虎伏山
和歌山城の東側にある「表坂」登り口は、三段のちょっとしたつづら折の階段になっています。手すりも付けられ緑色片岩の石が敷き詰められてきれいに整備されています。ところが二段目を登りつめて曲がり角をあがるあたりから三段目の階段にかけて、足を運ぶリズムが乱れてしまう状況は昔から変わっていません。原因は城の山の原石が顔をのぞかせていて、その原石をそのまま生かして階段状にしているために少し注意をしないと踏み外しそうになるのです。そして、三段目の階段を登りつめると西むきの広い道が続きます。ちょうど水禽園の上の通りになります。その三段目の階段を登りつめてすぐ右に曲がる足元から20メートルぐらいまで、石垣の脇から原石が噴き出しています。緑色をした緑色片岩には違いないけれど、点紋が見られる岩石のようです。
虎伏山 (表坂)
虎伏山 (表坂を上り詰めた角)
さらに足を進めて上に着くと、本丸御殿跡(現、上水道貯水池)と天守閣までの間にも、原石が顔をみせます。ここは黒色片岩が風化して土の色をしているようなので意識して足元を見ないとわからない状態です。おそらくそのために石畳にしないで自然の姿を見られるようにしているのかもしれません。
「裏坂」の登り口を少し行ったところにも、幅広い土の階段のなかに石垣からはみ出したように原石が見られます。
和歌山城の山、すなわち虎伏山は結晶片岩でできた50メートル足らずの小さな山なのです。
虎伏山 (裏坂)

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