白崎海岸の石ころ(5)
県道のトンネルになっている石灰岩の洞窟をくぐると、すぐ左は白崎海洋公園の入り口です。右に折れていくと道幅が狭いところもありますが、海岸に沿った湯浅、有田につながる景色の美しいドライブコースです。
ところで、この石灰岩のトンネルに、終戦間際、本土決戦に備え魚雷を積んで敵艦に突撃する一人乗りの潜水艦「回天」の基地が建設されていました。「回天」格納庫と海に運び出す軌道が設けられ、あとは潜水艦が送り込まれてくるのを待つだけだったそうです。結局、広島、長崎に原爆が落とされ、「回天」は運び込まれること無く終戦を迎えたといわれています。由良港が軍港として利用されてきた事は知っていましたが、白崎の「回天」の基地については初めて知りました。
白崎から帰るときは、国道に出ないで、この海に沿った県道を湯浅に向けて走らせます。 白崎から少し行くと見晴らしのよいカーブのところに出ます。そこにはスイセン(水仙)の群生がみられ、ハマユウも植えられています。眼下に十九島(つるしま)が見え、その向こうに黒島が重なって見えます。とても美しい眺めです。11月下旬に行ったときには、もうスイセンの花が咲きはじめ、海から吹き上げてくる風にその香りを漂わせていました。
スイセンの花は、「由良町の花」とされています。というのは、スイセンは、原産地の西アジアからシルクロードを通って唐に伝わり、その後、由良に建立されている臨済宗興国寺に宋から逃れてきた禅僧が携えてきて、近隣に普及していったと伝えられているからです。
↑ 水仙や浜木綿の咲く美しい眺め
この見晴らしのよい県道のカーブの背後(山側)には、見事に積み重ねられている石垣が見られます。断酒道場を営まれている方が住まわれている私的なところですが、見学の許可を得て邸内に入り石ころを見せていただきました。いうまでもなく石灰岩やチャート、緑色岩など白崎海岸の石の仲間です。これほどまでに積み重ねるのにどれ位時間がかかったのかお聞きすると、「10年ぐらいはかかったかな」と話されていました。
石垣は、その土地の石の展示場です。
みごとに積み重ねられた石垣 ↑

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