湯浅の町といえばなにを連想するでしょうか。
金山寺味噌、醤油、三宝柑、迷路のような街並み、子どもたちを遠足に連れて行った栖原海岸、施無畏寺の桜、紀伊国屋文左衛門の生誕の地、熊野街道の宿駅・・・。
今では私の心を支配しているのは湯浅町栖原の矢田池の化石です。
3,4年前にこの場所を教えてもらって自分の手で石を割って化石に出会えた初めての場所です。
その感動が、私を石ころの虜にしたきっかけのひとつです。
化石のでる山は、すぐ隣がみかん山でその持ち主の方が化石の出る山の所有者でもあるのです。
化石探しをはじめたころ、ちょうど仕事に来られていた山の持ち主の方が、足元の石ころを拾って石どうしぶつけ合って割り簡単にイノセラムスという貝の化石を見つけ出し、「ほれ、こうしてみつけだすんだよ。運がよければアンモナイトもみつかるよ。」と教えてくれました。
そこは、山をシャベルカーで引っかいて岩や土を運搬している所ですが、赤茶けた泥岩などに貝類やウニ、シダ類、アンモナイトなどが出るのです。素人の私でも、また、子どもでも見つけることができます。左手に手袋をはめて岩石のかけらをもち、右手に持ったかなづちで石を割るのです。すると運がよければパカッとその割れた面に化石が顔を出すのです。
その出会いがおもしろくて、はまってしまいます。6年生の90人近くの子どもたちにプレゼントしましたが、それほどいつ行ってもたくさん化石を見つけることができました。子どもたちは、化石を手にして目を輝かす子が多く、実物に触れることの大切さを感じました。ある子は、アンモナイトらしい化石の石を見せると、「ナンモナイト!!」と石の裏をみつめて叫んだので、みんなで拍手を贈りました。
子どもたちや保護者からも化石を掘りたいと願いや手紙をいただきましたので、いくつかの注意点を書いて場所を教えてあげました。注意点は、時々上から石ころが崩れ落ちてくることがあるので気をつけること、石を割る時かけらが目に入ることがあるので、ゴーグルを使うとよいこと、それに、私有地であるのでできれば許可を得てほしいことなどです。
しかし、そのころよくシャベルカーで山を引っかいていましたの岩石のかけらがゴロゴロしていたのですが、最近は、シャベルカーもなく、山を崩していないので化石を見つけるのが難しくなっています。
湯浅・矢田池の化石発掘現場

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