チャイニーズ・シアターの前で手形を眺めつつ、叔母さんを待っていると約束の二時間をかなり越えて(ウェスト・ハリウッドで別れて3時間は経っていたのではないか?)ようやく叔母さんの車が到着した。渋滞にはまってしまったらしい。わざわざ時間をかけてパスポートを届けてくれて感謝感謝なのだが、もしあの時叔母さんの言われるままにデメちゃんを迎えに行っていたらと考えるとそら恐ろしくもある。数時間だったが自分たちだけでロスの街を歩いてみて大分コチラの空気感を窺い知ることができた。台本を書く上でも大いにプラスになるだろう。
再び叔母さんと別れて、昼食(もう夕方近かったが)を取ろうということになって、劇場のモール街のレストランに入った。
アメリカというば分厚いビフテキという非常に安易な発想なのだが、それでもどうしても本場の肉を思いっきり食べてみたかった。コチラの肉はBSEなどの問題があって危ないんじゃないかと言われているが、私はアメリカ政府に日本が無理矢理買わされた肉を食べることには抵抗を感じるが、コチラで普通に食べられている肉を食べること自体は例えリスキーであってもあまり気にならない。
叔母さんの手料理のお陰で(チョイスが微妙であったとしても)コチラに来て殆ど食べ物にお金を使っていなかったので、30$もする一番高い肉をオーダーした。焼方は、レアの上を行く「ブラッディ」で。
店内に飾られた歴代スターの写真の当てっ子に野坂氏と熱中しながら待っていると、上写真の通り分厚いビフテキが運ばれてきた。ガーリックソースがかかっていて傍らにはバーベキューで焼いたような野菜がてんこ盛り。正しくアメリカン・ゴージャスである!
肉はフランスで食べたステーキには断然及ばなかったがそれでも充分に美味かった。何せ殆ど生のままの肉にかぶりつく快感がたまらない。しかも表面はちゃんと焦げていて香ばしい。さらには野菜が美味い。とにかくコチラのホットドックやハンバーガーでも感じたがただ焼いただけの無骨な野菜が実に美味いのだ。素材の味をちゃんと味わえる。何でもケチャップとマスタードをぶっ掛けて食べるというわけではなさそうだ(う〜ん、私の印象から言うとイギリスの飯の方がそれに近いかも…まぁ、単なる廻り合わせかもしれないが)。
それにしても日本人というのは哀しい性を背負っている。何故かと言うとせっかくのメインデッシュがあってもついつい炭水化物を一緒にとってお腹を満たしてしまうことだ。これは「おかずとご飯」という食の概念が哀しいまでに魂に染み付いてしまっているからだろう。私も肉と一緒についついパンをいっぱい食べてしまい、途中でお腹がふくれてしまった。せっかくメインデッシュがいっぱいあるのに何故かパンやライスがあるとついついそっちを食べてしまう。きっと私と同じ哀しい性を持っている人は沢山いるのではないか?
それでももったいないので最後まで食べたけどね。お陰で胃の中はかなり膨れ上がって苦しくなってしまった。日本人どうのというよりただ貧乏性なだけかも。

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