菊花石(1)
毎年、三月の末に4,5日かけて教育学部の先生や院生そして現職の教員、十数名のグループで、アジアの国々の小、中学校等を訪問、交流して、それぞれの国の教育事情などを学びながら、観光をかねて旅行しています。もう7回(タイ、ベトナム、ミャンマーなど)を数えました。
昨年の訪問国は中国の青島(チンタオ)と大連でした。この会の中国への旅は3度目になります。(過去に北京・内モンゴル自治区のフフホト)
青島では、花石楼(蒋介石の別荘)に立ち寄りました。「かせきろう」と聞いたとき、すぐに「化石」を想像しましたが「花石」でした。でもその名の通りきっと石が展示されているに違いないという期待感を持つことができました。予想したように売店があり、そこにはいろいろなみやげ物といっしょに石が並んでいました。邸内の観光はそこそこにして店の前に座り込んで、記念になる石は無いだろうかと探していると、黒地の母岩に見事に白い花を散りばめて菊花(コスモスに近いかな)が咲いている「菊花石」と出会いました。
菊花石
高さ30cm×巾27cm×厚さ10cmあり、とても片手では持てないずっしりとした重みがありました。みんなに「そんな大きい石ころどないすんねん、どうせ偽物やで」と笑われましたが、「この自然の芸術、見捨てられまへん。これで一年間なぜ美しい花が咲いたのか考える楽しみを持って帰るねん」という気持ちでマイクロバスに積み込みました。ホテルで計っていただくと11kgの重さがありました。
母岩の黒い岩石や白い花の部分に当たる部分に、塩酸をたらして調べてみましたが何の反応もないので、石灰岩ではないことが分かります。おそらく玄武岩のなかに石英があちこちに固まって放射状に晶出したのではないかと考えています。
203高地から旅順口をながめた景色、ロシア、ドイツ、日本の影を落とした歴史的建造物、チンタオビール工場で味わった美味しい生ビール、美しいしゃれた街並み、ローラースケートに興じる明るい子どもたちの姿・・・これらをこの菊花石を見るたびに思い起こしています。

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