ボリビアの三葉虫
田辺市宝来町にあるアンデス化石館に初めて訪問した記念に買った海つぼみと三葉虫は、今まで意識したことがなかったボリビアという国について私を導いてくれました。
三葉虫について、館長の大野氏は、パタカマヤ地方・ラパス州・標高4200m、古生代デボン紀(約3億5千万年〜4億年前)と親切に鑑定書に書いて手渡してくれました。子どもの小遣い程度のものしか買えなかったのに、ボリビアへの夢まで与えてくれて本当にうれしく思いました。
ボリビアって南アメリカのどこにあったのかなーというぐらいの無知でした。アンデス高原と聞いたからペルーに隣接しているのだろうと想像できました。
簡単な世界地図を開いて調べると、ペルー、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン,チリと5つの国に囲まれた海を持たない国でした。国土の3分の1近くをアンデス山脈が占めています。しかも6千m級の高峰が16座もあるといわれています。
実質、首都となっているラパスは地図を見る限りその高峰に囲まれた高地にあり、すり鉢状の地形と思われます。大野氏が化石の産地は標高4200mと言われたとき、富士山より高い高原なんだ、とびっくりしました。当然空気が希薄で、私だったらすぐに高山病にかかりそうです。
ボリビアでは、コカが生産されています。コカは麻薬コカインの原料にもなっていますが、コカ葉の茶はごくふつうの飲み物だそうです。このコカ茶を飲むと高山病の症状が緩和されるそうです(初期のコカ・コーラには、その名前の由来のコカの麻薬成分が入っていたが、現在は入っていないそうです)。
「コカノキ」
多くの国で麻薬として扱われ、使用・所持・販売が規制されています。日本でも、コカノキ、コカの葉、コカインはすべて麻薬に定められ、栽培も持込みも禁止されています。
それから、世界最高地にあるチチカカ湖(海抜3800m)は淡水で琵琶湖の12倍の広さがあり、ペルーとボリビアにまたがっており、ラパスはチチカカ湖のそばにあります。
ところで、ラパスはスペイン語で「平和」だそうです。またボリビアの名は19世紀に南米の国々がスペインから独立した解放運動の指導者シモン・ボリバールにちなんで付けられたそうです。
ボリビアは国土に豊かな天然ガスを蓄えながら貧困層が6割を超える、南米でもっとも貧しい国といわれています。
このボリビアについて先日のニュースで、大統領選挙があり先住民の農民運動指導者で、社会主義運動(MAS)という政党のリーダーのエボ・モラレス氏が選ばれたことを知りました。天然ガスを安く多国籍企業に売りとばして、富は人々を素通りして一部の有力者の手に渡ってきた背景のなかで、「天然資源を国の持ち物に」と訴え,初の先住民の一人である大統領が誕生しました。モラレス氏はコカをつくる貧しい農家の出身です。アメリカは、コカの生産を自由にというモラレス氏の公約をとらえて、当選を阻もうとしたそうです。
彼はボリビア国民に犠牲を強いる背景にある、米国が押し付けた「新自由主義」反対をはっきり打ち出して、貧困削減のために天然ガス収入を充てられるようにガス田の国有化を視野にいれているといわれています。
アンデス山脈は、海洋プレート(太平洋プレート、ナスカプレート)の沈み込み帯の上側に乗った大陸プレートが、圧力を受けて隆起して出来たものと考えられています。ボリビアはその南北にのびるアンデス山脈のほぼ中央に位置しています。
チチカカ湖も元は海水であったといわれています。そして、ラパス州(県)チャカルタヤ山の標高5300mに達する高地で化石産地が見られ、かつては広い海域であってカンブリア紀末からデボン紀に、厚さ約10kmにおよぶ多量の海生動物をふくむ地層が堆積したと考えられています。中でも、古生代中頃のデボン紀(3億9500万年前〜3億4500万年前の5000万年間)の化石の多さには目を見張るものがあるといわれ、その頃の海に生きていたほとんどの生物の化石が見つかるそうです。
「宇宙空間からみたアンデス山脈」
左上がボリビアです。ペルーやコロンビアなどの国々は写っていません。(百科事典「ウィキペディア」より)

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