先日ASCC総会時にJC中部の話が出ていた。多くの意見が仲間で並んで釣り、相互に釣り易い環境を作る、いわばチームプレーで大会に臨むといった作戦である。
あの混雑する大会の中では、これも一つの戦いの方法かもしれないが、私個人としてはトーナメントの真髄を経験するには、やはり個人対個人の戦いであり、同じクラブ内の者同士と言えども一人のライバルとして臨んだほうが良いような気がする。
ASCCのような和気藹々と釣りを楽しむ仲間の集まりだとピリピリとする大会の中でありながらも通常例会の延長になってしまう嫌いがある。最もいつもの環境でないと実力を発揮できない者ならば話は別であるが・・・
何年か前の中部表浜で印象に残った戦いがあった。マートさんが倶楽部内での実力は充分備えていたが、まだまだトーナメンターとしての知られる処の存在ではなかった。当日、私は不参加であったが、一回戦途中までは見学させて頂いた。この日の状況ならば彼には充分勝機はある・・とふんでいた私は大岩東の船揚げ場に先乗りし、彼が来るのを待っていた。そこに先着したのは浜松の御大Nさん、神戸TのUさん、他、名のあるキャスター面々。Uさんに「うちの○○が来ますのでよろしくお願いします」「なんだ□□さんか、地元の漁師の人かと思ったわぁ・・」で少し遅れてきたマートさんはここに竿を解いた。このメンバーの中では少々きついかもしれないが、彼の今の実力なら遠投戦に持ち込めば勝てるとの思いがしていた。
開始直後、左側の若手さんが1匹を中距離で上げた。緊張感に包まれた雰囲気の中、続いてじっくり探っていたNさん、そしてUさんと。う〜ん・・・思っていたほど遠くないぞ・・と思われたが、後が続かない。
彼等より遠くを探っていたマートさんが連で上げたのを境に中近を探していた他の選手も徐々に遠投に切り替え始めた。おっ、良いムードになってきたぞ。。マートさんは少しずつ数を伸ばしている。とうとう辛抱していたNさんも腰に爆弾抱えている身にも関わらず遠投を開始した。後ろで見ていて分かるほど必死に投げ返している。そしてマートさんがさらに遠くのポイントを探り始めるに至り、「これで勝負あった」の確信を得て帰途についた。
ベテランvs新鋭遠投の手に汗を握る戦いが目の前に繰り広げられていた。その時の此処へやって来たTさんの言葉を借りるならば「なんじゃ〜この場の雰囲気は・・こわっ!」である。
マートさんは4位で1回戦通過。2回戦は残念な結果で終わったが、この時をきっかけに自信を得て、その後のJC福田制覇に繋がっていった思う。
なかなか大会の混雑した中で普段の実力を発揮することは難しい面があるが、真剣モードでの戦いが始まったならば、周りの何人さえも入れない別次元の世界がそこに出現する。所作の一つ一つさえも勝負であり、それを拒む者はそこに立ち入れない世界が繰り広げられる。誰もが歯を食いしばり、相手に隙を見せないタイマン勝負が続く。そしてそれを制し堪能できた者だけが最後に心からの笑顔を得ることが出来る。
私はそんなキリキリとした風を充ててくれる、そんな大会が大好きです。
今年のトーナメント初戦となる中部大会もそんなシーンを繰り広げ、大きく飛翔するキャスターが出現する大会であることを願いたい。
・・・さらに気まぐれに つづく と おもう。。。(^^ヽ

0