櫛田川と交叉する中央構造線
中央構造線の南側の三波川帯の地質を表す「黒色片岩」
北側の領家帯の地質を表す「花崗岩」
マクロナイトと共に並べて展示されています
月出の中央構造線の露頭を観察してから国道166号に戻り、蛇行する櫛田川に沿ってさらに下っていくと松阪市の飯高町から飯南町(共に2005年に松阪市へ)の粥見(かゆみ)というところに至ります。
中央構造線粥見観測地の表示板の説明
この道路は、地図を見ると「和歌山街道」と記されています。かつて紀州藩の殿様が参勤交代のルートであったようです。和歌山より紀ノ川・吉野川沿いに高見峠を越えて松阪城へ・・・また伊勢参宮、熊野詣の巡礼道、海産物等を大和地方に運ぶ交易路として、中央構造線に沿った東西の大切な交流の街道だったのでしょう。
桑瀬橋の東側のたもとにある表示板と「黒色片岩」「マクロナイト」、「花崗岩」のそれぞれの岩石の展示 上空からの写真の「現在地」に当たる
この粥見を流れる櫛田川に桑瀬橋という比較的新しい橋が架かっています。まさにここが中央構造線を観測するポイントの一つになっています。櫛田川が中央構造線と交叉するところであり、この橋が構造線の線上に架かっているのです。だからといって、月出の露頭のように分かりやすいわけではありません。しかし、大きな表示板が設置されて詳しく説明されています。その脇にそれぞれの地質を表す大きな岩石がサンプルとして展示されています。
写真のように、川を見ると橋の下に茶色がかった岩が広がっていますが、これがマイロナイト(圧砕岩・ミロナイト)で、その左端が中央構造線になります。
橋の下から露出している岩石はマイロナイト その岩石の左端から写真中央に向かって中央構造線が走っている
マイロナイトの説明を表示板から写しておきます。
『中央構造線の断層が生じたとき、花崗岩の層と黒色片岩の層が、大きな圧力を受けながら食い違い、二つの岩の層の間に出来た岩です。
薄い青色を帯びた岩ですが、雨や風にさらされて酸化し、表面が赤味がかっていきます。不規則な線が入っているものもあります。場所によっては、マイロナイトの層の幅は違っていますが、この地点では400〜450mほどの幅です』とあります。
展示されているマイロナイト
二つの違った地質の層がズレ動く時に強力な圧力と高熱により、岩石が変成作用を受けることは想像できます。そうして出来た特殊な変成岩なのです。月出の露頭では薄茶色の層(マイロナイト)が2〜3mほどに見えましたが、ここでは幅が広いのですね。
表示板に上空からの写真に色分けをして、地質の違いを示してくれているのでここに掲示しておきます。
うっすりと紫色がかった帯がマイロナイトの層でその左端が中央構造線にあたります
表示板に示されている写真です
掲示板や岩石の展示をされている小さな広場から、道路を挟んで後ろの山の脇に花崗岩の採石場であることを示す看板が立てられていたので写しました。赤く塗られているところが採石場で、その右下が中央構造線になっていると思われます。花崗岩の採石場はどんな様子なのか、今になってなぜ足を踏み入れなかったのか悔やんでいますが、また機会があれば見学させていただこうと思っています。
道路を挟んですぐ後ろの山際に採石場の看板がありました。 領家帯の花崗岩が隆起している山なのでしょう。
昼を過ぎたので、近くの道の駅「茶倉」に立ち寄りました。名前の通り、このあたりは茶畑が広がり名の知れた産地だそうです。伊勢茶は、静岡、鹿児島についで第3位の生産高を誇るそうです。茶畑には柱が立てられていて、霜よけに扇風機が取り付けられていました。
茶倉の茶畑 どの柱にも扇風機が取り付けられていました
※ 和歌山 6:00発 東吉野 8:00
月出 9:00着
月出10:00発 粥見 11:00
道の駅茶倉 1:00発
休憩や役場などに立ち寄っていますが、その時間込みで大体の時刻です。
もと来た道を帰ればいいものを、海を見たかったので、国道42号線に出て
紀伊半島海岸線を走りPM8:00ごろ帰宅。

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