三菱重工業の子会社である三菱航空機が開発中の国産ジェット旅客機である「MRJ」ですが、アメリカで試験飛行を行うために渡米する予定だったものが空調機の故障ということで、飛行途中で日本に引き返したようです。この空調機の故障を修理するためには数週間もかかようで、渡米が遅れるとともに試験飛行開始も遅れるようです。また、この影響でアメリカへの飛行ルートも変更が必要なようで、何をやっているんだろうと思ってしまいます。この航空機の航空会社への引き渡しは2018年の予定のようですが、下手をするとこれもまた遅れそうな感じがしないでもありません。引き渡し予定そのものは最初の計画から4年ほども遅れているようで、この辺もお粗末としか言いようがありません。この航空機は中型機で、競争相手の航空機に対して燃費が2割ほど良いとのことで、これを武器に航空会社への売り込みを行っていたはずですが、引き渡し(製造)が4年も遅れてしまうと、この有利さがなくなってしまいます。
ライバルメーカも当然のことながら燃費の良い航空機を開発するわけで、ライバルのエンブラエルは2020年を目指して新型機を開発しているようです。MRJの燃費改善については、新型エンジンの採用と機体の軽量化で対応しているような感じですが、競合他社も当然のことながら新型エンジンを搭載した機種を開発することは考えられます。ある意味、エンジンだけの有利性であれば2年もあれば新しい航空機を開発出来るはずで、逆に言えばMRJの製造遅れというのは2年程度が限度と考えておくべきだとも見えますが、その辺の感覚が三菱航空機にはないように感じます。本来であれば製造が4年も遅れていれば必死になって開発をやるべき時期のはずですが、今回の空調機の故障などを見ていると、「また故障が発生したか、製造が遅れるのも仕方がないな」といった程度の感じしか受けません。
航空機であれ何であれ、売れる時期に開発しないと競合メーカが対応し、顧客を得ることは出来ずに大赤字になるのも珍しくありませんが、工程管理とか納期の管理とか、かなり杜撰に見えます。MRJの開発と同じような時期にホンダが7人乗りの小型ジェット機の開発を行っていたはずで、こちらはエンジンを翼の上に置くというユニークな作りだったはずですが、このジェット機は製造が遅れたという報道はなかったようで、現在は運用されているはずです。個人所有のジェット機と中型のジェット機では製造の難しさに大差があるとしても、ホンダの新型機が従来と全く異なる形であったことを考えると、MRJの開発が4年以上も遅れていることは、製造メーカの技術力の差を感じてしまいます。三菱重工業の客船製造における数千億円にも上る赤字とか、三菱自動車の燃費偽造の問題とかを見ると、三菱重工業系の会社には、品質や工程管理などに問題があるように感じます。特に三菱自動車は、1度指摘された燃費確認試験の問題点を受けて再提出した燃費データに国土交通省の試験結果との差があったようで、品質管理上に体質的な問題があるように感じます。

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