プシッタコサウルス
化石発掘現場まで行くのに、街から少し離れると、広大なとうもろこし畑をくぐりくけ、レンガづくりの農家の立ち並ぶ村を横切り、林をぬけ、水のない川を渡り、道なのか川原なのか分からない悪路を走る、というのが常でした。マイクロバスが悲鳴をあげるという表現がふさわしいところでした。
ところが、今回の北票市四合屯村の化石発掘現場への道は、いくつもの小高い丘の尾根近くをぬって造られたアスファルトの道路で、うんと近道になり時間も短縮され快適でした。
一昨年には基礎工事を始めていた資料館の外観はほぼ完成していて、その建物をすぐ下に見下ろすところにマイクロバスが着きました。(別の棟も基礎を手掘りで始めていましたから2008年の北京オリンピックをめざして完了さすのでしょうか)
資料館の中に入ると、北側は高さ20メートルほどの山の地層そのままを壁として使って建物の中に取り込まれて観察できるようになっています。そして、代表的な貴重な化石の産状が見学できるように、掘り起こされた位置と地層にそって透明のプラスチックの囲いをされた展示場所が十ヶ所ほど設けられています。
入り口に近い飾り箱の中にプシッタコサウルスの化石が据えられていて見学できました。全長は1メートル少し越えるほどで、横倒しの姿ではなく、上から押しつぶされたような形で化石になっていました。火山灰が大量に降り積もり強い圧力、高い温度が加わり、一瞬の内に埋もれたのかもしれません。
プシッタコサウルスは、角(つの)がないのに「角竜類」です。顔に三本の角のあるトリケラトプスの先祖に近いといわれています。両者の共通点は「オウムのようなくちばし」なのです。プシッタコサウルスとはオウム竜の意味で、このくちばしの特徴を最初にもった恐竜になるそうで、硬い植物をがりがり食べていたことが想像されます。
プシッタコサウルスは、中央アジア・モンゴルや中国北部(遼寧省など)の一億一千万年前ごろの地層から見つかっています。この地で「角竜類」の子孫が栄えるとともに北アメリカに移住してカナダやアメリカでも繁栄していったのです。

0