今回「たまにじ」で私のやる役は水戸藩士で塚原流の剣客、木原藤十郎。劇中で親友でもある主役の田中兵庫が持っている上申書を読むシーンがある。もしその上申書の内容をお上への謀反と受け取ったらその場で兵庫を斬らなければならない。かなり重要なシーンである。
今日そのシーンの稽古で兵庫役の小川雅巧さん(川崎演劇塾という劇団の座長でもある)から上申書を受け取ると何やらひやりと湿っている。おや、と思ったが中断せずに芝居を続けた。上申書の封を空け中身を広げるとなんだか妙に臭い…いや、凄く臭い!何だこれ?うぇ…と思ったがそれでも芝居を続けた。
ところが今度は湿った紙が読んでるうちにだらんと垂れ下がってくる。これでは読み進むことができないから仕方なく腰に挿した刀の柄の上に乗っけて読み進めた。これにはさすがにダメが出て、「そんな読み方はぞんざいだ」と高木演出。
私「え、いや、上申書が濡れてるんです」
高木演出「え?濡れてるの?イヤだな、そんなの!誰か替わり持って来て!」
代わりの小道具が来て私は濡れた上申書を小川さんに返した。すると小川さんがぼそっと一言。
小川「…猫のおしっこかな?」
…ええ!猫のおしっこって!そりゃ臭いわけだよ!まいったなぁ、おしっこびっしゃりの上申書持って芝居続けちゃったんだからなぁ…。
小川さん家の猫ちゃんはかわいいという噂を聞いたことがあるが、小川さん自身もめちゃくちゃお茶目で私は大好きだ。

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