人間の化石(2)
平頂山虐殺事件の特徴は、@被害者はすべて一般住民であるということ。 A加害者側である日本ではほとんど知られていない事件であること。 B最終的に責任をとらされた者が、事件の責任者といえない日本人であったこと。と言われています。
@ については、「母子の遺骨」では母親が子どもを抱きかかえるように遺骨が表情を出 しています.「妊娠したと胎児の遺骨」「数箇所も弾に当たった遺骨」「障害を持った 人の遺骨」・・・80メートルに及ぶ「骨池」と表現していますが所々に立て札を立て て説明を加えています。
A については,私自身数年前に平頂山事件のパンフレットを見せてもらって初めて知り ました。
化石旅行の途中、黒龍江省のハルビンに一泊して「731部隊」の遺跡を訪問しまし た。森村誠一の『悪魔の飽食』を読んで、捕虜を「マルタ」として扱い残虐な手段で人体 実験をして、細菌兵器の研究の開発に取り組んでいたことを知りました。
例えば「南京大虐殺」についてもいろいろな意見がありますが、最近まで使っていた 6年生の社会科教科書には「南京事件」と表現し、「日本軍は、首都ナンキン(南京)の 占領を進めたとき、武器をすてた兵士や,女性や子どもをふくむひじょうに多くの中国 人を市の内外で殺害し,諸外国からきびしい非難を受けました。しかし、日本の国民に は、その事実は知らされませんでした。・・・」と説明しています。 ぺージの端に女の子が描かれていて、その吹き出しに「中国の人たちは、日本のこと をどうおもっているのだろうか」と問題を投げかけています。
B について 案外あるんだなと思いました。
中国に日本軍の侵略の記念碑・遺跡が200ヶ所近くあると聞いたことがあります。平 頂山事件のパンフレットには「前事不忘 後事之師・・・跡地はもう人民に階級教育、民 族教育、伝統教育と愛国主義教育をする重要な場所になった.」と結んでいるように、そ れぞれの教育に利用していることは確かです。日本には広島に「原爆資料館」等,遺跡が ありますが、アメリカ人に対する反感をあおるために存在するのでないように、中国も「罪 を憎んで人を憎まず」で、反日感情をあおるためのものではないと思います。
しかし、現在もなお、各地で「化石」を発掘するように遺骨や毒ガスなどの化学兵器が 掘り起こされています。
私は、平頂山の人間の「化石」に出会って,加害者としての戦争について考え、その悲惨 さ、残酷さに強く胸の痛みを感じました。
私たちは、「日中友好」「恒久平和」という言葉を書いて花をささげましたが、8月 15日、ホテルに着いてテレビを見ると解説の意味はわからないが、日本の閣僚の靖国神 社への参拝の様子が映し出されていました。
パンフレットには、[母と子の遺骨」「子どもの遺骨」「弾に当たった頭骨」など、10枚ほどの部分写真を載せて説明を加えています。

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