中谷宇吉郎〜Michael Faraday
昨春、念願だった「雪の科学館」に行った。両親と夫婦の4人で砺波平野にチューリップを見に行こうと、北陸ドライブをしていた際に旅程の中に忍び込ませておいたのだ。
小松空港から海沿いを少し走ると石川県片山津にその博物館はある。磯崎新設計の小さな館だが、展示やら造りに工夫がされている。そして何よりも館長さんの手製の実験が本当に面白い。中谷宇吉郎の遺伝子はここにあり、といったところである。
僕が中谷宇吉郎を知ったのは小学生だった。当時相当の図書館っ子だった。といっても勉強好きのの「よいこ」といったのではない。単に家の本棚も本はあふれていたが、そこにあまりない図鑑やら読み物がきれいだったのが好きだった。そんな僕が雪の結晶の写真を見て、きれいやなあ、と思った一方で雪の結晶ってどんなんで撮るんやろう、こんなこと誰がやったんやろうか?と思った。普通ならここで思考ストップなのだが、ここから中谷宇吉郎にたどり着くのは意外と簡単だった。なぜなら、中谷宇吉郎があまりに偉大だったからだ。すべてが中谷宇吉郎に繋がっている。rinkは抜群、まるで今のWEBのようだった。難なく中谷宇吉郎の「雪」にたどり着いた僕は、あっという間に読みきってしまった。決して中谷宇吉郎の先生にあたる寺田寅彦のように文章が上手いわけではないが、魅了された。そのときによく似た魅了を味わったことを思い出した。「そうだ、お父さんが薦めてくれた「ろうそくの科学」に似ている。」
「ろうそくの科学」(原題;The Chemical History of a Candle)は英国を代表する高名な科学者Michael Faraday(マイケル・ファラデー)が少年少女のためにおこなった1860年に行ったクリスマス講義の講義録なのだが、100年以上経った今でもまったく色褪せていない。
雪の科学館にある喫茶室でおやじと話をしていたとき、どちらが言うともなく、「中谷宇吉郎は、日本のMichael Faradayだ。」と言う話をした。おやじもどこかで中谷宇吉郎の「雪」を読んでいて、同じことを思っていたのだ。僕は将来、子供にどんな本を薦めてあげれるだろう。
ロウソクの科学のtextは、Project Gutenbergにある。
http://www.gutenberg.org/etext/14474
The Chemical History of a Candle
Author: Michael Faraday(1791-1867)
Editor: Crookes, William, Sir (1832-1919)
=== Project Gutenberg===(青空文庫と一緒)
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