2015/7/20
「猪変」 本

「この本は,新聞記事を元に仕上がっている.中国地方を主な発行エリアとする地方紙,中国新聞(中国新聞社,本社,広島市)が二00二(平成十四)年十二月からほぼ半年にわたり,その朝刊紙面で連載した企画報道「猪変」である.
:本書「はじめに」より.
広く浅くではあるが,実に多岐にわたって取材されていて,さすが新聞記者の本気のルポルタージュだと読ませてもらいました.

2015/7/9
本 「山怪 山人が語る不思議な話」 本
これまで何度か取材を受けた田中康弘さんから,山での怪しい出来事の話を集めているので一度話を聞かせて欲しいと連絡があった.全国の狩猟について,たくさんの猟師に話を聞いてきた.その中で実にたくさんの不思議な話,怪しい話や出来事,体験について多くの山人が語ってくれた.それを纏めてみたいとのことであった.

私は怪談は好きではあるがまるっきり信じていないし,それほど不思議な体験もないとお断りしようとしたが,まあ一度話を聞かせてということで我が家においでた.以前から感じていたのだが,何とフットワークの軽い,機動性の高い人だろうとの思いをさらに強くした.
私の子どもの頃のたわいもない話までもが本で紹介されている.なにも知らなかった子ども時代の不思議は今はほとんど自分で説明できる.
この本を読んでいて思い出した.未だに自分で説明がつかない,本当に不思議な体験があったことを.
もう60年近くも昔の話だ.
私はその時6〜7歳だったろうか.いつものように,お祖父さんの炭窯(炭焼き小屋)に遊びにいった時のことだ.当時山間の農家はほとんど自給自足の生活をしており,塩以外の調味料(醤油・砂糖・味噌など)は各家で造っていたし,豆腐もこんにゃくも自家製であった.
今だからこんな場所にも書けるが,ひそかに酒も造っていた.我が家では簡単なドブロクしかつくらなかったが,集落の何軒かは本格的な焼酎,それもほとんどが芋焼酎で,造って密売をしていた.それで財を成したという人もいたようだ.郵便屋さんが,自転車の荷箱の底に氷枕をしのばせて,それに仕入れて帰っていたと聞いたとこともある.郵便屋さんが仲買をしていたのである.長閑な時代ではあったがみんな生きるために苦労をしていたのだろう.猟の仲間が「この辺りに焼酎の蒸留所があった.ときどき税務署の手入れがあったそうじゃき,どこぞこの近くへ一升瓶が埋まっちゅうかもしれん.いま出てきたらたら,超古酒になってなんぼかうまいろうなあ」と,ワナでの獲物の「出し」の途中の山で聞いた事がある.
木炭は薪とともに燃料であったし,重要な換金製品でもあった.出来の良い炭は販売し,燃すと煙が出るような不良品とか細かく割れたものが家庭用だった.
家から1キロほど山に入った所に炭窯はあった.お祖父さんが一人で働くここへ来ると,焼き芋を焼いてくれたり,鉄砲で鳥撃ちに連れていってくれたり,山の果実の取り方,遊び方を教えてくれたりと楽しい思い出がたくさんある.
炭窯にお祖父さんの姿はなかった.しばらく一人で遊んでいたと思うがお祖父さんは帰ってこないので,山を下りることにした.その帰り道,突然笛の音が鳴りだしたのである.それも美事な音色で.今思うと横笛のような音色ではなかったかと思う.お祖父さんは笛は吹かない.持っているのを見たこともないし吹いているのも見たことがない.当時20戸ほどの小さな集落だったが笛吹きは誰1人としていなかった.しばらく呆然とその笛の音色を聞いていたのだが,突然恐ろしくなった.私はその時,これは天狗だ.と思ってしまったのだ.下り坂の山道をどんなに辿ったのか,家に帰ってどんなふうに説明をし話をしたのかは今は記憶がない.笛の音の旋律さえ覚えていないがあの時の恐怖だけは今も記憶の中にある.
今,考えると集落には確かに笛吹きはいなかった.これは断言できる.あれほどの名手であれば,集落のお客(宴会)や集いで聞けたはずだし,話題にもなったはずだ.しかし,よそから来たお客さんがあって,その人が笛の名手であり吹いていたという可能性はあるのだが.何しろ道も険しいそれも山の中なので.
「山怪 山人が語る不思議な話」
田中康弘著
山と渓谷社
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私は怪談は好きではあるがまるっきり信じていないし,それほど不思議な体験もないとお断りしようとしたが,まあ一度話を聞かせてということで我が家においでた.以前から感じていたのだが,何とフットワークの軽い,機動性の高い人だろうとの思いをさらに強くした.
私の子どもの頃のたわいもない話までもが本で紹介されている.なにも知らなかった子ども時代の不思議は今はほとんど自分で説明できる.
この本を読んでいて思い出した.未だに自分で説明がつかない,本当に不思議な体験があったことを.
もう60年近くも昔の話だ.
私はその時6〜7歳だったろうか.いつものように,お祖父さんの炭窯(炭焼き小屋)に遊びにいった時のことだ.当時山間の農家はほとんど自給自足の生活をしており,塩以外の調味料(醤油・砂糖・味噌など)は各家で造っていたし,豆腐もこんにゃくも自家製であった.
今だからこんな場所にも書けるが,ひそかに酒も造っていた.我が家では簡単なドブロクしかつくらなかったが,集落の何軒かは本格的な焼酎,それもほとんどが芋焼酎で,造って密売をしていた.それで財を成したという人もいたようだ.郵便屋さんが,自転車の荷箱の底に氷枕をしのばせて,それに仕入れて帰っていたと聞いたとこともある.郵便屋さんが仲買をしていたのである.長閑な時代ではあったがみんな生きるために苦労をしていたのだろう.猟の仲間が「この辺りに焼酎の蒸留所があった.ときどき税務署の手入れがあったそうじゃき,どこぞこの近くへ一升瓶が埋まっちゅうかもしれん.いま出てきたらたら,超古酒になってなんぼかうまいろうなあ」と,ワナでの獲物の「出し」の途中の山で聞いた事がある.
木炭は薪とともに燃料であったし,重要な換金製品でもあった.出来の良い炭は販売し,燃すと煙が出るような不良品とか細かく割れたものが家庭用だった.
家から1キロほど山に入った所に炭窯はあった.お祖父さんが一人で働くここへ来ると,焼き芋を焼いてくれたり,鉄砲で鳥撃ちに連れていってくれたり,山の果実の取り方,遊び方を教えてくれたりと楽しい思い出がたくさんある.
炭窯にお祖父さんの姿はなかった.しばらく一人で遊んでいたと思うがお祖父さんは帰ってこないので,山を下りることにした.その帰り道,突然笛の音が鳴りだしたのである.それも美事な音色で.今思うと横笛のような音色ではなかったかと思う.お祖父さんは笛は吹かない.持っているのを見たこともないし吹いているのも見たことがない.当時20戸ほどの小さな集落だったが笛吹きは誰1人としていなかった.しばらく呆然とその笛の音色を聞いていたのだが,突然恐ろしくなった.私はその時,これは天狗だ.と思ってしまったのだ.下り坂の山道をどんなに辿ったのか,家に帰ってどんなふうに説明をし話をしたのかは今は記憶がない.笛の音の旋律さえ覚えていないがあの時の恐怖だけは今も記憶の中にある.
今,考えると集落には確かに笛吹きはいなかった.これは断言できる.あれほどの名手であれば,集落のお客(宴会)や集いで聞けたはずだし,話題にもなったはずだ.しかし,よそから来たお客さんがあって,その人が笛の名手であり吹いていたという可能性はあるのだが.何しろ道も険しいそれも山の中なので.
「山怪 山人が語る不思議な話」
田中康弘著
山と渓谷社

2015/7/8
本ーワナのしくみと仕掛け方 本
一般社団法人 農山漁村文化協会ー(農文協)からワナの教科書のような本がでています.

これならとれる! ワナのしくみとワナの仕掛け方という本です.ワナの説明仕掛け方のDVD付きです.現代農業 特選シリーズ9
私もハクビシンの箱ワナについて一文書いています.
モグラ.ネズミ・ハクビシン・アライグマ・ヌーとリア・アナグマ・イノシシ・シカ・サルのワナが紹介されています.
初心者にお勧めです.ベテランでも参考になります.

2015/7/7
狩猟関係の本「日本人はどんな肉を喰ってきたのか?」 本
「私、雑誌等での取材を生業と致しております。
「現代農業」という雑誌で獣害についての話を掲載しておりそこでハクビシン関連の企画を只今進行中です。
内容と致しましては折角捕獲したらそれを美味しく食べようというものです。
ハクビシンに依る果樹等への被害で悩む農家さん達へ捕獲、解体そして料理までをお伝えする内容です。
そこで長野様に是非ご協力頂きたくご連絡しました。
罠の掛け方から料理までを取材させて頂くことは可能でしょうか。
宜しくご検討の程をお願い申します。」
2013年10月5日,田中康弘さんというカメラマンからメールが届いた.
彼は私のこのブログを見て取材を思い立ったという.ハクビシンのことについて,それも具体的な農作物被害の実態や生態,捕獲方法,料理などについてまとまった本は見たことがない.これまで,ブログでハクビシンの情報発信をしてきたのだが本でならより広く知ってもらえると思ったので,取材の協力を約束した.


彼が日本国中,沖縄西表島から北海道礼文島まで飛びまわって取材をして完成したのがこの本です.

2014/8/2
「日本人はどんな肉を喰ってきたか」 本
うっかりしていました.
ハクビシンの記事が載った本を紹介することになっていましたが,すっかり忘れていました.
少し紹介します.
昨年,著者からハクビシンの取材を申し込まれて,それに応えました.著者の田中康弘さんは,本業はカメラマンです.これまでに狩猟に関する本も数冊上梓されています.
取材の記事が載った本は今年4月に発行されました.
「日本人はどんな肉を喰ってきたか」というタイトルで,西表島のカマイ(リュウキュウイノシシ)から始まって椎葉村の猪猟,宇目(大分)の鹿,穴内(高知)のハクビシン,長湯温泉(大分)の狸・穴熊,礼文島のトド猟のことが紹介されています.
出版は株式会社(えい)出版社で,定価は1500円です.木偏に世の「えい」ですが何度試しても文字化けしてしまいます.
帯には
「日本人がどこから来て何を食べて日本人になっていったのか.もちろん,そんな高尚な学問的探求心で私が旅に出るわけはない.
私はただ知らない世界を歩き,話しを聞きそして食べたいのである.
食べることでしか分からない,理解し得ない部分が多々あると,私は常々考えている.
“論より証拠”ならぬ“論より食”なのかもしれない.」
とあります.
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ハクビシンの記事が載った本を紹介することになっていましたが,すっかり忘れていました.
少し紹介します.
昨年,著者からハクビシンの取材を申し込まれて,それに応えました.著者の田中康弘さんは,本業はカメラマンです.これまでに狩猟に関する本も数冊上梓されています.
取材の記事が載った本は今年4月に発行されました.
「日本人はどんな肉を喰ってきたか」というタイトルで,西表島のカマイ(リュウキュウイノシシ)から始まって椎葉村の猪猟,宇目(大分)の鹿,穴内(高知)のハクビシン,長湯温泉(大分)の狸・穴熊,礼文島のトド猟のことが紹介されています.
出版は株式会社(えい)出版社で,定価は1500円です.木偏に世の「えい」ですが何度試しても文字化けしてしまいます.
帯には
「日本人がどこから来て何を食べて日本人になっていったのか.もちろん,そんな高尚な学問的探求心で私が旅に出るわけはない.
私はただ知らない世界を歩き,話しを聞きそして食べたいのである.
食べることでしか分からない,理解し得ない部分が多々あると,私は常々考えている.
“論より証拠”ならぬ“論より食”なのかもしれない.」
とあります.
