いわゆる「キエフの鳥の歌」について・再論
1984年に私・中島章利もメンバーであった北海道合唱団が公演先のウクライナの首都キイーウ(キエフ)で録音して持ち帰り、その後、初演した、いわゆる『キエフの鳥の歌』。
初演から32年が経過し、日本国内でもかなり知られる楽曲ともなりましたが、それに比例するように混乱もまた拡大しているようです。
2008年、2010年、2014年のこのブログで紹介し、それまでは作詞、作曲ともに不詳でしたが、その後、2017年5月末現在でに明らかになっている情報を記しておきます。
曲名
『また秋が来ると』(Знову осінь)。別名で「鶯の歌」と記している動画もあります。
作詞
イェウヘーン・フーツァロ(1937-1995)。ウクライナの作詞家、詩人、小説家。シェウチェーンコ記念・ウクライナ国家賞受賞。
作曲
オレクサーンドル・ビラーシ(1931-2003)。ウクライナの作曲家、教育者。人民芸術家。
1979年の作品。
日本では北海道合唱団創立50周年記念『歌曲集 北方圏のうたを訪ねて』(1999年5月刊)初出。
一部の出版物やウェブサイト、ブログ、動画で「ウクライナ民謡」となっていたり、「ロシア民謡」などと書かれているものがありますが正しくありません。
楽曲のスタイル、様式からしても到底、「民謡」ではありません。
初出の上記曲集も「第2回海外公演 1984年ソヴィエト連邦ウクライナにて」と記しており、「民謡」とはしていません。
この曲はウクライナの「愛国」の歌です。
ナザーリィ・ヤレムチュークがこの曲を歌っている動画があり、このブログでも紹介しましたが、メロディはともかくとして、伴奏は作曲者のオリジナルとは全く異なるポップス仕様になっています。

14