「チャート」・紀ノ川の石ころ(3)
赤いチャートと青いチャートを中心に 5年ほど前の写真です。
紀ノ川が増水して川べりが削り取られたために、砂や泥のなかに石ころがぎっしり詰まった地層が観察できる場所があります(川永の橋の近く)。「これが、熱や圧力で固められたら(れき岩)になるのだろうな」と想像しながら、何枚かの写真に撮っています。
その中の一枚に、あずき色の赤い石と透き通るような青い石が、並んで輝いていたので写真に撮っておきました。
「チャートってどんな石だろう?」となかなか理解できないでいたとき、初めて意識したのが、この赤い石のチャートだったのです。青いチャート、黒いチャート、いろいろな色のチャートが見られますが、私には、はじめは石英にいろいろな色がついている石という感触をもっていました。それもそのはず成分は石英と同じなのです。その成分は「SiO2 けい酸(シリカ)」でした。
チャートは、ほとんど「けい酸」でできた緻密な硬い堆積岩なのです。「堆積岩」であるというのも、不思議でしたがその意味があとで分かりました。チャートは、大別すると、けい酸質の生物の殻が堆積してできる場合(有機質起源)と、火山活動などで大量のけい酸がもちこまれて沈殿してできる場合(無機質起源)とがあります。前者は放散虫のような有孔虫軟泥が海底に堆積し、長年月の間に珪質の岩石になったもので、深海性のものは赤色を帯びており、黒色は有機質によるといわれています。そのほか灰色、青色、濃黄色などの色を呈するものが見られます。
チャートをつくるおもな生物は、放散虫などですが、放散虫は大きさが0.2から0.5ミリ程度の動物性プランクトンで、古生代から現世までの長い生存の歴史をもっています。しかも地質時代とともに多様に変化してきているために、年代決定に役立つということが確立されてきています。
どのように取り出すかというと、放散虫を含む岩石にフッ酸(フッ化水素)をかけて、けい酸を溶かすのだそうです。放散虫はまわりの岩石より溶けにくい性質があるので、適当な時間溶かすと、まわりの岩石だけを溶かして放散虫の殻だけを抽出することができるというわけです。
チャートは、陸から運ばれた鉱物粒子がほとんど含まれていないことなどから、陸から遠く離れた海洋底で堆積したのではないかということと、それだけに堆積する速度がとても遅いということが考えられています。
紀ノ川の川原 砂の多い層と礫(石ころ)の多い層が重なっています
※ 写真のネガを整理していたら、このチャートの写真が出てきました。以前に
「紀ノ川の石ころ(3)」で記したものを再現しました。

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