2022/5/28
002/2GMは永遠に ENGINE
1艇の中型艇(30ft)に3台も乗せ換える事になったYanmar2GMエンジン
これら3台の2GMをFactoryに持ち込み分解整備に着手、それぞれ重症を抱えていて約半年かけて、何とか再生することが出来た!
・・・・これもドラマ風に編集してみた・・・・・
・・・・「002/2GMは永遠に」・・・・(007/ダイアモンドは永遠に)
約半世紀前に、当時は大型ヨットの部類になる30ftが主流になっていく・・・
(当時、税制の関係で全長9m以上は関税がかけられたので、9m未満=30ftが良く売れた)
搭載エンジンも船外機から船内機へ、10馬力以下の単気筒(YA8/YC8)が活躍した!
Yanmarは中型ヨットに搭載向けの2GMを開発・・・

13Hpで2気筒、軽くて静かなエンジンで正にヨット向け
*この2GMは約30年元気に回っていたが、排気にオイルが混ざるようになり、中古の2GM20に換装されたため、取り降ろされて、ヨットヤードに放置されていた

これを見つけたエンジンオタクはバラバラにして自宅Factoryに持ち帰り分解・・・

外部は錆が多いが、内部は腐食やクラックがなく、何とか再生出来そうだ!
早速パーツを発注・・
(2GM20へ進化した部分はライナー入りシリンダーからライナー無しのシリンダーブロックに・・・フライホールは12s→17.5sに、3Hp upの16Hpに・・・・
3Hpはオプションで35Ahから55Ahのオルタネータを装備可能にした)
分解した初期のパーツオーダーはシリンダーヘッドガスケット、オイルパンガスケット、各種パッキング、オイル、燃料エレメント、各種O-Ring・・・・
この2GMは吸・排気バルブ、ピストンリング(標準サイズ)を発注

タッチアップ塗装用にヤンマー純正塗料も・・・
・・・ライナーのあるシリンダーを初めて見た!

ピストンやリング、コンロッドなどの状態が良い・・・再生出来そうだ!!

錆が最もひどかったのは、海水を取り込む海水ポンプだ!

分解は大変だった!これほど錆びていたら、廃棄して新品に交換がベストなのだが、元々廃棄されたエンジンを再生しようと企んでいるので、パーツ交換でやってみよう!!
シリンダーヘッドを磨いたら、状態が良い、ライナーにも傷がない!

ミッションもオイルは汚れていたが、状態は良さそうだ!

KM2P-A 減速比:2.21
最もひどかったのは冷却海水の通路が塩の塊りで詰まっていた!

これはヘッドのジンク、サーモスタットの周りも塩詰まり、相当の量の塩が出てきた!
これでは、エンジンは回っても直ぐにオーバーヒートになってしまったのだろうと推測する。
ピストンのヘッド部やバルブの周りがカーボンで真っ黒なのと因果関係はあるのだろうか!?
錆びだらけだったフライホールをサンダーで磨いたらピカピカになった!

フライホールの両側には、噴射タイミングと上死点のマークがあるので、錆びていては確認できない。(2GMのフライホールは12s、2GM20:17.5kg、3GM-30:17.5s)
オーダーパーツを入手して、いよいよ組み立て開始!!
組み立ては楽しく、早い!

試運転・・・快調に始動、滑らかに回っている・・・しかし!?

何かおかしい!?排気の冷却水に何か混じっている・・・!?
・・・真新しいエンジンオイルが豆粒状になって排出されている!
Headを外して良く観察すると、排気マニホールドにピンホールがある!?

プッシュロッドルームからオイルが漏れていた!
Headエキマニの腐食穴の補修をどうするか、溶接出来るような部所ではない・・・
YanmarにHead assyのパーツ見積もりしたら、124000円!とても手が出ない。
最近FBでも宣伝している「耐熱金属溶接パテ」を使って補修を試みる。

指先で溶接もどきが出来るのであればCoodだ、上手く盛り付けすることが出来た!
慣らし運転後が楽しみだ!
パテ塗から24hr以上、十分に硬化したので、心臓(Head)を再組立て、同じ作業を何回もやっているので仕上がりは早い!
早速試運転、一発始動!滑らかに調子よく回っている、しばらく慣らし運転をしてパテの様子を見てみようと思う・・・
2回目の試運転、1Hr回した後、ミキシングエルボーを外してエキマニを触診、問題ない!
これから毎日慣らし運転して様子をみよう!
結局10時間慣らし運転をして異常はない、溶接パテの信頼性は無限だ!
この2GMは持ち主にお返しして、使用の判断はお任せすることにした。
*ボロボロの2GM20
25ftの廃船ヨットから取り降ろされた2GM20は錆びだらけでボロボロ!

作業台に乗せて早速分解開始、錆が酷い、今まで扱ったエンジンで錆は最悪!
分解は困難を極める、ボクの作業服もサビまみれだ!!

しかし、Headを外して両面を点検・・・状態は悪くない!

これなら何とか再生出来そうだ!
こんなボロボロのエンジンが生き返ったら、またまた感動ものだ!
モチベーションがアップする!!
バラバラに分解して洗浄するには根気と体力がいる!
錆の量は半端じゃない、しかも泥まみれ・・・・
これまでにパーツクリーナー5本、灯油1L使った!
これまで使いこなされた2GMと今回のような放置された2GMの違いで気が付いたのは意外と・・・・
充分に使い切った2GMはHeadやシリンダーブロックのHead面に経年劣化が見られた。
またコンロッドやピストンピンにも変形が、バルブにも偏摩耗が見られた。
これまでクラブ艇の取り降ろされた4台の2GM20は、分解整備して再利用を諦め、新品の3YM20に換装された。
放置された2GMは??
使い切って放置するのと、放置されたヨットに搭載されていた2GMとは異なる!?
見た目は錆びてボロボロでも分解してみれば密封されているエンジン内部は意外と朽ちていない!
今回の2GMは多分これだろう!?
放置されて30年は経過していると思うがYanmar エンジンのQualityは高い!
交換した主要パーツはピストンリング(0.25oサイズアップ)吸・排気バルブ、ミキシングエルボなどは新品に・・・
ボロボロに錆びていた、ミッション、フライホイールハウジング、エアークリーナーケース、ボンネットなど表面に出ていたパーツは保管中の中古パーツに交換した。
なんと見違えるほどにピカピカになった!

試運転は一発で始動、滑らかに回る・・・元々素性の良いエンジンだったのだろう。
廃棄されずに生き返えらせた達成感はひとしおだ!
そしてこの2GMは30ftに載っている重症の2GMと乗せ換える事になった。
*その重症2GM20・・・3台のうち最も厄介な重体のエンジンだった!
ガレージファクトリーに搬送されてきた2GM20・・・

土曜日に上架したヨットから降ろされたばかりで、一見きれいに見えるが・・・
よく見れば横流し(換装の為、降ろされた古いエンジンを純正塗料でタッチアップ塗装され、販売される)の2GMでしばらくは回っていたが、黒煙を吐き、その後全く始動しなくなったとのこと。
中古売買はヨット本体もだが、エンジンもオーナーの買い替える要因があるはず!?
エンジンの方がオーナーの意向が判りやすい・・・・
もっと馬力が欲しい、古くなって調子が良くない、新品に乗せ換えたい等など・・・
買い手はなるべく中古エンジンの経緯を聞いて、実際に試運転をしてもらい、自分の目で判断しないと、後から文句を言っても仕方がない。マーケットはノークレームノーリターンが相場のようだ!
売り手も誠意をもって、詳しく説明し、試運転を見てもらい、分解整備の概要と交換パーツリスト位は揃えておきたいものだ。
そしてこの2GMは輸出向けのエンジンで、なんとフライホイールが巨大で23sもある!

取り外しや取り付けは重いので苦労する!
フライホイールやダンパーを外したり、締めるにはクランクシャフトをロックしないといけない。

27oのボックスと大きめのレンチを使用。
Headを外し、Valveを抜いて、いろいろ見えてきた!
カーボンで覆い尽くされたExhaust valve(No.2側)

黒煙を吐きながらも何とか走ったらしいが、その後2番気筒が全く点火しなくなったとのこと。
おそらく圧縮不足で不完全燃焼で黒煙を吐き、そのうちカーボンが排気バルブ室に溜まり、バルブ自身も写真のようにカーボンで塊り、更に圧縮不足となり、点火不能になったと推測。
バルブ室を埋め尽くすほどのカーボンで除去した量が半端ではなかった!?
圧縮不足の最悪の原因はシリンダーブロックやヘッドのクラックや凹みがある!?
この場合は専門工場に持ち込み、溶接やボーリングが必須・・・
クラックを検査するために、DIYで出来る事は目視点検とカラーチェック・・・

特に異常は見つからなかった・・・ならば次の施策・・・
圧縮を回復するためにオーバーサイズ(0.25o)リング付きのPiston Assyを取り寄せる。

オーバーサイズのピストン&リングをCylinderに入れるには、ホーニングしなければならない。
一応、電動ドリルで使えるホーニングキットをAmazonに発注した。

240番の砥石で均等に研磨できる優れもの!シリンダー側面にきれいなクロスハッチが出来た。
しかし、0.25oのボアアップはホーニングでは厳しいが、圧縮不足の原因が従来のピストンとシリンダーの隙間が広くなったと思われるので、0.1〜0.15oならホーニングで可能と判断、結局砥石を2セット使って、スムースにピストンが入るようにし、リングの合口を制限値内に調整した。
更にヘッド面とシリンダーブロックのヘッド面の均一性も点検が必要。

この両面を2000番砥石で丁寧に磨いた!
吸・排気バルブとステムシールは全て新品に交換し、擦り合わせも完了!

直接冷却のGMエンジンの整備不良で目に付くのはZinkの定期的な交換が実施されていない事!?

ボロボロになるまで放置していたら、電蝕防止はおろか、ボロボロになった瓦礫が冷却水路を閉塞してしまう。
2GMは2個、3GMは3個装備されているが、海域にもよるが2年が限度と思う、早めの交換がお薦めです。
サイド側のZinkボルトを外すには24oのメガネレンチがあると便利です!
更に直接冷却で多いトラブルはサーモスタット・・水温が上がると、熱膨張したプランジャーがスプリングを押して、バイパス経路を閉じてエンジン内の冷却水を循環させる。
錆て固着していたり、小枝が絡んで不作動になっていたのもあった!

熱膨張した状態、この隣にある水温センサーは65℃以上になると警告してくれる。
ここまで、分解整備して、残されたのは燃料系統、正しく噴射されているか確認。
噴射タイミングと噴射状態を点検、この点検窓はタペット調整の時も使用する

スターターを外すと見えるが、後ろ側のフライホイールハウジングの窓からも確認できる。
「I」が噴射開始のマーク、「I1」「I2」がそれぞれの上死点のマーク
燃料噴射ポンプも分解してチェック、デリバリーバルブのパッキンやO-Ringを交換

出来得ることは全てやって、いよいよ試運転・・・これでダメなら手の打ちようがない!

まるで息を吹き返したように元気よく生き返った!!
その後の慣らし運転も上々、音もとても滑らかで排気ガスもキレイ、ブローバイガスは少ない!
今まで、7台の2・3GMを分解整備したが、このエンジンが最も厄介だったので、持ち主に返却するときは一抹の寂しさがあった。
我が家のFactoryには2GM20が1台残っている、当初から2in1の2GMで学習用に保管していて、作動もOKなのだが、今回の3台の2GM分解整備でかなりのパーツを流用してしまった。

時間をかけてゆっくりと最上の2GMに仕上げてやろうと思う!!
古い2GMエンジンはパーツはYanmarにあるので、丹念に分解整備してやれば、永遠に活躍できるものと信じている。
3
これら3台の2GMをFactoryに持ち込み分解整備に着手、それぞれ重症を抱えていて約半年かけて、何とか再生することが出来た!
・・・・これもドラマ風に編集してみた・・・・・
・・・・「002/2GMは永遠に」・・・・(007/ダイアモンドは永遠に)
約半世紀前に、当時は大型ヨットの部類になる30ftが主流になっていく・・・
(当時、税制の関係で全長9m以上は関税がかけられたので、9m未満=30ftが良く売れた)
搭載エンジンも船外機から船内機へ、10馬力以下の単気筒(YA8/YC8)が活躍した!
Yanmarは中型ヨットに搭載向けの2GMを開発・・・

13Hpで2気筒、軽くて静かなエンジンで正にヨット向け
*この2GMは約30年元気に回っていたが、排気にオイルが混ざるようになり、中古の2GM20に換装されたため、取り降ろされて、ヨットヤードに放置されていた

これを見つけたエンジンオタクはバラバラにして自宅Factoryに持ち帰り分解・・・

外部は錆が多いが、内部は腐食やクラックがなく、何とか再生出来そうだ!
早速パーツを発注・・
(2GM20へ進化した部分はライナー入りシリンダーからライナー無しのシリンダーブロックに・・・フライホールは12s→17.5sに、3Hp upの16Hpに・・・・
3Hpはオプションで35Ahから55Ahのオルタネータを装備可能にした)
分解した初期のパーツオーダーはシリンダーヘッドガスケット、オイルパンガスケット、各種パッキング、オイル、燃料エレメント、各種O-Ring・・・・
この2GMは吸・排気バルブ、ピストンリング(標準サイズ)を発注

タッチアップ塗装用にヤンマー純正塗料も・・・
・・・ライナーのあるシリンダーを初めて見た!

ピストンやリング、コンロッドなどの状態が良い・・・再生出来そうだ!!

錆が最もひどかったのは、海水を取り込む海水ポンプだ!

分解は大変だった!これほど錆びていたら、廃棄して新品に交換がベストなのだが、元々廃棄されたエンジンを再生しようと企んでいるので、パーツ交換でやってみよう!!
シリンダーヘッドを磨いたら、状態が良い、ライナーにも傷がない!

ミッションもオイルは汚れていたが、状態は良さそうだ!

KM2P-A 減速比:2.21
最もひどかったのは冷却海水の通路が塩の塊りで詰まっていた!

これはヘッドのジンク、サーモスタットの周りも塩詰まり、相当の量の塩が出てきた!
これでは、エンジンは回っても直ぐにオーバーヒートになってしまったのだろうと推測する。
ピストンのヘッド部やバルブの周りがカーボンで真っ黒なのと因果関係はあるのだろうか!?
錆びだらけだったフライホールをサンダーで磨いたらピカピカになった!

フライホールの両側には、噴射タイミングと上死点のマークがあるので、錆びていては確認できない。(2GMのフライホールは12s、2GM20:17.5kg、3GM-30:17.5s)
オーダーパーツを入手して、いよいよ組み立て開始!!
組み立ては楽しく、早い!

試運転・・・快調に始動、滑らかに回っている・・・しかし!?

何かおかしい!?排気の冷却水に何か混じっている・・・!?
・・・真新しいエンジンオイルが豆粒状になって排出されている!
Headを外して良く観察すると、排気マニホールドにピンホールがある!?

プッシュロッドルームからオイルが漏れていた!
Headエキマニの腐食穴の補修をどうするか、溶接出来るような部所ではない・・・
YanmarにHead assyのパーツ見積もりしたら、124000円!とても手が出ない。
最近FBでも宣伝している「耐熱金属溶接パテ」を使って補修を試みる。

指先で溶接もどきが出来るのであればCoodだ、上手く盛り付けすることが出来た!
慣らし運転後が楽しみだ!
パテ塗から24hr以上、十分に硬化したので、心臓(Head)を再組立て、同じ作業を何回もやっているので仕上がりは早い!
早速試運転、一発始動!滑らかに調子よく回っている、しばらく慣らし運転をしてパテの様子を見てみようと思う・・・
2回目の試運転、1Hr回した後、ミキシングエルボーを外してエキマニを触診、問題ない!
これから毎日慣らし運転して様子をみよう!
結局10時間慣らし運転をして異常はない、溶接パテの信頼性は無限だ!
この2GMは持ち主にお返しして、使用の判断はお任せすることにした。
*ボロボロの2GM20
25ftの廃船ヨットから取り降ろされた2GM20は錆びだらけでボロボロ!

作業台に乗せて早速分解開始、錆が酷い、今まで扱ったエンジンで錆は最悪!
分解は困難を極める、ボクの作業服もサビまみれだ!!

しかし、Headを外して両面を点検・・・状態は悪くない!

これなら何とか再生出来そうだ!
こんなボロボロのエンジンが生き返ったら、またまた感動ものだ!
モチベーションがアップする!!
バラバラに分解して洗浄するには根気と体力がいる!
錆の量は半端じゃない、しかも泥まみれ・・・・
これまでにパーツクリーナー5本、灯油1L使った!
これまで使いこなされた2GMと今回のような放置された2GMの違いで気が付いたのは意外と・・・・
充分に使い切った2GMはHeadやシリンダーブロックのHead面に経年劣化が見られた。
またコンロッドやピストンピンにも変形が、バルブにも偏摩耗が見られた。
これまでクラブ艇の取り降ろされた4台の2GM20は、分解整備して再利用を諦め、新品の3YM20に換装された。
放置された2GMは??
使い切って放置するのと、放置されたヨットに搭載されていた2GMとは異なる!?
見た目は錆びてボロボロでも分解してみれば密封されているエンジン内部は意外と朽ちていない!
今回の2GMは多分これだろう!?
放置されて30年は経過していると思うがYanmar エンジンのQualityは高い!
交換した主要パーツはピストンリング(0.25oサイズアップ)吸・排気バルブ、ミキシングエルボなどは新品に・・・
ボロボロに錆びていた、ミッション、フライホイールハウジング、エアークリーナーケース、ボンネットなど表面に出ていたパーツは保管中の中古パーツに交換した。
なんと見違えるほどにピカピカになった!

試運転は一発で始動、滑らかに回る・・・元々素性の良いエンジンだったのだろう。
廃棄されずに生き返えらせた達成感はひとしおだ!
そしてこの2GMは30ftに載っている重症の2GMと乗せ換える事になった。
*その重症2GM20・・・3台のうち最も厄介な重体のエンジンだった!
ガレージファクトリーに搬送されてきた2GM20・・・

土曜日に上架したヨットから降ろされたばかりで、一見きれいに見えるが・・・
よく見れば横流し(換装の為、降ろされた古いエンジンを純正塗料でタッチアップ塗装され、販売される)の2GMでしばらくは回っていたが、黒煙を吐き、その後全く始動しなくなったとのこと。
中古売買はヨット本体もだが、エンジンもオーナーの買い替える要因があるはず!?
エンジンの方がオーナーの意向が判りやすい・・・・
もっと馬力が欲しい、古くなって調子が良くない、新品に乗せ換えたい等など・・・
買い手はなるべく中古エンジンの経緯を聞いて、実際に試運転をしてもらい、自分の目で判断しないと、後から文句を言っても仕方がない。マーケットはノークレームノーリターンが相場のようだ!
売り手も誠意をもって、詳しく説明し、試運転を見てもらい、分解整備の概要と交換パーツリスト位は揃えておきたいものだ。
そしてこの2GMは輸出向けのエンジンで、なんとフライホイールが巨大で23sもある!

取り外しや取り付けは重いので苦労する!
フライホイールやダンパーを外したり、締めるにはクランクシャフトをロックしないといけない。

27oのボックスと大きめのレンチを使用。
Headを外し、Valveを抜いて、いろいろ見えてきた!
カーボンで覆い尽くされたExhaust valve(No.2側)

黒煙を吐きながらも何とか走ったらしいが、その後2番気筒が全く点火しなくなったとのこと。
おそらく圧縮不足で不完全燃焼で黒煙を吐き、そのうちカーボンが排気バルブ室に溜まり、バルブ自身も写真のようにカーボンで塊り、更に圧縮不足となり、点火不能になったと推測。
バルブ室を埋め尽くすほどのカーボンで除去した量が半端ではなかった!?
圧縮不足の最悪の原因はシリンダーブロックやヘッドのクラックや凹みがある!?
この場合は専門工場に持ち込み、溶接やボーリングが必須・・・
クラックを検査するために、DIYで出来る事は目視点検とカラーチェック・・・

特に異常は見つからなかった・・・ならば次の施策・・・
圧縮を回復するためにオーバーサイズ(0.25o)リング付きのPiston Assyを取り寄せる。

オーバーサイズのピストン&リングをCylinderに入れるには、ホーニングしなければならない。
一応、電動ドリルで使えるホーニングキットをAmazonに発注した。

240番の砥石で均等に研磨できる優れもの!シリンダー側面にきれいなクロスハッチが出来た。
しかし、0.25oのボアアップはホーニングでは厳しいが、圧縮不足の原因が従来のピストンとシリンダーの隙間が広くなったと思われるので、0.1〜0.15oならホーニングで可能と判断、結局砥石を2セット使って、スムースにピストンが入るようにし、リングの合口を制限値内に調整した。
更にヘッド面とシリンダーブロックのヘッド面の均一性も点検が必要。

この両面を2000番砥石で丁寧に磨いた!
吸・排気バルブとステムシールは全て新品に交換し、擦り合わせも完了!

直接冷却のGMエンジンの整備不良で目に付くのはZinkの定期的な交換が実施されていない事!?

ボロボロになるまで放置していたら、電蝕防止はおろか、ボロボロになった瓦礫が冷却水路を閉塞してしまう。
2GMは2個、3GMは3個装備されているが、海域にもよるが2年が限度と思う、早めの交換がお薦めです。
サイド側のZinkボルトを外すには24oのメガネレンチがあると便利です!
更に直接冷却で多いトラブルはサーモスタット・・水温が上がると、熱膨張したプランジャーがスプリングを押して、バイパス経路を閉じてエンジン内の冷却水を循環させる。
錆て固着していたり、小枝が絡んで不作動になっていたのもあった!

熱膨張した状態、この隣にある水温センサーは65℃以上になると警告してくれる。
ここまで、分解整備して、残されたのは燃料系統、正しく噴射されているか確認。
噴射タイミングと噴射状態を点検、この点検窓はタペット調整の時も使用する

スターターを外すと見えるが、後ろ側のフライホイールハウジングの窓からも確認できる。
「I」が噴射開始のマーク、「I1」「I2」がそれぞれの上死点のマーク
燃料噴射ポンプも分解してチェック、デリバリーバルブのパッキンやO-Ringを交換

出来得ることは全てやって、いよいよ試運転・・・これでダメなら手の打ちようがない!

まるで息を吹き返したように元気よく生き返った!!
その後の慣らし運転も上々、音もとても滑らかで排気ガスもキレイ、ブローバイガスは少ない!
今まで、7台の2・3GMを分解整備したが、このエンジンが最も厄介だったので、持ち主に返却するときは一抹の寂しさがあった。
我が家のFactoryには2GM20が1台残っている、当初から2in1の2GMで学習用に保管していて、作動もOKなのだが、今回の3台の2GM分解整備でかなりのパーツを流用してしまった。

時間をかけてゆっくりと最上の2GMに仕上げてやろうと思う!!
古い2GMエンジンはパーツはYanmarにあるので、丹念に分解整備してやれば、永遠に活躍できるものと信じている。

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