2018/3/11
暴風警報の出た日の朝、窓の外を見た。
そんなときには、
街路樹が枝をしならせる様子を見れば、風の強さが分かる。
でも、
外の景色になにか、違和感があった。
すぐには理由がわからない。
しばらくして、気付いた。
柳がない。
昨日の朝まであったのに。
僕の住むマンションの横は桜並木で、
間に1本、柳が混じっていた。
柳は桜より樹高がある上に枝ぶりも良く、幹には洞があって、
シジュウカラがいそいそと出入りしていた。
たぶん巣にしてたんだろう。
音をたてて吹く風の中、傘を差して柳に近づく。
柳は根元から切り取られていた。
切断面はまだ瑞々しい。
昨日の日中に切ったようだ。
切り株の真ん中は黒く朽ちていて、
たぶんこのために切り倒されたのだと分かった。
切り株を見ていたら、
シジュウカラが1羽、寄ってきた。
柳がなくなったのは僕の責任だと思うのか、
ピーピーと訴えるように鳴く。
どうにもできない。
僕が歩き出すと、シジュウカラも風の中へ飛び去った。
************
花の写真でもあればいいのですが、
我が家のベランダには、まだ春の気配がありません。
大震災から7年。
その間に、僕は2度転居しました。
被災はしていませんが、
住む場所が変わるストレスは少しは想像できます。
でも、
大きな悲しみを抱いての生活は、想像ができません。
悲しみを癒すには7年は短すぎるでしょうか。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
被害にあわれた皆さまの心が少しでも安らぐことがありますように。


2
1 | 《前のページ | 次のページ》