2008/7/23
連日の猛暑の中、職人さんたちは黙々と仕事をこなされています。

地下足袋・長ズボン・腰に巻いた工具類など、その暑さは想像以上でしょう。全く頭が下がります。実は本堂の屋根の上は西から(西方浄土から?!)心地よい風が吹いています。本堂西側のクスノキが日よけにもなり、吹き抜ける風がとても気持ちよいものなのです。
しかし、近隣住民から毎日うるさい、とのクレームがつき、急きょ分厚いビニールの防音シートが垂らされました。たった1本の電話のおかげで作業場は温室のようで職人さんの健康状態にも不安が・・・。しかも瓦工事が停滞し、お盆頃に仕上がるか不安になってきました。
当地・大阪河内では、
「毎日ややこしいことしてまして(御迷惑かけて)、エライすんまへん」
「いやいや、ご互いや。あんじょうやってはんやな!(なんの、なんの。工事の時はお互い様です。いい建物を作っておられるのですね)」
というやりとりが交わされます。私はこのやりとりに、昔からの共同体の生活の知恵を感じます。現代人は個人主義・権利意識・自己主張が大切だと洗脳されていますので、“お互い様”という言葉はやがて死語になるでしょう。
クレームを発する人の心理には【安っぽい権利意識】と【自己顕示欲】そして【妬み・嫉み(ねたみ・そねみ)】があります。これらは人間だれしもが持っているものと言えましょう。
別の視点で考えますと、クレームってやはり都市部において発生するのが常です。その「都市」には人が多すぎます。狭い街に人や車や建物が密集したらギスギスするのは当然です。職や食べ物も奪い合いになりますので、秋葉原のような狂気殺人も過密社会と無関係ではないでしょう。
マウスの実験でも多数混在の飼育環境では異常行動を起こすことが確認されています。
“クレーマーの言動は生物学的な行動”なんだ、と理解すればやり過ごすことができるかもしれませんよ!?
問題の対象と“いかに向き合うか”ではなくて、問題の本質を客観的に理解して“いかにやり過ごすか”が、争いを避けんとする仏教の叡智だと思います。

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