アンモナイトとオウムガイ
モロッコ産のアンモナイト
アンモナイトは、巻貝のようですが貝類ではなくイカやタコの仲間で軟体動物の頭足類に属しています。生きた化石といわれるオウムガイと同じ仲間だそうです。そういえばアンモナイトを展示していた博物館には、そのそばにオウムガイも飾られていました。
オウムガイは現在フィリピンやオーストラリア周辺の暖かい海に5から6種生息しているそうですが、その殻は海流に乗って日本にも時折漂着することがあるということを知ってとても驚かされました。オウムガイの殻の内部は隔壁によって多くの「気室」に分かれていて、ここに入れるガスや液体を調節することによって、浮力を調整する能力をもっているのです。
現生のオウムガイ
香港ではオウムガイのスープがあり、身は食材として活用されているようです。殻は大半は日本に輸出されて飾り物になっているのです。
アンモナイトの繁栄する前の古生代にはさまざまな生態のオウムガイが栄えてしていたそうです。しかも、初期のオウムガイは今のオウムガイとちがって巻いていないまっすぐな殻を持っていたそうです。
3年ほど前に百貨店のあるコーナーで三角貝(オルソセラス)の文鎮を見つけて買いました。きれいに磨かれた漆黒の地に竹の子のようなまっすぐに伸びた貝の化石が表裏にいくつも浮き出ています。あまりに見事な形なので参考に買っておきました。そう高価なものでないのですが、これがオウムガイの仲間だったのかと今になって私にとっていっそう価値が出てきたように思います。
直角貝を含む黒い石灰岩の磨かれた文鎮
また、かつて旅行した伊豆の港だったと思うがそこで直径30cmほどの大きなオウムガイをお土産に買って部屋に飾っていたのですが、うっかり落として割ってしまい捨てました。オウムガイについて知るほどにもっと大切にしとけばよかったと、いまそれを悔やんでいます。
アンモナイトは、軟体部はイカを想像し、殻の構造はオウムガイから学ぶと良いようです。その基本構造は、らせん状の殻と隔壁と呼ばれる内側にある多数の仕切りで出来ていて、その一つ一つの部屋を「気室」といわれて中空になっています。アンモナイトもその「気室」をうまく生かして浮遊して生活をし、その分布域はかなり広かったようです。
この隔壁と外側の殻の接する線が縫合線といわれ、シダや菊の葉っぱのような模様を見せています。進化の過程で複雑化していったようです。
アンモナイトといって単純にひとつの巻貝のように思っていたのは大間違いで、縫合線の特徴から、ゴニアタイト亜目,セラタイト亜目、アンモナイト亜目、の3つの大きなグループを含んで、200科1500属10000種以上に上っているそうです。これからも研究が進めば、新種が作られて増え続けていくに違いありません。

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