おなじみの町内。レンガの道が続くB&B前のNorth Main Streetから出発。
このおうちもB&Bと同じ並びにあります。赤い壁とかぼちゃがいい配色。ここは昔の郵便局。今は個人のお宅としてきれいに改装されて、見せていただいた2階には板張りの広い浴室があり、ちょっと和風な感じもして素敵でした。
そして、通りの突き当りがHigh Street。裏手が小高い丘になっています。ここを右に曲がると花火の木、左に曲がると古いおうちが左右にずらっと続きます。High Streetが大きな道とぶつかる直前にある、これまた古い墓地の紅葉が見たくて左に曲がってみました。
冬を前にいくつかのおうちでペンキ塗りや、外壁の改修などをしているのを見ながらどんどん歩くと、この家の辺りから墓地の木々が見え始めます。
紅葉していますね。
お墓は手前の方が古く、石碑のデザインは年代ごとに違っています。また墓石を見ていると、昔の人も70年、80年と結構長生きされたんだなあと思ったりします。
変な話ですが、私はこのお墓が好きです。というのは、松阪の父方の墓地は山手の広い土地に木の墓標が立つタイプで、今では石の立派な囲いまであるものが増えていますが、木々に囲まれ遠くに山並を望む静かな墓地で、祖父母のお墓の辺りから田んぼや山を眺めるのがなんともいいんです。
イプスイッチのお墓は道に面してはいますが、いったん敷地に入ると外の喧騒から隔離され、ひっそりとたたずむ石碑や木々の間を歩いていると、落ち着いて余分なものがない、プラスとマイナスのちょうど間といった気持ちになります。
通りに面した陽の当たるところの紅葉が進んでいます。この墓地はイプスイッチのビジターセンターにある町のパンフレットにも大きく写真で載っているほど、敷地中がこのような色に包まれる見事な紅葉になるのももうすぐでしょう。
長い冬を前に最後のきらめきですね。まるで葉っぱの一枚一枚に体温があるかのような温かい色。
子供の頃はこの赤や黄色やオレンジといった色が嫌いでした。なんといっても青が好きで、その顕著な思い出としては、小学生のとき算数の時間で使うコンパスを先生が配っていたときのこと。先生の持っている箱にはいろんな色のコンパスが入っていましたが、私の順番が来てもらいにいったときには青がありませんでした。
先生に青がほしいと言ったら、男の子が沢山とってなくなったからこれにしなさいと残った赤いコンパスを差し出されたのですが、こっちとしては赤なんて冗談じゃないという気分で青が欲しいんだけど・・ともう一度言ったら、じゃあ注文してあげるから今日は友達のを借りなさいと言ってもらいましたが、生徒がクラスに40人もいた時代。先生の方こそまた注文なんて冗談じゃない思われたのは間違いありませんね。何日かして先生がわざわざ一個頼んでくれた青いコンパスを見てとてもうれしかったのを覚えています。その節はありがとうございました(笑)。
同じ青でも、青い服は着ても顔色の悪い自分には似合わないということも幼なながらにわかっていて、それはちょっと悲しい事実でしたが、今では青がだめたら赤があるじゃないか、しかもあんなに嫌っていた黄色やピンクだって好きと思えるおばさんです。
この真ん中の道を行くと長い階段に続き、それを登ると新しい現代のお墓が連なっていて、登りきったところからは遠くの丘を望みます。
ここでまたカメラの電池も切れ、ベビーカーの中にいた娘も寝てしまい、また同じ道を引き返して帰ってきました。

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