岩渕潤子著「美術館で愛を語る」
ISBN4-569-63544-X
2004年4月30日第一版第一刷
PHP研究所
「秋だから芸術かあ、芸が無いなあ。」なんてひねくれていた。本屋でこの本を買うのも「カッコわる!」、と思いながら立ち読みをはじめた。冒頭を読むと、面白い。我慢なく、買ってしまった。カッコ悪。読んでいると、著者の生き方が鼻につくなあ、と思いながら自分の小ささを再確認してしまった。
本編は世界各地の美術館のある風景のエッセイ。巻末の「世界のおすすめ美術館アーカイブ」は単独で役立つ。が、それより、タイトルが変だ。この題が生きているのは序章。この本はこの序章が書きたかっただけだろう、多分。
序章の「美術館は価値観の展示場所」なのだ、という主張がしっくりくる。世界は均質でも均一でもなく、さまざまな価値観が存在して、一枚の絵をみても、誰一人、まったく同じことを感じたりしない。「わからない」ことはおかしくない。そして、美術館では自由気ままに楽しんでよい。無茶をしなければ、どんな風に楽しんでも構わない。美術館は訪れる人たちをドキドキさせたり、ワクワクさせる要素があって、しあわせそうな人たちの集う場所、であるのだ。
美術館にいってみようかな。
そうだ、岡本太郎美術館にしよう。

0