「枡形城〜」を百倍楽しむための予備知識@荘園って何?
先日書いたが、中学の時「口分田」が「荘園」と呼ばれるようになる頃から日本史が解らなくなった。
どっちも要は田んぼじゃないの?どう違うのよ。
実はこの違いをしっかりと教わらないと、確かに日本史は解らなくなる(中学の教諭は私のような無法無知な少年をこれ以上作らないようにしっかりと教えて下さい!)。
なぜなら、「荘園」の登場は日本史上最も重要なプレイヤーである「武士」を誕生させたからである。また「武士」が誕生したことによって、時代は「古代」から「中世」へとステップアップするのである。
「荘園」とは実質上の私有財産なのである。
対してそれまでの口分田は「国有財産」。この国の全ての農地は朝廷のもので、国民はそれを借りて生産活動を行うという、ほとんど共産主義のような体制だったのである。
国は国民に財産(生産手段)を貸し与え、レンタル料としてマージンを取る。律令施行当初は仕組みがうまく機能していた。ところが国が豊かになって人口が増えるにしたがって貸し与える口分田が足りなくなってくる&国家規模が大きくなるにしたがってより多くの税金を取り立てなくてはならなくなる&税金の取立てが厳しくなると、農民はやる気をなくしあるいは餓えて夜逃げをする=荒れた口分田が溢れ、国家の徴税能力自体が低下してくる、という悪循環が生じるようになった。
律令による「班田収授法」から約100年後。朝廷はこうした事態に対応するため「墾田永年私財法」を発布する。
すなわち、新しく開墾した田んぼは「私有財産」にしていいですよ、という法律だ。
誤解を恐れずに言えば共産主義体制がうまく機能しなくなったので「私有財産」を認め、資本主義へと舵を取り始めたわけである。
さあ、ここで登場するのがご存知「資本家」です!土地を新しく開墾するには莫大な費用がかかる。そのスポンサーとなったのは有力寺社や中央に住む貴族である。寺社や貴族は開墾地のオーナーとなって資本を投資し、その資本を元に地方の豪族や有力農民中心となって事業を行う。
こうして「私有財産化」された開墾地が「荘園」なのである。
こうした改革によって、この国の耕作地は飛躍的に増加して行く。
日本の「大開拓時代(フロンティア)」が始まったのだ。

1