アフガニスタンの国境近くで8本のビデオテープが発見された。オサマ・ビンラディンの行方を探るためにアフガニスタンに渡り、その後消息を絶っていたアメリカ人ドキュメンタリー監督、ドン・ラーソンのものだった。
マイケル・ムーア監督作品のような社会派ドキュメンタリー映画かと思って観てみたら、後半から登場人物たちが妙にくさい芝居を始め、カメラに向かってロケットが飛んできたり明らかに作り物である映像になってきて、フィクションの映画なのだということが解った。
ようするに「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のアフガン戦争版なのだ。ただ現地の武器商人や賞金稼ぎはどう見ても本物だから、「川口浩探検隊」のような擬似ドキュメンタリーと言ったところだろうか?それなりに実際の戦場の生々しさが伝わってくるので一見の価値はある。
しかし、私はどうしても後半のくさい芝居が鼻について好きになれなかった。ドキュメンタリー・テープという設定が余計な芝居をうそ臭く浮き立たせてしまっている。かえって設定が足かせになっていないだろうか?最後にオチがある(普通に観ていれば途中で解る)もの妙にインチキ臭くてイヤラシイと思ってしまった。
例えばこの間みた「ホテル・ルワンダ」(フツ族によるツチ族の虐殺を描いた)は普通のドラマ仕立てだったが、あの映画の方がよっぽどリアルだった。きっとフィクションだという意識はぶっ飛んで、目の前の惨劇を本物のように体感できる。ところがこの映画のように「これはドキュメンタリーです」と言った瞬間に、「本当か?」と荒を探してしまう。これはハードルを自ら上げているというか、こういうテーマを扱う上で損な作戦ではないだろうか?
結局の所、真実を伝えるということにおいては設定よりも、演出の力がモノを言うのではないだろうか。

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