2016/6/22

最近ドライブに行ってないなぁ、
と思いながら、GWの写真を見ていた。
写真の場所は、とある山の中にあるレストラン。
昼飯が来るのを待っている。
窓際の席からの眺めがすごく好きで、もう3回くらい訪ねている。
窓は常に全開、
がんがん風が吹き抜けて行くので、気持ちがいい。
目の前の斜面からは、楽し気な鳥の声。
真夏でもクーラーなしだけど、風はある。
熱風にさらされながら飯を食うのは、それも面白かった。
春夏にしか行ったことがないけど、秋冬も良さそう。
スタッドレスは必要だろうけど。
ああ、景色のいいところで、ぐだぐだしたいなぁ。
駅に急ぐ途中、蝶を見つけた。
アゲハかな、
と思ったが、遠目にもなんかフォルムが違う。
思わず立ち止まって、2度見する。
ゴマダラチョウ?
近寄ると、赤い斑点が見えて、
アカボシゴマダラチョウだと分かった。
でも、
アカボシゴマダラってこのあたりの蝶なのかなぁ?
今までに見たことないぞ。
羽化したばかりの個体かな。
なんの根拠もないけど、そう思った。
誰かのペットが逃げたんだろうか。
僕が眼前に迫っても、蝶は飛ぼうとしない。
道路の上にぺちょりと、力なく静止したまま。
よくよく眺めてみたが、羽に目立つ傷はない。
まだ羽が固まっていないのかな。
ここに放っておけば、たぶん車に轢かれてしまうだろう。
子供の頃に
昆虫採集をさんざんしておきながら、
こんな時だけ蝶を助けたいなんて、偽善だなぁ。
困って、蝶の口元あたりに人差し指を差し出してみた。
髪の毛ぐらいの細さの華奢な足が
遠慮深く、でもいそいそと、しがみついてきた。
重さはまったく感じない。
ちいさな小さな足の感触のみ。
かわいい、以外の感想が思い浮かばなかった。
そっと指を持ち上げる。
腰ぐらいの高さまで持ち上げると、風を感じたのか、
蝶はふわりと飛び立った。
ふらふらと植え込みの方角に飛んでいく。
もう後は、キミ次第。
幸運を祈る。
それにしても
アカボシゴマダラがどうして近所にいるんだろ?
蝶を追いかけまわしてた頃には、見たこともなかったのに。
気になって仕方なかったので、帰宅後、調べてみた。
と、なんと、
国立環境研究所のデータベースで、侵入生物とされている!
防除対象になってるじゃないか!
関東全域で確認されているとのこと。
おそらくは大陸由来で、
誰かが放蝶したものが、繁殖したらしい。
アカボシゴマダラと
同じくエノキを食べる日本の蝶が心配されている。
おずおずと指に乗った可憐な姿を思い出して、
とても複雑な気持ちになる。
ああ。
かわいこちゃん、キミちっとも歓迎されてないよ、、、

2
2016/6/8

白い空に湿った風。
今にも雨が降り出しそうだ。
いつの間にか梅雨がきていた。
近所の遊歩道はアジサイの花盛り。
咲くまで気が付かなかったが、
花の色、ガクの形の違う数種類のアジサイが植え込みに点在している。
僕の住むマンションは、3つの駅のほぼ中間にある。
どの駅に歩いても15分、と微妙なロケーション。
不便、
というと怒られるかもしれないけど、
自分としては、駅まで徒歩10分以内だと嬉しかった。
ふだんの外出には、
なるべく都心に早く出られる駅ばかり使うので、
あとの2つの駅は利用したことがない。
週末の夕方、
使ったことのない駅のうちの1つへ、ふたりで散歩に出かけた。
電車に乗るつもりはなく、ただ駅前をふらつくつもり。
その小さな駅には、
駅ビルやショッピングモールは併設されていない。
小さな商店街には地元の人の姿がちらほらと。
賑やかじゃないけど、ちゃんと動いている町。
飾らない姿にほっとする。
先日、
都心のお洒落で有名な街に住む友人の家に遊びに行ったら、
駅を出たとたん、
やたら華やかな人たちに出くわしては、焦りにあせった。
自分の服装が気になり、居心地が悪くて仕方ない。
夜を待たずに家に帰った。
小さな駅へは、遊歩道をまっすぐ行けばいい。
道端の緑は手入れのいい場所と、
草の伸び放題の場所とあって、住民の意識の違いを感じる。
町内会が機能しているかどうかなのかなぁ。
遊歩道はウォーキングやランニング、犬の散歩にも最適。
狭い道を譲り合いながらすれ違う。
緑のトンネルは鳥にとっても憩いの場。
小雀が足元を目にもとまらぬ勢いで走り抜けていく。
大型の鳥が目の前を横切って、電線にとまった。
優雅な姿はオナガだった。
久しぶりに見るオナガに気分が上がった。
駅周辺をぐるりと回って、
何をするでもなく、同じ道をぷらぷら歩いて帰宅する。
すっかり暮れた町に、湿った風が吹く。
タイサンボクの甘い香りがした。
おそらくこの町からも僕らはやがて去るだろう。
でも、今はすっかりここがホームだ。

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