トヨタ自動車のリコールがアメリカで大問題となっており、アメリカ議会で豊田社長が公聴会に出席されたようです。論評を見るとマズマズの結果のようですが、この結果を受けて、トヨタ車の販売がアメリカで回復するかどうかは不明です。電子制御の問題が指摘されており、この点についてメーカサイドとユーザサイドに考え方に違いがあり、論点がかみ合っていないようにも見えます。トヨタ側では電子制御に問題はなく、誤動作することはないから暴走事故の原因は電子制御にあるのではない、と述べているようですが、これは明らかにメーカサイドの論点です。現在までの報道を見ると、トヨタはアクセルとブレーキが同時に動作した場合、今後はブレーキを優先するシステムにする、との内容があり、現在はブレーキが優先されていないシステムになっている、ということを意味しています。
フェイルセーフ的な考え方で運転者の安全を考えるのであればブレーキが優先されるのは当たり前ですが、何故かトヨタ車はそうなっていないようです。アメリカが問題にしているのは電子制御のこのシステムの話で、もしブレーキが優先されていたとすれば、アクセルペタルが戻らなくなっても暴走することはないでしょう。トヨタの説明では、システムがアクセル優先となっていることから、暴走したとしても電子制御が誤動作したものではない、という理屈のようです。多分、アメリカでの暴走事故に関連する裁判ではこの辺が問題視され、トヨタが勝てる可能性はなさそうですが、日本の報道機関はトヨタに遠慮しているような気配があり、詳しく報道されることはないようです。それにしてもアクセルとブレーキが同時に作動した場合、アクセルの方が優先される設計とは考えられない話で、電子制御を行っているトヨタ車には危なくてとても乗れない、と思ってしまいます。
プリウスの問題にしても、『ブレーキの効きが0.06秒遅れるだけ』的な報道があり、たいした問題ではないような表現がありましたが、0.06秒というのは60msで、メカ的な話であればともかくも、電子回路において60msというのは大きな時間です。自動車の電子回路がパソコンほど高速とは考えられないものの少なくともマイクロオーダでは動作しているものと思われます。ミリ秒というのはマイクロ秒の1000倍で、60msも動作が遅れるということは、ブレーキ操作を検出して1000ステップ以上、反応していないとも言えます。電子回路の世界では、こんな動作をしたら間違いなく欠陥だし、話になりません。プリウスの説明書には、通常の車と同じように運転出来る、との記載があるようだし、にも関わらず、フィーリングの問題、と発言した副社長ですが、彼はこの辺をしっかり把握していたのでしょうか。

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