7月27日、福井県は天候の急変に遭い、死亡事故が発生するほどの強風が発生しました。
当日、私を含む13人は、蘇洞門をツーリングしておりました。しかし、全員がけが1つ無く帰還できました。本当に良かったと思っております。
今回の状況が皆さんの参考になれば良いと思い、長文になってしまいますが、当日の様子などをレポートいたします。
27日朝の天候は快晴。ただし天気予報では午後からところにより雨。と言っても40%の確率。天気図を見ても、そうたいしたことは無いだろうと思っておりました。
8時ちょっと過ぎに常神を出発、蘇洞門ツーリングの出艇地まで約1時間かけて移動。10時ちょっと前に出艇しました。小浜湾内は勿論、松ヶ崎を回ったところでもべた凪、二つ岩あたりから若干うねりがある程度。「今日は絶好の蘇洞門日和だね」と皆で言いながら奇岩・洞窟めぐりをしていました。
しかし私は若干気がかりだったのは、松ヶ崎で若狭高浜方面を見ると、積乱雲が成長し始めている事。「このパターンだと秋の常神のパターン、早くて14時頃から荒れるかもしれないな」と心配し。サブリーダー格何人かにその旨及び、早めに行動すると伝えました。
とは言え蘇洞門です。そんな事を言っている私ですら漕ぐ手が遅くなります。すると突然雷の音。誰かが「あっち(高浜)の方真っ黒だよ」と言います。その雲の動きがいつもより早いと感じた私は雷の到達は近いと思い、ちょうど休憩予定地のゴロタ石の浜の近くだったので、上陸を指示。戻る事の提案もありましたが、雷の後で荒れる事が心配になり、いつもの常神のパターンと同じであれば1時間程度待てば何事も無かったように静かになる事もあり、「とりあえず上陸しましょう」と。ちょうどお昼前の事でした。
雷は近いところでは大飯原発に2度落ちました。そして海に。雷が近づくと同時に強い雨も降り始めます。上陸ついでに食事を始めたのですが、雨の中の食事になってしまいました。
強い雨は30分程続きました。最初は真夏の雨を歓迎していた我々も、結構冷えてきます。雨で体温を奪われるだけでなく、気温自体も下がっていました。私は念のためパドリングジャケットを持ってきていたので良かったのですが、持っていなかった人はかなり寒そうでした。
そして雨が弱くなってきた時、それが発生しました。「あれ何だろう。海が動いている」と誰かが言うのに目を向けると、雨音とは異なるザーと言う音を追いかけるように、海がざわついているラインが左手からどんどん近づいて来ました。それは目の前をあっという間に通り過ぎ、その後は強風が左から右へ流れるばかり。
しかし今回我々が上陸したゴロタ石の浜は左手に張り出しがある事もあり、その突風はあまり感じない位置でした。故に他人事のように、「凄いね」と見ておりました。
その後しばらくして突風は弱まってきましたが、同時に、今度は正面から波が入るようになってきました。これが意外に続きます。14:30頃から目に見えて波が弱くなってきたので、15時に出艇する事に決定。
出艇準備をしていると、海上保安本部の巡視艇が近づいてきました。実は今回仲間の1人が腰痛のために出艇できず、出艇場所で待機しておりました。突風が吹き始めた事に心配した彼が私を含む何人かに電話をかけたところ、出ない為、12:30頃に118番通報をしていました。13:20頃、着信に気づいた私が彼に連絡。無事を報告しましたが、巡視艇は確認に来てくれたみたいです。
出艇後は巡視艇がちょっと離れたところから確認してくれる中漕ぐと言う、貴重な経験をしました。
結果論ではありますが、雷と雲の動きを見て、即上陸を判断したのは、我ながら正解だったと思います。しかしその後出艇のタイミングを判断する事がとても難しかったです。他のメンバーの意見がとても助けになりました。
岸に着いた後、待機していた彼の車がものすごく揺れたと言う話を聞いたまでは良かったのですが、神子でかりゆしさんから、常神の湾内ですら大荒れで、あたらしやさんの船が岸に寄れなかったと言う話、死亡事故の話、我々は遭難したと思っていたと言うを聞き、ぞっとしました。その後、前日一緒に漕いでいた仲間にも無事を報告をすると、「生きていて良かった」と言われて愕然。皆でラーメンを食べながら見たニュースで事の大きさを実感しました。
先に書いた通り、当事者達は比較的安全な場所にいましたので、保安本部のサポートすら大袈裟に感じておりました。
雷が鳴ったタイミングがゴロタ石の浜に近かった事、浜の地形が突風の影響が少なかった事、季節が夏だった事、落石に当たった人がいなかった事などなど、とても運が良かったと思います。本当、無事帰る事ができて良かったです。

2