今年は紅白もジルベスタ・コンサートも観ている暇はない。何せ膨大な量のダンボールと格闘しなければならないのだから。生活の復興の目処は未だ立たず。朝から晩まで黙々と部屋を片付けている。
それにしても今年は本当に色々なことがあった。だって一年前は「たまにじ」で時代劇やってたんだぜ!もう何年も前のことのように感じられる。「たまにじ」が大成功のうちに終わって余韻に浸る間も無く一ヶ月間イギリス、パリに滞在。帰国後、激しく体調を崩し何週間も寝たきりで生死の境を彷徨った。そしてその朦朧とした意識の中でカミさん(やはり激しく体調を崩して生死の境を彷徨っていた)と入籍。とうとう所帯持ちになってしまった。
ようやく生活のリズムが戻ってきて、養生していると厳しい現実社会を目の当たりにするようなとんでもない事件が起こって、「このままではいけない!終われない!」と心を入れ替えて一念発起。自らの劇団火扉を再強化を図る必要に迫られた。
それはあたかも黒船来航によって弱肉強食の世界の現実を始めて目の当たりにし、富国強兵を余儀なくされた幕末の日本を彷彿とさせた。
「たまにじ」で高木先生からかいつまんだアレクサンダーをはじめ、鍬田かおる先生のムーヴメントのレッスンや元JACの加藤弘明さんの殺陣集団ヒメイチなどに参加し、自ら体を使って覚えた技術を火扉のレギュラー役者のために稽古に導入した。
夏休みには新婚旅行で出雲〜鳥取〜赤穂〜奈良〜熊野〜伊勢、と「砂の器」の親子ばりに日本各地を巡礼し、この国の古の神仏(そして芝居の神様)に将来の願を掛けた。
東京に戻ってからは火扉12月公演に向けてひたすら稽古。「たまにじ」で競演した若林秀俊さんもお招きしてより肉体を強化するためのカリキュラムを組んだ。
火扉最新作のタイトルは「English」。これはイギリスに一ヶ月間滞在して感じたこととやはり、外部の脅威によって自己改革をせざるを得なくなったある事件が下敷きになっている。3話からなるオムニバスでその一編では火扉初の時代劇で幕末の時代と吉田松陰を描いた。作品全体を貫くテーマは「外の世界に対する日本人の恐怖と憧れ」である。
この作品、業界関係者の方々にも非常に評判がよくってどうやら次につながる仕事も舞い込んできそうな気配である。しかし、得るものも大きかったが失うものも多かった公演であった。そのうちのひとつは膨大な赤字である(その詳細はまたいつか記そう)。
私は次に向けて反省と心の整理に苦悶していたが、一週間後には引っ越さなければならなくなっていた。大慌てで引っ越してきた新居は季節外れ大雨で浸水、翌日にはクレーン車が転倒し新居の一室がその下敷きとなった。
そして今日は水道管がトラブった。そして年越しの直前に親父が酔っ払って大暴れした。散々な年越しになった。
ここまで来れば愉快愉快!
2007年、例えどのような困難が降りかかろうとも私は平気である!

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