相変わらず私は小屋入りすると木偶の坊である。釘ひとつ満足に打つことができない。10年間ずっとそうだった。「ここまでたたけないで役者続けてこれたなんてよっぽど恵まれてたんだね」と役者仲間に言われたことがある。確かにその通りかもしれん。このままじゃイカンと何度も覚えようとしてきたが駄目だった。すぐに忘れてしまうのだ。「ナグリ」「パール」「ザツグロ」「オオグロ」「イッケン」「シャク」などの用語もいつまでたっても覚えられない。
はっきり言って芝居始めたばかりの小娘にも劣るのだ。
10年間タタキをやってきて身についたことはたったひとつしかない。
それは、「目立たないこと」だ。
とにかく簡単な作業を手が空かないように持続してタタキの風景に同化する。重いものを運んで汗を流す。そして自分の判断や責任を要するタタキの最前線には絶対近づかない。やることがなくなったらとにかく釘を拾う。
私は何も怠けたいわけじゃない。スタッフさんは尊敬しているし人一倍力になりたいとも思っている。
おお!ただ神は私に大工としての才を与えては下さらなかった!
聖母よ、私は自分を恥じているのです!
今でもタタキを覚えたいという強い要望は持っている。しかし殺陣は数ヶ月で覚えられるのに、10年やって覚えられないのだから嗚呼、不安だ!
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