ、と思ったのです。剣鉈を抜いて首に斬りつけました。大きな痛手を負ったイノシシは突然暴れだして血飛沫をあげながら走り回るのです。このときは剣鉈の一撃が頸動脈を切っていたようですぐに死んでしまいました。

体中に血糊をあびた私をみて父のぎょっとした表情が忘れられません。

二回目は20キロほどの小さなイノシシが一度に2匹かかっていました。切り立った山の斜面で孟宗竹と樫などの木々がせめぎあっているような地形のポイントでした。1匹目はワイヤーがからみついて簡単に仕留めました。2匹目はワイヤ−の長さだけ走り回っています。当時はワイヤーの長さにそれほど気をつけることもなく適当にワナを作っておりましたのでこのイノシシを括ったものは4メートル前後あったように思います。
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画像:咬むぞ!このやろう!!と言っている。と、思います。

後ろに下がったイノシシは斜め下にいた私に向かって突進してきました。小さいと高を括っていた私はこの突進の一撃を足にくらってしまい鉈を握ったまま斜面を転び落ちました。

目から火がでました。

刃物を持って山を転び落ちるという状況はかなり危険です。幸い怪我は擦り傷ぐらいですみました。しかし、この一撃で私はイノシシを見直しました。

これではいけない、と反省し、先輩猟師の言葉「間合いはきちんととれ」「鎗をつくって離れて突け」を思い出したのです。

出直しです。一度家に帰り鎗を持ってきました。
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 画像:脇差し改造の自製の鎗です。脇差しの柄の部分にスパナの柄を溶接し、番線をワッカにして溶接したものです。このワッカに現場で調達した木をとおした上で柄を木に紐等で固定して使います。


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画像:これは別の現場写真です。槍を組み立てて使って仕留めたイノシシです。

槍を使って仕留める方法は数年続けました。

イノシシとは離れてやりとりできるのでワイヤーや足が切れる場合を除いて比較的安全な方法といえます。しかし、いろいろな出来事がありました。一番多いのが槍をとられるという事件でした。原因は槍の取り付けが不十分なことなのですが、イノシシを突いた瞬間身体を振られると槍が刺さったまま抜けてしまうという情けないことになるのです。頻繁にあるので私は予備の槍先を携行しました。また、槍を曲げられてしまうことも度々でした。同じように身体を振られると槍がねじられて曲がってしまうのです。こうなると木の間に挟んだりして曲がりを直してヤリ直しです。

日本刀の良い所はよく切れるが靭性に優れており、曲がるが折れないというところでしょう。

こんなことがありました。60〜70キロクラスのイノシシが3匹一度にワナにかかっていました。相棒ともう一人の友人を呼んで処理したことですが、その内の一匹はワナのかかった右前足がちぎれそうになっていました。70キロクラスのシシが3匹入ってしまいそうな大穴を掘ったそいつはかなり体力を使っていて疲れ果てていました。しかし、そのちぎれそうな足は本当に皮一枚で繋がっているだけでした。
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画像:別のイノシシの例ですが、これは肘の関節が折れています。

「おい、おんしゃらあ木へ登って見よってくれ」危ないので一人で仕留めることにしました。

槍をつくって向かいました。数回突くとなんと身体をひねられたひょうしに槍がすっぽ抜けてしまいイノシシの身体の下に落ちてしまったのです。

致命傷を与えることが出来なかったためなかなか弱りません。こちらが弱りました。どないしょう。槍の柄で取り戻そうとするのですがイノシシが邪魔をしてどうしても取り戻せないのです。

こんな状況で時間をかけるわけにはいきません。いつ足がちぎれて襲われるか判らないのです。仕方がないので剣鉈を柄に括りつけてそれを槍に仕立てて仕留めることにしました。しかし、鉈には身幅があるので脇差しのように身体に突き刺さるのかどうか自信がありません。イノシシの心臓や肺動脈など重要な臓器はアバラ・肩甲骨など硬い骨でぐるりととりまかれ守られています。それらを突き通すにはよほど鋭利でないと難しいのです。

イノシシは敵の方に絶えず向きを変えますのでいつもイノシシの頭部がこちらを向いています。なかなか急所を突くというのは難しいのです。

考えたあげく私も近くの木に登ってイノシシの背中側からアバラの間を狙って突き通すことをもくろみました。これがうまく行き何とか仕留めることができました。

足がちぎれそうなイノシシを仕留めるというのは本当に恐ろしいものです。
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画像:これは足をちぎって逃げてしまったイノシシが残して行った足です。よく自分で食いちぎるという人もいますが、自分で足を食いちぎって逃げるということはないようです。かかったワイヤーを食いちぎろうとしている場面をみて自分の足を食いちぎっていると勘違いするのではないでしょうか。

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画像:四肢と頭をはずした胴体の解体を始めたところです。

解体の続きです。
ずいぶんわき道にそれていましたがお許しください。

いよいよ四肢と頭部をはずした胴体の解体です。仰向けにした胴体に首から肛門までナイフを入れて内臓を出していきます。はじめに胸部からナイフを入れます。アバラ骨までナイフで切り込み喉は食道・気管がでるように切り込みます。それからアバラ骨をノコギリで切断します。次に腹部ですが、ここは皮から腹膜まで切るのですが腹膜の下にはすぐに胃、小腸・大腸・膀胱等がありますのでよほど気をつけないといけません。特に膀胱。膀胱は満タンというのが多いようです。ワナにかかると緊張で小便をしないのかもしれません。ちなみにトドメを刺すと♂の場合「放精」することはあるのですが大も小も便をもらすことはありません。

膀胱を切ってしまうと悲惨なことになります。イノシシの小便はものすごく臭いのです。あれほど臭い小便をほかには知りません。それが肉についてしまうと大事です。

内臓を取り外す前にもう一つ難作業が残っています。直腸の部分の骨の切断です。ここは骨がトンネル状態になっておりその中を直腸がとおって肛門と続きます。骨を切らずにナイフで肛門・直腸をえぐり取るという方法と骨をノコギリ等で切断するという方法があるようですが、長野式ではノコギリで切り、両膝を手で押し広げて骨の切断部を広げて内臓を取り出します。

この場面でも膀胱にはよほど気をつけないとノコギリで傷付けることがあるのです。ですので膀胱を左手で押し付けてノコギリの刃があたらないようにしながら恐る恐るノコで引きます。これで内臓を取り外す準備ができました。

いよいよ内臓をすっぽり取り外すのですが、最初に気管と食道を首から引きはずします。それから横隔膜の上部にある肺・心臓を引き剥ぎ、胃・肝臓とくっついている横隔膜をナイフで切断し、あとは一気に直腸まで身体の外に出します。
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画像:取り出した内臓、右上が喉仏、左下が肛門・しっぽと続きます。

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画像:内臓をすべて取り出した胴体。

取り出した内臓で必要な部位を切り取ります。食道・心臓・肝臓・膵臓・腎臓ととりはずし、あとは残念ながら畑に穴を掘り埋めて肥料となります。それから横隔膜(ハラミ)を切り取ります。この部位は少量しかとれませんが美味しいところです。

こうして取り出した内臓で食道・気管・肺などは煮て我が家の愛犬にお裾分けします。昔、肉が貴重であり滅多に口にすることが出来なかった頃は肺も食べていたそうですが私は未だ食べたことがありません。一度は試してみようと思っているのですが。それから、胃・小腸も肥料にしてしまうのは残念で食べてみたいのですが、この後の処理の大変さを思うととてもそこまで手が回らないといつもあきらめてしまいます。余裕がある時試してみようと思っています。小腸等は保存しておきソーセージを作りたいものです。

もう一つ、食べてみようと取り除いて冷凍保存しながらいつも手つかずで古くなり捨ててしまうのが「金タマ」です。イノシシの睾丸はたいへん立派で
解体中、相棒に「こいつらあはえらい立派なものを持っちゅうけんどおんしゃあ取り替えたらどうなら、フンフンと元気になるかもしれんぞ」とよく冗談を言います。「中芸のほうでは刺身でこいつを食うらしいぞ」と相棒はいうので「こんどお客(宴会)のときでも出してみるか」といいつつ取り除いてはいるのですが。

我が家で得体の知れない刺身が出てきたら・・・  期待して下さい。

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画像:大骨(頸骨・脊椎骨)を斧とハンマーを使って切断、二つ割りしているところです。

内臓を取り除いた胴体を割ります。最初に画像のように斧とハンマーで大骨を切断しナイフで二つ割りにします。この過程は色々やり方がありそうですがこれはあくまでも長野式です。相棒とは今回の猟期からコンビを組んだのですがこれまでは私とは違う方法で割っていたそうです。相棒のやり方は丸のまま胴体を腹と胸の部分で切断し、切断面を下に座らせて鉈で大骨を切って二つ割りしていたそうです。下部も同様にこんどは逆さまに置いて二つ割りです。相棒の話では私のやり方がやり易いしきれいに早くできるそうです。

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画像:大骨を割った胴体をナイフで二つ割りしているところ。

ここでクイズです。

イノシシのアバラ骨はいったい何本あるのでしょうか?
ちなみにヒトは12本×2=24本ということらしいですよ。
●正解:14本×2=28本です。

数百回、解体をすると各内臓の配置などもう目をつむっていてもどこにあるかわかります。イノシシの体内も、ヒトのそれもほとんど同じだそうです。これはときどき無理矢理手伝ってもらうカミさんの話です。
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2009/3/11

長野流解体-4  獲物の処理法

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画像:首の切断を開始。

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画像:首の切り離し最終段階。
 
 足の処理が済んだらいよいよ首を切り離します。
 
顎の付け根からナイフを入れて皮、肉、食道、気管などを切断し首の骨まで切り込みます。それからぐるりと首骨までナイフを入れます。最後は頭をぐるりとねじって首の関節を切り離して完了です。

頭部は美味しい部位です。今は亡き友人は頭が大好きで提供すると大喜びをしてくれていました。彼は頭全体を大鍋にいれ、大根等と煮込んで食べていました。その料理法を聞いてはいますが試したことはありません。

私の友人はある猟師グループの宴会で出された頭料理に閉口したといいます。頭を斧でたたき割って大きなブロックで煮込まれていたそうですが、「歯もキバも、ノウミソもいっしょながぞ!あれにゃまいった」そうです。

私の頭部の処理法は皮と肉を利用するものです。はじめに耳を切り取ります。それから鼻を切り取り、皮と肉を頭骨から剥がすようにしながら切りはずして行きます。耳はほとんど軟骨でこりこりという食感です。鼻は犬にお裾分けです。

ところでいつも関心するのがイノシシの鼻です。これはすごいです。どうやってこんな大穴がほれるのだろうとイノシシの食事痕を見て思うのですがこれはかれらの鼻の大きな能力の一つです。柔らかい土なら合点がいくのですが、岩場でも、根がぎっしり詰まった孟宗竹の地面でも大きな穴をぼこぼこと沢山掘ってしまいます。ユンボで掘ったような大穴もほります。

イノシシは植物食の中で土中にあるものではタケノコ・葛葉葛の根・ワラビの根・山芋(自然薯)などなどをよく食べています。また、ミミズも主食の一つだと思います。ミミズですと表層を掘るだけですが、タケノコになると30〜40センチほどまで掘ります。なかなかグルメで土中にある若い柔らかでエグ味のないものをよく食べます。土の中でまだ顔を出していないタケノコを見つけ出すのは素人には難しいでのですが、欧州ではキノコを豚に探してもらう「茸採り」の方法が有名です。「イノシシを仕込んでタケノコを探してろうたら苦労せんけんど」と相棒とよく話します。

鼻はよほど硬くできているのだろうと思っていません?

実は柔らかいのです。ぷよぷよと人の鼻と比べるとより柔らかそうな感じです。不思議です。

ただ、骨抜きをすると鼻の軟骨の部分が長く大きいのですが、ここに能力の秘密がありそうです。

以前本山でイノシシの解体現場を見学していた時、「イノシシの鼻を焼いて食えばハメ(マムシ、当地安芸市の地方名はハミ)に噛み付かれてもだいじょうぶ」と話していました。これは絶対試したくない迷信です。みなさん、試してはいけませんよ。


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2009/3/8

長野流イノシシの解体-3  獲物の処理法

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 画像:前足の足首の関節にぐるりとナイフを入れ皮膚と腱を切っているところ。

 毛の処理が完了するといよいよ解体です。最初に足と首をはずします。

●前足:前足は足首の関節のところをぐるりと一周ナイフで切り込みます。最初に皮を切るわけです。次に足先を動かし腱を確認しつつ切断します。あるていど腱が切れたら足先をにぎり力を込めてぐるりとねじります。グキと音がして関節が外れグルグルとまわると後は簡単です。少し引っ張って残った筋を切れば足が外れます。

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 画像:後足首の上をノコギリで切断しているところ。

●後足:関節からはずすのは前足ほど簡単ではありません。後ろ足の関節は複雑なのか少し手間がかかります。が、長野流ですと簡単です。ノコギリでちょん切ります。余談ですが、私のワナは仕掛けの形状から括る足はほとんどが前足です。括った際ワイヤーが前足の関節にかかっていたらこれが危ないのです。上記のナイフの役割をワイヤーがやって(当然イノシシの怪力も作用して)イノシシがヒトをめがけて突進したとき等に足首から切れてしまって襲われるということがたまにはあるのです。しかし、後ろ足がかかっている場合は関節からとんでしまうということはほとんどありません。

最初にアキレス腱を出来るだけ上から斜めにかかとまで切り取ります。それから前足と同様ぐるりと皮を切ります。次はかかとから少し上の頸骨・腓骨をノコギリで挽ききります。イノシシのふくらはぎには腓骨があるため足首の関節から切断するとこの腓骨が抜きにくくなります。

 これで足の切断は完了です。

 
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2009/3/7

長野流イノシシ解体-2  獲物の処理法

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 2009年3月5日、毛抜き処理を始めたところ
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 熱湯をかけながら全体の体毛を抜いていきます。イノシシの皮膚の赤い発疹のような痕は、ほとんどがダニやシラミ等の吸血の痕です。

 今回は少し詳しくイノシシの処理を紹介してみます。
 
 はじめにおことわりをしておきます。

 私は狩猟のどのシーンも隠すつもりはありません。一般的には肉はスーパーや肉店などで処理済みのものを入手して食べています。鳥・牛・馬・ヤギ・豚・羊・くじらなど鳥以外は姿のまま店頭でみることはほとんどありません。
 こうした普通に入手できる肉類もイノシシやシカなど獣肉も機材や方法は少しずつ違うとはいえ、ほとんど同じような手順で処理されて精肉処理されています。ヒトは植物にしろ動物にしろ命を奪って食料にして利用しています。
 あなたが今晩食べる牛肉は『ああこうして処理されたものを食べているのか』と思って見ていただければ幸いです。
 
 流血現場など苦手な人は今後の「イノシシ解体シリーズ」は見ないほうが良いかと思います。

 3月4日に掲載した「イノシシ解体」の毛の処理について、もう少し詳しく書いてみます。

●最初にイノシシは「すのこ」のような地面と隙間がとれる板の上に乗せます。これは身体の裏側が絶えず熱湯に浸からないようにするためです。

●頭部からでも臀部から始めても良いのですが、一度に全体に熱湯をかけてはよくありません。処理する人数によりますが、二人でやるのでしたら身体の1/3ぐらいずつ進める方がよいでしょう。

●皮の厚い部位、薄い部位により湯をかける時間の調整がいります。薄い部位は身体の裏側(腹部や腋、股ぐらなど)、厚い部位は頭、背、など表側です。特に抜けにくいところがタテガミ、頭頂部、肘や膝頭などです。こうした抜けにくい部位は後で処理します。こうした所が抜けるように長時間熱湯をかけ続けていると他の抜けやすいところが熱し過ぎになり、そうなるとかえって毛が抜けなくなります。特に産毛がこびりついたようになり面倒です。
●身体の側面を済ませて、次はその裏側、次に腹部です。腹部は股のくぼみに熱湯がたまりやすいので気をつけます。
●最後に残った抜けにくい部位を処理します。

 これが第一段階です。次に鋭利なナイフを使って残った産毛や毛をすべてきれいに剃り落します。

 やれやれ、これで毛の処理が完了です。大型ですと1時間以上かかることになります。
 
 
 
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2009/3/4

イノシシの解体  獲物の処理法

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 画像:2009年2月28日、仕留めたイノシシの解体を始めましたところです。毛抜き処理がほぼ終わった所で仕上げに入っています。相棒の左のイノシシの腹のキズはナイフで心臓を一突きし仕留めた傷痕です。右足の赤い擦り傷はこの足首をワナのワイヤーで括っていたため暴れたときに木に激突したり擦り傷ができたりした傷痕です。
 
 山から降ろしてきたイノシシはまず、体毛の処理を行います。その方法は毛剃りをするか、皮を剥ぐか、毛を抜くか、毛を焼き取るかいづれかになります。
 高知県では皮も食べるというのが主流ですので皮を剥ぐという方法はあまりやらないようです。皮は歯ごたえがコリコリ、モチモチとした食感でとても美味しいものです。
 当地では毛剃りが一般的です。方法ですが最初に水で身体や毛についた泥をよく落とします。イノシシはワナにかかると興奮し鼻で土を掘り返しよく大穴を掘っています。近づく人の気配を感じるとこの深く掘った穴の中に隠れていることが多くあります。また、ヌタ場でヌタを打ち泥を身体中にぬたくりまくっています。こうしたことから、体中に泥がこびりついているのが普通です。この泥をよく落とさないで毛剃りをするとナイフの刃もちが悪くなります。私がナイフにこだわったのはこうしたことから刃持ちの良いナイフが欲しかったからです。
 狩猟を始めて数年はこの毛剃りだけでやっていたのですが、ある日、本山町の猟師たちが仕留めたイノシシの処理をする現場に立ち会うことがありました。すでに毛の処理がされいて解体現場だったのですが、その時の一番の驚きがイノシシの身体が、皮膚が真っ白だったことです。これほど肌の白いイノシシを見たことがありませんでした。
 毛剃りだとどれほど念入りにしても毛の色がうっすらとみえます。ヒゲの濃い男性の顔を思い浮かべて下さい。また皮膚の色自体が違います。
 「どうやったらこんなにきれいになるぜよ?」と質問すると「湯をかけて毛を抜かあよ」という答えでした。よく聞くと70度ほどの湯をかけながら抜くと簡単に毛抜きができると言います。あまり熱い湯をかけすぎたり、必要以上に長い時間かけすぎると今度は逆に毛が抜けなくなるそうです。70度ほどの熱湯が長時間使える湯沸かし器が一番いいということでした。
 私が毛抜き処理を始めたのはそれからです。熱湯をかけると毛だけではなく一皮むけるのです。適度に熱湯を使うと掴める範囲の毛が一度に簡単に抜けます。その時一緒に上皮がぺろりと毛について剥けてしまうのです。上皮と書きましたが、垢や汚れの膜のような気もします。毛剃りですとこれが残ります。そのため皮膚の色が違って見えるのです。イノシシの肉を煮始めるとアクがすごく出るのですが、血とともにこの「まく」がアクとなってでるのです。ですので美味しく料理をするためには最初に徹底したあく取りが肝心です。
 私は風呂や台所などに使う灯油が燃料の給湯器の湯を利用しています。本山町でいっしょに見学し、湯を使った毛抜きを初めてやった友人は電気の深夜料金で湯を沸かす湯沸かし器の湯を使ってやったそうですが、その晩は家族から大変怒られたそうです。湯を全部使ってしまったため風呂に入れる湯がなくなっていたそうです。
 毛抜き処理を始めて以来、毛剃りはすっかり止めました。これほど出来の違いを見るともう他の方法でやる気がおこりません。とにかく真っ白できれいに仕上がるのです。
 
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2008/2/12

狩猟-解体つづき  獲物の処理法

 さて、骨抜きですがこれがたいへんです。

 相棒からその方法を教わったのですが、相棒も素人で近くの猟師のやり方を見よう見まねで教えてくれたものです。

 現在では肉は販売していますので肉をきれいにできるだけ多くとれるようにしています。当初はアバラ骨など外さずにまとめてすき取っていたのですが、現在は一本一本きれいに取り外しています。このアバラ骨のあいだの肉がとても美味しいのです。
 
 わたしはこうしてブロックごとに骨をはずしてから、こんどは部位ごとに切り分けます。ロース・モモ・バラ・ネック・アシなど。

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 画像左側はロースで右側がバラ肉です。700〜1000cほどに切り分けて密封できる袋に入れ空気をできるだけ抜いて冷凍保存をします。
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2008/2/8

狩猟-解体  獲物の処理法

 狩猟の続きです。

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 2月7日のイノシシはグッドコンディションの美味しそうな肉の持ち主でした。一般的に今頃の肉質が最も良いとされています。

 それはどうしてなのでしょう?

 秋の実りの栄養が肉に反映されるのでしょうか? これが一番正解に近いとおもうのですが。

 冬の寒さに対応する為脂肪をつける? のでしょうか。

 逆に夏のイノシシはまったくだめだという評価が多いです。

 私は害獣駆除にも参加していますので夏、早稲の収穫時は確実に駆除を行っています。毎年夏数頭駆除するのですが、肉質は確かに良くないものが多いようです。脂肪が少ないのです。ただし例外があります。

 脂肪もたっぷりで良く太った一級の肉質をもつイノシシもたまには獲れます。

 写真左は私がとどめを刺した傷です。一突きで心臓をえぐりました。この小さな傷口から血液が鼓動を打つたびザーッ、ザーッと音を立てて流れ出るのです。

 写真右は左側が頭部で右半身のさらに半分に分割したものです。体を4分割しています。これから全ての骨を取り外していきます。
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2008/2/8

イノシシ解体  獲物の処理法

 2008年2月7日、小型のイノシシを仕留めました。忙しくて年末からワナの蹴やま(センサー)を外していましたが、1月末に再度仕掛けなおしていたものです。

 見回りにいくと孟宗竹の中に新しい食み跡や新しい足跡がたくさんありました。

 もしかしたらと期待して見回ると最後のワナにイノシシがかかっておりました。20bほど下から確認したのですが、人影をみて暴れるイノシシはそれほど大きくはありません。

 しかし、用心しながら鼻くくりワイヤーをつくって大回りして上から近づきました。やはり40`ほどの小型でした。鼻先にワイヤーを持っていって咬み付かせて鼻をくくり、2点固定してから仕留めました。

 バイクを停めた場所からは川を隔てた対岸でしたがこれぐらいのサイズなら一人で何とかなるだろうと鼻、足をまとめてくくり、引きづりながら運びましたが汗だくになりました。

 
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 家に帰って解体です。70度ほどの熱湯をかけながら毛抜きをしました。
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