2007/8/30

最近、親父のくしゃみをマスターしつつある。
僕の親父のくしゃみときたら相当なもので、
子供の頃は、それがとても恥かしかった。
電車の中や、コンサートホールなど、
人の混み合う場所で、親父がくしゃみしようものなら、
一瞬の静寂のあと、笑い声が起こるほど。
ふえええー、くしょっ
まるで、コントだ。
文字で表わすと滑稽な音だけど、親父は大真面目だった。
自然に出るものがから直しようがないんだよ、と言う。
多感な年頃だと、たとえ同じ電車に乗る予定でも、
親父と一緒に家を出たりしたない。
最寄の駅のホームで、ぼんやり電車を待っていると、
どこからかくしゃみが聞こえてくる。
ふえええー
あ、親父も来てるな。
そんな感じだった。
今日は雨上がりの涼しい日だった。
夜の空気は少し冷えるくらい。
鼻がむずむずした。
ふええええー、くしゅっ
あ、親父のくしゃみそっくりだ。
以前はそんなことなかったのに、年のせいだろうか。
今、駅の人混みでこのくしゃみをしたなら、
親父はきっと気付くだろう。
この人波のどこかに我が子が。
ゆくゆくはホームの端と端で、くしゃみで交信とか。
、、、しないな、絶対。
親父、元気ですか。

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