国民投票の結果、EUからの離脱が決まったイギリスですが、離脱案の内容について与党である保守党から反対が続出しているようで、混乱が続いています。保守党では離脱案についてEUと協議し、決定したメイ党首の信認投票が行われましたが、一応信認されたものの不信任票が110票ほどもあったことから、メイ首相の指導力に疑問が付いた形となり、今まで以上にEUとの離脱交渉が難しくなったようです。元々EU離脱についての国民投票についても僅差であったことから、離脱交渉自体がかなり難しく、議会の信任を得るのが難しい状態のようです。保守党内にしても、強硬離脱派とEUとの関係を重視する穏健離脱派や離脱反対派まであって、統一が取れていないことから、党内をまとめるのが難しいようです。今回の離脱案にしても外部から見る限り、現状では致し方ない面があるように感じます。
強硬離脱派が問題にしているのは、アイルランドと北アイルランドの国境問題に関する部分のようですが、現状では陸続きであるアイルランドと北アイルランドの間に関所みたいなものを設けることは不可能に近いと思われます。逆に言えばこの問題は簡単に解決出来るものではなく、交渉期限である2019年3月までに解決することは不可能と思われます。反対派の議員は、この国境の問題が解決しないまま、ずるずるとEUの関税同盟に縛られ続けることに反対のようです。言い分が分からないでもありませんが、であれば対応策を提案すべきですが、対応策(当然のことで、簡単に対応出来るはずもないが?)もなく、単に反対しているだけ、に見えます。党首に対する信認投票にしても、この問題について、簡単に解決案が見つかるわけでもないし、党首が不信任になり新党首が選ばれたにしても、新しい党首が解決出来るとも思えません。
ある意味では、保守党はEUとの離脱期限が2019年3月に迫っているにも関わらず、党内での権力闘争を行っているようにも見えます。しかし、EU離脱という問題だけについて考えると、保守党は分裂しているような感じで、どんな案が出てきたとしても、議会で承認されることは無理のような気がします。大混乱となると予想されている「合意なき離脱」ですが、そろそろ時間切れという感じがしないでもありません。最も、合意なき離脱の場合、イギリスだけではなくEU側もかなり混乱すると予想されることから、何らかの妥協が図られるとは思いますが、イギリスの議会が承認しない形での妥協があり得るとも思えず、実際に合意なき離脱となり、イギリスやEUが半年程度の間、混乱した状態にならないと、問題は解決しないような気もします。しかし、株式投資をやっている関係で、欧州の経済が混乱するのは迷惑な話です。

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