プラハの石
プラハの石畳の石6×6×7cm
この四角い石は、チェコの首都プラハのバーツラフ広場の石畳のものです。この広場は「プラハの春」など重要な舞台となった歴史の生き証人としての場所です。広場といっても幅約60メートル、長さ800メートル近い大通りのような感じで、人出が多くたいへんにぎわって活気がありました。この広場の並木の根元に石畳の四角い石がさびしそうに3個転がっていたものを一つ拾ってきたのです。おそらく戦車や兵士、それに自由を願う市民の足の下で、歴史を見続けてきた石だと思うのです。黒く汚れていたのでホテルできれいに洗ってあげました。
この四角い石は、おそらく日本の街でも歩道の石畳として使われていて(和歌山駅前から西に広がる大通りの歩道にも使われている)特に珍しいものではありません。ただし花崗岩が多いと思います。しかし、これは大理石ではないだろうかなと思うのです。大理石は、石灰岩が地殻変動などにより圧縮、熱変成作用を受けて結晶質になったもので、美しいものは建築材料などに利用されています。しかし、色や純度などさまざまの程度のものがあると思われ、あまり質のよくないものが石畳に使われているのではないでしょうか。
10月20日から、中欧四カ国(チェコ、スロバキア、ハンガリー、オーストリア)めぐりツアー(8日間)に参加してユネスコ世界文化遺産の街を見学してきました。時差は7時間、北海道と同じくらいの緯度にある国々ですが、予想以上に暖かく、しかもよい天気に恵まれ、木々が黄色に色づいて秋らしい季節にあふれる日々を送れました。道路沿いに白樺の木々も見えました。
国境をバスで通過する経験をしたのですが、高速の料金所を通過するような感じで、チェコの国を出入りする時だけ、パスポートに判を押しに来ただけで、後はわたしたちの検問なしでした。検問所の両側の畑には国境線があるわけでもなく、あっけない国境越えでした。通貨(ユーロ)もそうですが、EUへの加盟国としてそれぞれの国が信頼関係を深めてきているのでしょう。それに日本人観光客に対する信用度が高いことを示しているのかもしれません。
チェコとスロバキアは「静かな離婚」をして現在に至っているわけですが、土地柄は高い山は見当たらず丘陵地帯といった感じで、ラベンダーが植えられていると北海道と勘違いする風景が続きます。ほとんど牧草地のように広々としており、牧畜をはじめ、麦、ジャガイモ、とうもろこしなどが植えられていたのかもしれません。ボヘミアの典型的な風景なのでしょうか。
ハンガリー(ブタペスト)に入ると広々とした平野が広がります。
そして、オーストリアに入ると発電用の風車があちこちで目に入るようになります。オーストリアのウイーンは、アルプスにつながる裾野に当たります。ルネッサンス、バロック、ロココなどの建築様式の街並みの美しさに酔いしれるウイーンでした。
いづれにしろ石ころとの出会いはあまり期待していませんでしたが、ヨーロッパのどの国も「石」の文化ともいえます。中世の古い街並みは、城や聖堂などが中心として存在しており、その道路は石畳でできています。それらをかたちづくる石が、どういう種類の石で、どこから切り出されてきたのかが気がかりでした。
プラハは、ボヘミアクリスタルが有名です。見事にカットされたすばらしいガラスが展示され輝いています。またガーネットも採れるそうで、小さな粒を生かしたブローチなど装飾品が並べられていました。ガーネットの原石などが売られていないかなと気をつけてさがしましたがありませんでした。
結晶質石灰岩・方解石の結晶が光る大理石
プラハには、最初と最後の夜宿泊しました。トップホテルというなかなか立派なホテルで、部屋の広さに感心しました。玄関の前の庭には、いくつかの噴水があって、そこには白く輝く石ころが敷き詰められていました。よく見ると石灰岩が熱変成を受けてできた結晶の粒の見える大理石でした。記念に一ついただいてきました。奈良の天川村の大理石と同じです。

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